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2011年11月13日(日)

【Spot the 電撃文庫】同居する2人の少女を描く『桜色の春をこえて』でデビューする直井章先生にインタビュー!

文:電撃オンライン

 電撃文庫で活躍する作家陣へのメールインタビューをお届けしていく“Spot the 電撃文庫”。第11回となる今回は、『桜色の春をこえて』の作者・直井章先生のインタビューをお届けする。

『桜色の春をこえて』
▲ふゆの春秋先生が描く『桜色の春をこえて』の表紙イラスト。

 本作は、思わぬ経緯から同居することになった少女たちを描いた青春ストーリー。主人公の真世杏花(まなせ きょうか)は、高校入学とともにひとり暮らしを始めるはずだったが、手違いにより住む部屋を失ってしまう。行くあてもなく途方に暮れる杏花に、「あたしの部屋に来ればいいよ? それですべて解決でしょ」という思いもかけない救いの手がさしのべられる。

 救い主の名は澄多有住(すみた ありす)。カワイイ名前とは裏腹に、見た目は不良でおまけにワガママ無愛想……。そんな有住との共同生活に苦労する杏花だったが、時折見せる有住のちょっとした優しさやかわいげのある姿に心を開いていき……。

 今回は、本作でデビューを飾った直井先生に、見どころや作品を書く上での苦労、小説を書く時のこだわりなどを伺ってみたので、ぜひご覧あれ!

――この作品を書いたキッカケは?

 男女の同居ものは多々ありますが、女同士の同居を扱った作品は、ライトノベルでは珍しいのではないかと考えました。当初は、都会の学校に進学した主人公が、難儀な子と寮の同部屋になる話でした。ただ寮の場合、同居とはニュアンスが違うだろうと思い直し、今の形に納めました。

――本作の特徴や注目ポイントを教えていただけますか?

 女同士の友情ですかね。正直、男性読者が多いライトノベルで、この手のジャンルに需要があるか不安です。逆に希少価値があるかもしれません。

――作品を書く上で悩んだところは?

 登場人物の心情で大いに悩みました。感情が伴わないとキャラが動かないんですよ。キャラを行動させるにあたり、どんな感情を抱かせるか。その感情を抱かせるには、どんなことが起こればいいのか。悩みすぎて睡眠時間が激減しました。

――執筆にかかった期間はどれくらいでしたか?

 半年くらいですかね。4月の“電撃小説大賞”の締め切りに間に合えばいいと思っていたので、ノロノロ書いていました。執筆中にプロットを何度も変更したので、そのぶん時間もかかりました。

――特にお気に入りのシーンは?

 プラネタリウムのシーンです。実を言うと、ここは投稿段階では存在しておらず、担当さんのアドバイスで足した部分なんです。このシーンを追加したおかげで作品に深みが増しました。

――本作のメインキャラクターである杏花と有住について聞かせてください。

 杏花は両親に裏切られた過去があり、そのため大人に頼らず、子どもだけの力で生きようとしています。時に感情にまかせ暴発もしますが、根は優しい子です。有住も同じく両親との間に問題があります。さらに昨年ある事件を起こしたせいで、学校では孤立しています。

 そんな2人は、ひょんなことから同じ家で暮らすことになります。有住は当初、ワガママばかり言って杏花を困らせ、杏花も有住に反感を抱きます。相性最悪の2人ですが、あるできごとを機に、一気に距離が縮まります。

――今後のシリーズ展開についてお聞かせください。

 杏花と有住、2人の絆と成長を書いていくつもりです。学生ですから文化祭や修学旅行といったイベントも豊富にあるので、そのあたりとも絡めていきたいと思います。……あくまで予定ですが……。

――小説を書く時に、特にこだわっているところは?

 文章をわかりやすく書くことです。……実現できているかは微妙ですが。

――執筆中のおもしろエピソードなどありましたら教えてください。

 何かあったかな~。使っていたパソコンが壊れたことぐらいですか。おかげでバックアップの大切さを知りました。でもこれ、おもしろエピソードとは違いますね……。むしろ悲しいエピソードです。

――アイデアを出したり集中力を高めたりするためにやっていることはありますか?

 “静かな環境を作ること”ですかね。騒音があると集中できないタチなもので。音楽を聴きながらスイスイ執筆するのが夢です。

――現在注目している作家・作品は?

 三崎亜記さんです。現代ファンタジーとでも形容するのでしょうか、なんとも不思議な作品を書く方です。

――高校生くらいのころに影響を受けた人物・作品は?

 ハリウッドのアクション映画にハマっていました。『ダイ・ハード』シリーズがお気に入りでした。作家では赤川次郎さん、神坂一さんの作品をよく読んでました。

――今熱中しているものは?

 熱中というほどではないのですが、BSで放送している海外番組を見るのが好きです。

――小説を書こうと思ったキッカケは?

 PCの文書作成ソフトがもったいなかったからです。せっかくあるので、何か使い道がないかなと考えてました。くだらない理由ですいません。

――初の商業作品ということになりますが、その感想は?

 いまだに信じられません。うれしさより恐ろしさのほうが勝っています。

――今後、どういった作品を発表していきたいですか?

 SF、ファンタジー、ミステリー。さまざまなジャンルの作品を書いてみたいです。……可能なら。

――ゲームで熱中しているものがあれば教えてください。

 ゲームはあまりやらないのですが、今度SCEが出す新しい携帯ゲーム機・PS Vitaには興味があります。サイフの中身に余裕があれば購入してみたいです。

――それでは最後に、読者へのコメントをお願いいたします。

 この作品には、魔法もなければ超能力もありません。バトルなし、モテモテ男子なし、空から落ちてくる女の子なし。“なしなし”尽くめですが、これは間違いなくライトノベルです。多少重いシーンもありますが最終的にはハッピーエンドですので、安心して手に取ってください。

(C)2011 ASCII MEDIA WORKS
表紙イラスト/ ふゆの春秋

データ

▼『桜色の春をこえて』
■発行:アスキー・メディアワークス
■発売日:2011年11月10日
■定価:620円(税込)
 
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