2011年11月8日(火)
おぬ かなり座談会が長丁場になってきましたが、そろそろ家庭用ゲーム機の話もしませんか?
編集Y そうだな。まずは前提として、日本ファルコム以外の会社によるライセンス作品について説明をしておかないといけないだろうな。基本的に日本ファルコムはPCゲームでの開発をメインにしていたから、家庭用ゲーム機への移植については、別の会社にライセンスを許諾して開発や販売をまかせる形が多かった。1991~1995年の主だった作品だけを見ても、1991年3月にはハドソンがPCEで『イースIII』、同年6月にはトンキンハウスがSFCで『イースIII ワンダラーズ フロム イース』、同年9月にはビクター音楽産業がファミコンで『イースIII』、同年11月には日本テレネットがメガドライブで『イースIII ワンダラーズ フロム イース』、同年12月にはハドソンがPCEで『英雄伝説』を発売していて……。
おぬ ちょっと待ってください! 『イースIII』だけで何本発売されているんですか(笑)。
編集Y これに加えて、たくさんのPCでも発売されているんだけどね(笑)。まあ、たくさんのゲーム機があるから、たくさんの会社に許諾をおろしてライセンス作品として展開していたわけだ。ええと、続きを紹介するぞ。1992年にはエポック社がSFCで『英雄伝説』、同年10月にはエポック社がSFCで『ロードモナーク』、同年12月にはハドソンがPCEで『英雄伝説II』、1993年に6月にはエポック社がSFCで『英雄伝説II』、同年11月にはトンキンハウスがSFCで『イースIV MASK OF THE SUN』、同年12月にはハドソンがPCEで『イースIV The Dawn of Ys』を発売した。
そみん こんなにたくさんのライセンス作品が列挙されたのに、まだ残り2年もありますね(笑)。
編集Y タイトルを羅列するだけだとつまらないだろうし、このタイミングでちょっと解説をはさむとするか。この1991~1993年の間での注目点の1つは、ハドソンによるPCEでの展開だ。少し前にも話が出たけど、ハドソンは『天外魔境』シリーズを中心にPCEでCDの大容量を生かしたアニメやボイス演出を多用したゲームを多数手がけていた。そのノウハウもあって、日本ファルコムの作品を移植する際にはアニメやボイス演出が追加されていたんだ。もう1つ注目してほしいのが、『イースIV』について。これは『IV』というナンバリングがついたシリーズ作品であるにもかかわらず、日本ファルコムが開発していない特殊なシリーズ作品となっている。
▲本書ではSFC版の『イースIV』をメインとしてキャラクターやストーリーを紹介している。 |
そみん 日本ファルコムはシナリオ原案と音楽を提供して、開発についてはトンキンハウスとハドソンにまかせた形ですね。だからSFC版とPCE版は、物語の舞台や登場するキャラクターといった大枠の部分で共通する部分がありながら、ストーリーの流れやシステムはそれぞれ異なっているんですよね。
編集Y ちなみに、2005年にはタイトーがPS2で『イースIV MASK OF THE SUN a new theory』を発売しているが、これもまたSFC版ともPCE版とも違う内容になっている。序盤は7冊目のイースの本をめぐる物語が展開するんだけど、実は本筋に関係しないのが残念(笑)。
おぬ 『イースIV』はのちのシリーズで重要なキーワードとなる有翼人が初登場する作品でありながら、日本ファルコムが開発した作品がなかったんですが、PS Vitaでは『イースIV』に登場したセルセタの樹海を舞台にした完全新作『イース セルセタの樹海』が発売になるので、もしかしたら新たな設定が明かされるかもしれませんね。
編集Y それじゃあ、残る1994年と1995年の主なライセンス作品の紹介に戻ろう。ただ、この2年間は日本ファルコム自身が家庭用ゲーム機のゲームを開発・販売していたので、それもあわせて紹介しよう。1994年2月にはNECホームエレクトロニクス(開発は日本ファルコム)がPCEで『風の伝説ザナドゥ』、同年4月にはセガがメガCDで『ぽっぷるメイル』、同年6月には日本ファルコムがSFCで『ぽっぷるメイル』、NECホームエレクトロニクスがPCEで『ブランディッシュ』、セガがメガドライブで『ロードモナーク とことん戦闘伝説』、光栄がSFCで『ブランディッシュ』……って、1994年6月だけでどんだけライセンス作品が発売されているんだ(笑)。ええと、同年8月にはNECホームエレクトロニクスがPCEで『ぽっぷるメイル』、同年9月にはセガがメガドライブで『英雄伝説』を発売している。
そみん 1994年だけでもものすごい数に(笑)。記念本の作品年表を見ると、この年は日本ファルコムが発売したゲームよりもライセンス作品のほうが多いですね。
おぬ とはいえ、新作としてPCE版『風の伝説ザナドゥ』、PC-9801版『白き魔女』、SFC版『ぽっぷるメイル』、PC-9801版『ブランディッシュ3』を発売しているんで、別に開発ゲーム数が少なかったわけではないはずなんですが……。ライセンス作品の数がすごすぎますね。
そみん セガの『ぽっぷるメイル』と『ロードモナーク とことん戦闘伝説』は名作なんだよね。『ロードモナーク とことん戦闘伝説』はバーチャルコンソールでダウンロード販売されているから、ちょっと前にクリアし直しちゃいました(笑)。
編集Y 主人公の父親である国王がすごいんだよな、あの作品。息子のためなら自分の王国を本気で滅ぼしてしまうという(笑)。それにしても、軽い気持ちで家庭用ゲーム機のライセンス作品を列挙したら、えらいことになっちゃったな。ここまで来たら、ラスト1年もちゃんと振り返るしかないか。1995年にはセガがメガドライブで『英雄伝説II』、同年6月には日本ファルコムがPCEで『風の伝説ザナドゥII』、同年8月には光栄がSFCで『ブランディッシュ2』、同年12月には日本ファルコムがSFCで『イースV』を発売している。
▲「最後で最初のイース」というキャッチコピーが衝撃的だった『イースV』。懐かしの広告やチラシが満載の広告ギャラリーも必見! |
おぬ 1994年の年末にプレイステーションとセガサターンが発売されていることもあって、1995年はSFCやPCEでの展開が縮小している感じですね。
編集Y この1995年に発売したPCEの『風の伝説ザナドゥII』とSFCの『イースV』の発売を節目として、日本ファルコムは再びPCゲームの開発に専念することになる。Windows95の発売によって大きく変わったPCゲーム業界の中で、日本ファルコムは『ガガーブロトリロジー』シリーズを完結させたり、『イースエターナル』といったスーパーリメイク作品を展開したりするわけだ。
そみん PC-9801で『朱紅い雫(旧)』が発売された1996年から、Windowsで『朱紅い雫(新)』が発売された2000年の間にも、いろいろなゲームが発売されました。そのあたりの時代は、次のメモリアル座談会で振り返ろうと思います。次回と次々回の更新では記念本制作秘話をお届けして、メモリアル座談会の第4回は11月11日(金)にお届けする予定です。
おぬ 本日発売の記念本をあらかじめ読んでおくと、いろいろと思い出せて、この座談会を一層楽しめるかもしれませんね。
そみん 宣伝サンクスです(笑)。
(C) 1981-2011 Nihon Falcom Corporation. All rights reserved.
データ