2011年12月9日(金)
海外の女の子に人気な理由とは? 3DS『クッキングママ 4』開発陣にインタビュー
12月1日に3DS用ソフトとして発売されたばかりの、おりょうりアクション『クッキングママ 4』。実はこのシリーズには、とある秘密がある。それは、日本での販売本数と比較して、海外市場での販売本数が圧倒的に多いこと。海外の女の子に人気の理由がわかれば、何かと役に立つかもしれない(販売戦略的に)。早速メーカーにインタビューを申し込んだところ、その秘密の一端を知ることができた。インタビューとともに、『クッキングママ 4』の魅力も解説していこう。
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▲インタビューに応じてくれたのは、オフィスクリエイトのT氏、企画担当のM氏、グラフィック担当のK氏、プログラム担当のY氏の4人。 |
■【販売本数】全世界でシリーズ累計1200万本も販売されています!
――そもそも『○○ママ』シリーズを開発したきっかけは何でしょうか。
M 発案者によれば、自分の娘がままごとで遊んでいるのを見たのがきっかけだということでした。これをDSで再現して、おもちゃとしてままごと遊びができたら楽しいのではないかと考えたそうです。DSならではの表現や、タッチペンによるままごとの「やっている感」を出そうとしました。
――『クッキングママ』シリーズは、全世界でどのくらいの本数が売れているのでしょうか。
T 昨年末までに、全世界でシリーズ累計1200万本が販売されています。ただ日本では、シリーズ累計にあまり貢献できていない状況ですが……。ですので、そのほとんどが欧米で売れているということになります。初代の『クッキングママ』は、いまだに全世界で売れ続けていますし、日本でもオリジナルタイトルとしては売れているほうだと思います。
――メインとなるユーザーの年齢や性別を教えてください。
T どの国でも、小学生の女の子がメインユーザーです。ただ欧米では、より年齢の低い女の子や、成人のOLもプレイしているので、年齢層の幅が広いという印象がありますね。性別で分けると、やはり圧倒的に女性のほうが多くなります。
――『クッキングママ』は、2009年にiPhone/iPod touch版を発売していますが、その反響についてはいかがでしょうか。
T 日本での状況はわからないのですが、欧米では、お父さんやお母さんがダウンロードして、子供たちにプレイさせていることが多いと思います。ちなみにiPhone/iPod touch版も、日本より欧米でのダウンロード数のほうがかなり多いですね。
――『ガーデニングママ』(園芸体感)、『クラフトママ』(手芸体感)、『ベビーシッターママ』(子守り体感)といった、ほかの『ママ』シリーズを発売した経緯は?
T 『クッキングママ』がヒットしたあとに、欧州のパブリッシャーからガーデニングを『クッキングママ』のキャラクターを使って作ってほしいという話があり、『ガーデニングママ』が生まれました。欧州ではガーデニングが盛んらしいですからね。また『クラフトママ』は、女の子がビーズでアクセサリを作ることが多いアメリカのパブリッシャーからの話がきっかけで生まれました。『ベビーシッターママ』は日本からの発案なのですが、赤ちゃんの人形を付けて、Wiiで子守りの「やっている感」を伝えようとしたわけです。いずれも全世界で発売されており、『クッキングママ』シリーズのファン層を増やすことに成功していると思います。ちなみに『ベビーシッターママ』を発売した時は、赤ちゃんの扱い方が日本では大丈夫でも海外ではNGということもいろいろとあって、扱い方を変更したこともありました。
■【海外で人気の理由】日本料理に新鮮な驚きを持ったのかも
――海外での販売本数が多い理由はなんでしょうか。
T これは推測なのですが、まずDSというハードが女性に多く普及しているという点で、ヒットの土壌ができていたのだと思います。また、欧米では女の子向けのゲームがあまり作られていなかったんです。日本では、キャラクターを使った女の子向けのゲームはたくさんあるんですけどね。あとは、やっぱりゲームのおもしろさが口コミで広がっていった効果が最も大きいと思います。
――日本と欧米の食文化の違いも、販売本数に現れていると思いますか?
T 日本では世界のさまざまな料理が食べられて、新しい料理も次々と生まれているという、特殊な食文化を持っていますよね。一方欧米では、フランス料理など伝統的な料理を除けばファーストフードがかなり多いので、元々食べ物や料理にはあまり関心がなかったのかもしれません。そのため海外のユーザーは、『クッキングママ』で作れる日本的な料理に新鮮な驚きを持ったのかもしれません。
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▲『クッキングママ 4』でも、すしやうめぼしといった日本ならではの料理もたくさん登場する。うめぼしの完成料理は、リアルな3D映像になっている。 |
――これほどまでに、海外での販売本数が増えるという予測はあったのでしょうか。
T さほど宣伝を行っていなかったのに、こんなにも売れるとは誰も考えていませんでした。元々、日本で発売するために開発していたので、日本的な料理をメインに入れていたのですが、それが海外で受け入れられたのには驚きました。
――今後、日本での販売本数を増やしていくために行っていることはありますか。
T 『クッキングママ』という名前は、子供たちにまずまずの認知度があるのですが、プレイしたことがない子供たちも多く、なかなか購入まで結びついていないんです。購入者の満足度は高いというデータもありますので、とにかくイベントなどに出展して多くの子供たちに体験してもらって、おもしろさをわかってもらうことに注力しています。また、かつてのユーザーも中学生になるとプレイから遠ざかると思うので、新たに小学生になった子供たちへの認知度を広げていく活動を繰り返していくことが必要になりますね。
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