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2012年3月16日(金)

【通好みゲームメーカー 会社案内 Vol.5 トイロジック編】実力は折り紙付きの開発が放つオリジナル作品『Happy Wars』! あの名作の開発秘話も

文:megane

新ハードで、未開拓のゲームスタイル、最新技術への挑戦!

──ゲームのスタイルをTPSとしたのは、どういった理由からでしょうか?

 まず、私自身がシューター好きで、『Halo』も大好きだったんですね。実は『バレットウィッチ』で敵がよくしゃべるのも、『Halo』のコヴナントに影響を受けています。

 で、そこから日本国内でもシューターを作るという流れを作りたいという気持ちがあり、『バレットウィッチ』はシューターでいくことにしました。

 次に、キャラクターの魅力を表に出したいというのがありまして。そうなると、TPSしかないという話になりました。

 またTPSでも、背中しか見えないタイプではなくて、後ろに下がる時にはキャラクターが振り向いて顔も見えて、視点を動かせばアングルも変えられるようにしたいと。

 あとは、過去にいくつもガンアクション系のゲームを作ってきたので、シューターもやってみようかというのもありましたね。

──しかし、当時の国内メーカーだと、結構なチャレンジですよね。

 Xboxの『Halo』からの流れで、Xbox 360では国内メーカーもシューターを作っていかなくてはといった雰囲気があったので、どこのメーカーさんもFPSやTPSを投入してくるかと思ったんですが、意外に少なくてびっくりしましたね。

──『バレットウィッチ』では、物理エンジンによる演出が多用されていましたが、これを制御するのに苦労した点を教えてください。

 苦労しかしていません(笑)。最初、ビルの倒壊もすべて物理エンジンで動かしていたんですが、大魔法の“メテオ”でビルを壊した瞬間に、画面がピタッと止まるんですね。それでも一応動いてはいて、時計の分針が1分毎に進むように、カチッ……カチッ……と画面が変わる。

 これを見て、私も「ああ、無理なんだ」と思い、プログラマーも「無理です、無理です」と。でも、そこで私が「やると言ったら、やるの!」と言ってしまって(笑)。

 最終的には、ビルの倒壊自体は固定のアニメーション処理にして、破片だけは物理エンジンで動かしましょうというとことに落ち着きました。

 あと、物理計算を少しでも軽くするために、画面に映っていないところにある物理オブジェクトの判定を消すといった処理をやっているのですが、そのせいで視線をそらした瞬間に、判定の消えたバリケードをガイスト兵が乗り越えてきてしまうといった現象が起きてしまうことがあります。これ、言っていいのかな?(笑)

──物理オブジェクトに対する当たり判定もそうですが、全体的にシビアですよね。

 バランス調整は、私ともう1人の企画の2人で行っていたのですが、そのもう1人が、すごく難しいゲームにしたがっていて。私は逆に、もっと緩くしたかったのですが。

 最初、銃のダメージが50で、敵の体力が1000だとしたら、もう1人の企画が「敵の体力が少なすぎるのでは?」と言って、敵の体力を2000に上げてくる。そこで私が「これ、敵が堅すぎるんじゃないの?」と言って銃のダメージを200に上げる。するとまた向こうも、敵の体力を4000に上げてくる(笑)。

 銃のダメージと敵の体力を設定する人間が別という謎の開発体制だったので、インフレを起こして、気がつけばガイスト兵の体力が12000まで引き上げられていたといったこともありました。笑い話というか、失敗談ですね。

──ゲーム開始直後の展開とか、印象的ですよね。敵3体に囲まれている状況で、普通のゲームならまあ、チュートリアル的な感じで敵を蹴散らす場面になるのでしょうけれど、『バレットウィッチ』では、すぐに行動に移らないと蜂の巣にされるという(笑)。

 そこは、最初に『バレットウィッチ』はこういうゲームだよというのを、知ってもらう的な意図があってそうしていました。

 難易度をChaos以上にした時に、私も開始直後に何度も倒されまして、これはさすがにヤバイんじゃないかとも思いましたが、最終的にはクリアできたので、これでいいかと。

──そんなシビアな展開の中で、敵を足止めつつ魔力の回復が狙える“レイヴンパニック”はかなり便利な魔法でしたが、これは高い難易度に対する救済措置のようなものなでしょうか?

 元々“レイヴンパニック”は大魔法の1つという扱いで、もっと派手な攻撃にする予定だったんです。それこそ、画面をカラスが覆い尽くして状況をまるごとひっくり返すような。

 ところが、開発を進めていくうちに、普通の魔法扱いに落とすことになりまして。発動時にカット演出が入っているのも、大魔法だった頃の名残です。そういった経緯があり、大魔法ほど強くはないけれど、普通の魔法にしては強すぎるので調整をしなくてはと思っていたのですが……。

 最終的に、「“レイヴンパニック”がないとクリアできない」という声が開発スタッフからあがりまして。「岳さん、これ調整しないでください」「じゃあ、このままでいくよ」といったことに(笑)。なので、これは意図してそうしたというよりも、開発スタッフの意見を反映した結果ですね。

 ただ、バランスブレイカーな魔法なので、今もう一度バランス調整をするのであれば“レイヴンパニック”は弱体化させて、全体的に調整を入れたいと思います。

──では、今改めて『バレットウィッチ』作るとしたら、やってみたいと思うことはありますか?

 最終的に体裁は整えましたが、ゲームとして未完成だと思っているところが多々ありまして、きちんと作り直したいですね。アリシアというキャラクターや設定に助けられていて、シューターとしては粗が多すぎると思っています。

 純粋なTPSとしてもおもしろくて、魔法をうまく使えばいろいろな戦術が組み立てられるという、根本的なゲーム性の部分を高めたいと思います。

 あとは、オンライン対戦ですね。それも普通の対戦ではなくて、一方は何度でも復活できるガイスト兵となってアリシアたちの邪魔をし、もう一方はアリシアとレジスタンスとして突破を目指すといった、ある種のロールプレイ的なオンライン対戦です。もしチャンスがあれば、そういった要素を入れたいですね。

今なら言える! 『バレットウィッチ』開発秘話→(5ページ目へ)

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データ

▼『Happy Wars』
■メーカー:日本マイクロソフト
■対応機種:Xbox 360(ダウンロード専用)
■ジャンル:ACT
■配信日:2012年
■価格:未定

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