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2011年12月5日(月)

なぜあの『NINETY-NINE NIGHTS』がカジュアルA・RPGに? 『N3 ONLINE』プロデューサーインタビュー

文:電撃オンライン

 キューエンタテイメントは、PC用オンラインA・RPG『NINETY-NINE NIGHTS ONLINE(以下、N3 ONLINE)』のプレオープンサービスを、本日12月5日に開始する。

 本作は、Xbox 360用ソフトとして発売された『NINETY-NINE NIGHTS(ナインティナイン・ナイツ)』をオンラインゲーム化した作品。ゲームの概要については、先日のレポート記事でもお伝えしている。

 重厚なグラフィックスと激しいアクションが魅力だった『N3』に比べると、かなりカジュアルよりに仕上がっている『N3 ONLINE』。その開発意図や本作ならではの魅力を、同社『N3 ONLINE』プロデューサーの君塚靖征氏に聞いてきた。

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――本日はよろしくお願いします。それでは最初に『N3 ONLINE』の企画立ち上げから開発着手までの経緯や、キューエンタテイメント自らが開発に携わる次期タイトルとして『N3』が選ばれた理由をお聞かせ願いますか。

『NINETY-NINE NIGHTS ONLINE』
▲キューエンタテインメント『N3 ONLINE』日本プロデューサーの君塚靖征氏。

 『N3 ONLINE』の企画が立ち上がったのは3年前、2008年の春ごろでした。もともと弊社にはマルチプラットフォームで作品を世に出していく、という考えがあります。自社開発で言うなら例えばPSP、モバイル、PS3、さらには韓国でPC版も出た『ルミネス』シリーズですね。その後もこの流れをくんで、PC用MMORPG『エンジェル戦記』と『AngelLoveOnline』のPS3版が開発されました。

 次の一手としてキューエンタテイメントがIP(知的財産)を持つ作品を……となった時に、『N3』シリーズがあるじゃないか、と。これを別のコンシューマ機にただ移植するのではなく、オンラインゲームとして動かしてみようという話になりました。幸い、『AngelLoveOnline』などでお付き合いのある台湾・UserJoy Technologyさんにお話を持ちかけたところ、ご快諾いただき、開発に至ったというわけです。2009年には実際の開発に着手していました。

――ただ移植するのではなく、オンライン化した理由についてもう少し詳しく教えてください。

 Xbox 360用の『N3 II』が開発されたころ、ちょうど弊社のオンラインパブリッシング事業本部が設立から2~3年経過して安定し始めた時期であり、会社全体でオンラインゲーム開発というのは1つのキーワードとして存在していました。もちろん『N3』の続編を違うプラットフォームで、という案もあったとは思いますが、タイミング的にPC版ではなくPCオンラインとしての開発にシフトしていきました。

――メインターゲットとなるのは、どのあたりのプレイヤー層でしょう。

 オンラインゲーム初心者~ライトゲーマー層です。『N3』はアクション性が魅力のタイトルですが、コア層向けに作りこんでしまうとそれ以外のプレイヤー層が置いてけぼりになりがちです。特にアクションというのは、得意な人と、そこそこ遊べる人で比較しても、体感できる難易度にかなり差が出ますから。

――既存のA・RPGの中では、どのあたりに位置することになりますか。

 横スクロール型のA・RPGですが、完全2Dではなく3D表現の部分もあるので、ネクソンの『アラド戦記』とNHN Japanの『ドラゴンネスト』、このちょうど真ん中に位置するタイトルだと考えています。

――『N3』の名前を冠に抱いているわけですが、どの程度つながりがあるのでしょうか。

 『N3』の基本的なキーワード、例えば“夜の王”、“オーブ”などですね。それと、オーブを巡る戦いと世界の崩壊といった世界設定は踏襲しています。ただ、既存2作品の200年後の世界……といったようなつながりはありません。時間軸の異なるパラレルワールドだと思ってください。

『NINETY-NINE NIGHTS ONLINE』 『NINETY-NINE NIGHTS ONLINE』

――では次に『N3 ONLINE』の魅力、ゲームとしてのおもしろさを教えていただけますか。

 まず、操作に必要なキーが2~3個と簡単で、導入部のとっつきやすさは1つの長所です。ゲームパットがあればよりラクですが、なくてもまったく問題なく遊べます。また、コンボの種類は多いですし、連続技に組み込めるスキルなどもあり、敵の動きを見てコンボを切り替えていくような奥深いプレイも可能です。

 アイテムコレクションをはじめ、やり込み要素がとにかくたくさんあるのも『N3 ONLINE』の魅力でしょうね。全部極めようと思ったら、とてもやりきれないぐらいですよ。特にトロフィーに関しては、ボスを倒す条件として“5回眠らされてから倒せ”など、厳しいものもあります。適性レベルでは難しいけれど、レベルを上げてからトロフィーのためにもう一度チャレンジする。そういった長く楽しめるシステムを用意しました。

――『N3』といえば、中世ヨーロッパがベースとなった剣と魔法のファンタジー世界であり、大迫力の3Dグラフィックスで、押し寄せる敵をなぎ払う爽快な作品でした。既存作品のファンにしてみれば、失礼ながら「あの『N3』が、どうしてこうなった?」と思うのではないかとも思います。その点はいかがですか。

 それについては、我々からもこういった場を借りて、きちんとお話ししたいと思っていました。まず、オンラインパブリッシング事業本部の方針の1つとして、幅広いユーザーに遊んでもらうというものがあります。PS3版とPC版のクロスプラットフォーム化に成功した『AngelLoveOnline』と『エンジェル戦記』もそうですが、低スペックPCで遊べることは、この“幅広いユーザー層に”という部分にとって必要条件なんですね。

 この条件を前提として次に考えたのは、『N3』らしさとは何か? どの要素を残すべきか? でした。『N3』の魅力はアクションの爽快感、善と悪の絡み合う世界観、無双系の戦闘システムの3点でしょう。

 低スペックで誰でも簡単に遊べることと、『N3』らしさを構成する要素。この2つを融合させるため、キャラクターも背景も3Dのリアルなものにして、推奨PCスペックを上げてしまうのではなく、そこはあえて削りました。アクション性と世界観を最重要視した結果、現在の『N3 ONLINE』の形に落ち着いたんです。

――MO/MMOタイプではなく、横スクロール型にしたのは何か理由があるのでしょうか?

 何よりもまず、わかりやすさですね。まったくの初心者でも画面をパっと見てすぐに、こちら側へ向かって移動し、最後まで到達できればステージクリア、というのが伝わります。これが3Dのマップや、1人称視点だと、キャラクターを作ったはいいけれど、まずどこで何をしたらよいのかわからず、迷ってしまうプレイヤーも少なくありません。

――実際にテストプレイを体験して感じたのは、インスタンスダンジョンを何周か回すとレベルがどんどん上がって、一般のバトルフィールドで何かをするということがありませんでした。フィールドモンスターもいるのに、あれはもったいないですね。

 もともとの台湾版のゲーム設計がそうなっています。日本版も基本的には台湾版を踏襲しますが、バトルフィールドの移動するだけでほぼスルーになっている部分については、1匹しかいないレアモンスターを配置するなどの形で改善案を提出しています。

――ちなみにアクションゲームがあまり得意ではない人には、どのクラスが一番向いてますか。

 死ににくいという意味で、ナイトがオススメですね。オススメ順で言うとナイト、バーサーカー、アサシン、マジシャン、ハンターになります。

――5クラスあるのに、キャラスロットが3つというのは少ない気もします。

 アイテム倉庫はアカウントごとの共有になっているため、強い装備品やアイテムを使ってゲームの新鮮味が失われるのを避けるため、3スロットにさせていただきました。

――アクション性のあるゲームですと、PvEではなく、やはり醍醐味はPvPにあると思います。いずれは対人戦システムを入れる予定はありますか?

『NINETY-NINE NIGHTS ONLINE』

 はい、サービス開始1カ月後ぐらいには、PvPとは少し違いますがボーナスマップという形で対人戦ができるコンテンツを実装します。このボーナスマップはPvP可能エリアなんですが、そこにいるだけで経験値がもらえます。ただし、入れる最大人数の上限があり、上限を超えた人が入ろうとすれば、誰か1人を追い出すためにPvPが自然に発生するようになっています。

 もう1つはギルド戦ですね。トップギルドには次の防衛戦までさまざまなメリットが与えられますが、トップ交替を狙うギルド以外に個人で誰でも参加できるため、数の力に対抗できるかどうか、防衛側にとってはシビアな戦いになるでしょう。その他、トーナメント制の個人戦も予定しています。トーナメントは勝ち抜けば何かアイテムがもらえるメリットを用意します。

――台湾UserJoyとキューエンタテインメントの、それぞれの役割について教えてください。

 UserJoyが開発を、国内での運営および企画を弊社が行います。もう少し具体的にお話しすると、弊社はビジュアルコンセプトの作成、世界観と登場人物、ストーリーの設定やキャラクターデザインまで行います。それを実際にゲーム内に落とし込む他、モンスターのバランス、職業間バランス、システムやUI設計といった部分はUserJoyが担当します。

『NINETY-NINE NIGHTS ONLINE』 『NINETY-NINE NIGHTS ONLINE』 『NINETY-NINE NIGHTS ONLINE』 『NINETY-NINE NIGHTS ONLINE』
▲台湾版NPCの立ち絵はどれも、かなりカワイイ。日本でも海外でも受け入れられそうだ。日本版のNPCイラストと表示切替ができる。

 またUserJoyさんは、日本でも実際にオンラインゲームの運営を直接されていますので、ユーザー層にマッチした難易度設定など、アドバイスも多くいただきましたし、バランス調整についてはこちらから日本向けの意見を出すこともあります。職業バランスは特に気を遣う部分ですが、『N3 ONLINE』の場合、遠距離攻撃ができるハンターが有利になりすぎないよう、UserJoyと何度も協議を重ねて、遠くから撃てる代わりに敵がノックバックしないというデメリットを設定しました。

――それでは最後に、アクション好きのコアユーザーに向けてと、オンラインゲーム初心者の方それぞれに向けての、メッセージをお願いします。

 アクションゲーム好きの方には、ランキングやトロフィーシステムなどやり込み要素がたくさん『N3 ONLINE』にはある点を強調したいです。また、オーバーキルドロップのようにパーティでの連携プレイが必要になってくるシステムは、最適な戦い方をあれこれ悩む楽しみを、上級者なら感じていただけると思います。

 初心者の方にとって『N3 ONLINE』は、クエストを進めるだけですぐレベルが上がり、手軽にアクションゲームの楽しい部分をすぐ体感できます。パーティの組みやすさやギルド加入のしやすさなど、インスタンスダンジョン中心で1人になりがちなところにも極力配慮しましたので、プレオープンサービスにはぜひ参加してみてください。

――本日はありがとうございました。

※画像はテスト中のもので製品版とは異なります。
(C)2011 Q Entertainment Inc.
(C)2011 UserJoy Technology Co., Ltd.
(C)2011 Microsoft Corporation
Ninety-Nine Nights is a trademark of Microsoft Corporation

データ

▼『NINETY-NINE NIGHTS ONLINE』
■メーカー:キューエンタテインメント
■開発:UserJoy Technology
■対応機種:PC
■ジャンル:A・RPG(オンライン専用)
■正式サービス開始日:未定
■プレイ料金:未定

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