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2012年3月19日(月)

『バイオハザード リベレーションズ』が見せた携帯ゲーム機でのホラーゲームの可能性とは!? 開発者スペシャルインタビューを公開!

文:電撃Nintendo

 1月26日にカプコンより発売された3DS用ソフト『バイオハザード リベレーションズ』は、発売から1カ月以上が経過した今も、口コミなどでそのおもしろさが話題になり、プレイした多くのユーザーの意見をネットで見ることができる。本作は『バイオハザード』シリーズの、『4』と『5』の間に起こったとされる事件を描いた作品だ。さらに、シリーズでおなじみのジルやクリスをメインキャラクターとして据え、「原点回帰」をテーマに懐かしさが感じられつつも、新しい試みに挑戦した意欲作でもある。初の携帯ゲーム機での本格的『バイオハザード』作品として、ここまで高評価を得られた裏には、果たしてどんな秘密があるのだろうか?


 そんなことを考えつつ、ひと通り『リベレーションズ』をプレイした筆者は、いてもたってもいられず、気付いたら大阪のカプコン開発ビルを訪ねていた(笑)。ということでここでは、『リベレーションズ』開発スタッフからプロデューサーの川田将央氏、ディレクターの中西晃史氏、アシスタントプロデューサーの竹中司氏に、開発の経緯や制作秘話などの貴重なお話をお聞きすることができたので、余すことなく公開していこう。

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▲今回のインタビューにお答えいただいた、『リベレーションズ』開発スタッフのディレクター中西晃史氏(写真左)、プロデューサー川田将央氏(写真中央)、アシスタントプロデューサー竹中司氏(写真右)。

■独特の“空気感”を作ることが難しい『バイオハザード』というゲーム

――まず最初に……とてもおもしろかったです! ありがとうございました!! その勢いだけで大阪まで来てしまったと言っても過言ではありません(笑)。今までの『バイオハザード』シリーズをプレイし続けてきた自分としても、どこか懐かしい気持ちになりました。そんな本作はいかにして作られていったのか、まずは開発の経緯からお話いただけますでしょうか。

川田将央氏(以下、川田) 当時まだ極秘事項だったニンテンドー3DSが何やら凄い携帯ゲーム機らしいぞということで、どんなゲームが作れるのか、いろいろと研究してました。その段階では、僕はまだこの『リベレーションズ』のチームにはいなかったんです。いろいろと研究していくなかで、携帯ゲーム機で『バイオハザード』のシリーズを作れるかもしれないという話になり、そこから本格的にチームに合流して開発していくことになりました。

中西晃史氏(以下、中西) これまでもニンテンドーDSで初代『バイオハザード』の再現などありましたが、最近の『バイオハザード』のゲームプレイを携帯ゲーム機で作ることは難しかったんです。でもニンテンドー3DSならそれもできるんじゃないかということで、研究をしていきました。ニンテンドー3DSのハードスペックとして、どれだけのところまで行けるのか? そのために『バイオハザード5』も試しに動かしてみたりもしました。これはもちろんそのまま動くというわけではなく、どこをどう変えればバイオ5のフィールドを再現できるかというテストです。そして、どうやらこれはかなりのことができるハードだということがわかりまして、さて、どういったものを作っていくかと考え始めましたね。

――携帯ゲーム機で『バイオハザード』を出すというのは、そこまでハードルの高いことなんですね。

川田 まず、映像クオリティー的に携帯ゲーム機で作るのは難しいと考えていました。ですが、最初に皆さんの前にお目見えしたE3での実機映像を作った時に、かなり凄い作品ができると確信しました。

竹中司氏(以下、竹中) 少なくともE3の映像を作っている時に、映像的にはここまでのことができるという限界値がわかりました。ハードって、こちらが性能を理解して叩けば叩くほど引き出すことができるものなのですが、あの段階で想像以上のことができるとわかったのは大きかったと思います。

中西 特に『バイオハザード』というゲームは、ゲーム中の独特の“空気感”が再現できないと難しいんです。まずはそこが再現できるかどうか? それがこれまでの携帯ゲーム機では出せなかったのが大きいですね。でもニンテンドー3DSではそれが出せる。そこからなぜか『バイオハザード ザ・マーセナリーズ3D』を作るという流れになってしまいますが(笑)。

――独特の“空気感”というお話が出ましたが、プレイをしていて感じた“懐かしさ”がそれに当たる感じですかね。初代『バイオハザード』の衝撃と懐かしさ。そういった感覚を味わえた作品は、今までなかったです。コンセプトに「原点回帰」を掲げていますが、これは最初から決まっていたのでしょうか。

中西 E3で最初に発表した頃は、まだそんなに考えていなかったですね。実機検証の結果や映像を見て、いろいろとできることがわかった時に、ニンテンドー3DSということで『バイオハザード』シリーズが初めての人でも入りやすいようにしたいと考え始めました。シナリオ的な入りやすさも含めて、どのように持っていくのがベストか、と。

川田 今年は『バイオハザード』15周年ということで、3つのタイトルがラインナップとして出ていました。『リベレーションズ』『オペレーション・ラクーンシティ』『バイオハザード6』です。そのなかで『リベレーションズ』の立ち位置は、もっとホラー寄りでいいんじゃないだろうかと考えました。今の『バイオハザード』シリーズは、どちらかというとアクション要素が強いのですが、ニンテンドー3DSの裸眼立体視で怖い空間に入り込んで行くというのが、ホラーゲームとして活きるだろうと判断しました。

中西 純粋なシューター作品である『オペレーション・ラクーンシティ』と、王道ド真ん中の『バイオハザード6』。そしてそこに並んで原点回帰の『リベレーションズ』がある。そうやって今年発売される3本の『バイオハザード』のコンセプトをハッキリさせました。そうすることで、各作品の立ち位置がわかりやすくなりました。

――最初の『バイオハザード』から15年ですか……。早いものです。ということは、今の中学生くらいのユーザーは初代『バイオハザード』をプレイしたことがないかもしれませんね。

中西 『リベレーションズ』が最初にプレイした『バイオハザード』という方も、結構いるみたいです。

――そうなると、クリスやジルがどういった過去を持つキャラクターかというのも知らないわけですよね。『リベレーションズ』をプレイして、過去発売されたタイトルをプレイしてみたくなるかも!

中西 実際『バイオハザード5 オルタナティブエディション』が売上ランキングに入ってきたりもしましたからね。『バイオハザード6』もあるからかもしれませんが、シリーズ全体が相乗効果として売れてきているのは嬉しいですね。

――携帯ゲーム機というのが、敷居が低く感じられてよかったと思います。

川田  初めての『バイオハザード』という意味では、1人で没入することができる携帯ゲーム機というのはよかったのかもしれません。ホラーを表現できるユニークなハードというのも大きかったと思います。

――没入感という意味では、その場にいるような感覚になることもありました。

中西 そうそう、意外と没入するんですよね。それが携帯ゲーム機のいいところだと思います。据え置き機の大きな画面で「包み込まれる迫力」とは違って、目の前に存在する空間に入り込んでいくという意味ではこちらの方が上なんじゃないかなと。

川田 没入感といえば、上画面に集中できるように下画面での操作も工夫しました。コンソールのようにサブ画面を出さずにプレイできるというのも効果が大きかったと思います。

――確かに操作の面でも感覚的に行えたので、必要以上に下画面は見ませんでした。そういった操作感のバランス調整は大変だったんじゃないかと思いますが。

中西 これまたニンテンドー3DSのユーザー層を考えて、ボタン操作はなるべく複雑にせず、メインで使うボタンもできれば2ボタンくらいにしたかったです。でも『バイオハザード』で2ボタンしか使わないのはさすがに無理がありましたね(笑)。最低限満足のいく操作感を得るために調整して、今のような形になりました。基本はシンプルに、最低限のボタン操作で立ち回れるようにはなっていると思います。

――そうですね、感覚的に操作できました。Aボタンだけで回復できるのはわかりやすかったです。

竹中 ピンチの時にワンボタンで回復できるのは便利ですよね。ただ、ノーハーブクリアとか目指している時に、間違って押しちゃうことがあったりするかもしれませんが(笑)。

――物語を楽しみつつだと難しいですよね。ですが、2周目以降ならそういったやり込みプレイもできるのが『バイオハザード』の魅力の1つだと思っています!

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▲今回のメインキャラクターとなるジル(写真左)とクリス(写真右)。ジルは最初、パーカーと行動をともにすることになり、行方不明となったクリスを捜索するため、ゴーストシップと化した豪華客船に乗り込んでいくことになる。

(C)CAPCOM CO., LTD. 2012 ALL RIGHTS RESERVED.

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データ

▼『バイオハザード リベレーションズ LIMITED EDITION』
■メーカー:カプコン
■対応機種:3DS
■ジャンル:A・AVG
■発売日:2012年1月26日
■希望小売価格:8,990円(税込)
※イーカプコン専売

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