2012年3月30日(金)
主人公&ヒロインが公開され、その世界観が明らかになってきた3DSの大作RPG『ブレイブリーデフォルト』。ある程度まとまった情報が見えてきたところで、電撃の編集者による座談会を行いました。体験版のプレイインプレッションから、現時点で判明している情報を燃料とした分析や妄想など、収拾がつかない出たとこ勝負……もとい、ライブ感あふれる熱い会話をお届けします!
ちなみに今回の座談会の前日には、本作のプロデューサーである浅野智也さんを交えた飲み会がありました。取材ではなく飲み会なので、『ブレイブリーデフォルト』に関するインタビューをしたわけではありませんが、お酒を交えた雑談の中では浅野さんのゲーム作りに関する生の声もちらほら。『ブレイブリーデフォルト』で目指していることや頑張ろうとしていることなど、すごく真剣に話をしてくれました。今回の座談会の記事中でも、そんな意気込みを少しでもお伝えできればと思います!
●野村一真(35歳) 受験期に『ロマサガ1』と出会い、人生の大分岐を経験した熱き男。比較的最近、別件作業のためにFC版『FFII』をクリアして、テツキョジンも倒した。
●Rusty(40歳) 現実でもゲームでもこよなく車を愛するが、レースゲームだけでなくFPSや和製RPGなどもきっちり愛する愛多き男。もちろん、妻を最も愛している。
●そみん(35歳) どんなゲームも楽しく遊ぶ雑食派ゲーマー。最近、実家で黒歴史の断片(テーブルトークRPGのリプレイ録音カセットテープ)が発掘され、むせび泣いた。
野村:昨日の浅野さんとの飲み会、大変だったな。
そみん:厳密には今日の朝方まで飲んでた気がしますけど、いろいろと話ができておもしろかったです。
Rusty:浅野さんはまだ30代前半で、僕らよりも若いんだけど、それだけにユーザーとしての視点もちゃんと持っているのがよかった。SFC時代のスクウェア製RPGの黄金期をユーザーとして体験してきた世代だからこそ、その体験を現在に生かしたいという意気込みがすごく伝わってきたよ。
そみん:本編を作る作業と平行して体験版を何本も作るのはスケジュール的に大変だって言いながらも、少しでも早くユーザーに遊んでもらって、その意見をたくさん聞きたいと語っていたのが印象的でした。
Rusty:体験版の取材中に、開発中の本編の最新サンプルロムをちょっとだけ見せてくれたのもうれしかった。まだまだ開発中とはいえ、すごく記事作りの参考になったよ。
野村:浅野さんはDS用RPG『光の4戦士 -ファイナルファンタジー外伝-』でもプロデューサーだったんだよね。『光の4戦士』のユーザーの意見はちゃんと目を通して、いいところは伸ばしつつ、ダメなところは真摯に受け止めてるって言ってたな。パーティメンバーの入れ替えをなくして、4人固定にしたのも、『光の4戦士』へのユーザーの意見を考えた結果だって。
そみん:キャラクターをじっくりと育てられるように育成の自由度を上げて、ユーザーが愛着を持てるようにしたいって言ってました。セリフや個性付けも強くして、シナリオ性やキャラクター性をきちんと掘り下げたいとも言ってましたね。
Rusty:早く正式にインタビューをしたいな。さて、じゃあそろそろ座談会を始めようか。まずは何から話す?
そみん:世界観について話しましょうか。主人公やヒロインが明らかになって、物語の導入部分も見えてきたタイミングですし。
野村:イメージイラストや画面写真を見た感じだと、初期の『FF』っぽく感じるんだよね。『FF』の『II』から『V』ぐらいのイメージが強いのかなあ。国ごとに特徴的なディテールというか、個性が強いイメージイラストがあって。
▲王道的なファンタジーが感じられる世界観。SFCのRPGを遊んできた世代には、どこか懐かしく感じられるのでは? |
Rusty:個人的には機械文明がほとんど感じられないという意味で、『III』みたいな感じ。たしかオーエンの塔ぐらいじゃないかな。『III』で明らかにメカメカしい場所って。
野村:『FF』シリーズの文明的にいうと、『V』か『VI』ぐらいからかな。機械文明のイメージが強くなってきたのって。『IV』の時はバロン王国の飛空艇とかドワーフの戦車隊とかバブイルの巨人とか出てきたけど、バランス的には、わかりやすいファンタジーの中にちょっとだけ機械があるって感じだった。
そみん:そもそも『I』の時からロボットが登場して、ロボットからもらうワープキューブを使って蜃気楼の塔から浮遊城へワープする仕掛けがありました。隠しキャラ的な敵として登場するデスマシーンも機械でしたし。
Rusty:『V』も基本的にはファンタジーだけど、シドがクリスタルの力を増幅する機械を作っていたり、エクスデス城のバリアが機械で作られていたりと、『IV』よりも機械文明による味つけが多くなっていたね。
野村:で、『VI』は冒頭の魔導アーマーからもわかるように、かなり機械文明のイメージが強くなった。
Rusty:エドガーに至っては武器として機械を装備して、機械を利用する特殊な技もたくさんあった。『FF』シリーズで明確な意味での機械を装備できるようになったのって、『VI』からじゃないかな。
そみん:ちなみに『サガ』シリーズだと、ゲームボーイの1作目から銃やミサイルを装備できました。
野村:最強はチェーンソーだけどな(笑)。さてさて、今回の『ブレイブリーデフォルト』を見ると、そういう機械文明のような匂いがほとんど感じられない。だからこそ、なんだか懐かしい感じがするのかも。
そみん:少なくとも『ブレイブリーデフォルト』の装備品として、銃やレーザー砲は出てこない気がします。体験版で武器を装備する画面のカテゴリを確認したところ、“短剣、剣、刀、斧、槍、ロッド、杖、弓、ナックル”で、銃は存在しなかったです。
Rusty:『FF』シリーズで考えると、『VII』以降はグンとSF色が強くなった。“原点回帰”をテーマにした『IX』はファンタジー色のほうが強いけど、シリーズを重ねるごとにSF色が増していった気がする。
野村:『ブレイブリーデフォルト』を見ていると、なんとなく初期の『FF』っぽさを感じるんだよね。『FF』=スクウェアのRPGっていうイメージでもあるんだけど。
Rusty:今のスクウェア・エニックスではなくて、SFCぐらいのころに感じたスクウェアらしさを感じる。
野村:そう感じる要因の1つとして、ゲーム中の文化レベルがSF過ぎないって部分があるんじゃないかと思う。もっと言えば、“直球のファンタジー”という世界観が心に響いている感じがする。抽象的だけど(笑)。
そみん:たしかに、ここまで純粋なファンタジーって最近少ないですもんね。衣装のデザイン1つとっても、『ブレイブリーデフォルト』みたいに雑味がない中世のファンタジーっぽいものって少ないですし。
野村:“闇の氾濫で大穴が開く”というオープニング自体が、もうファンタジーなんだよ。SF的なイメージが全然感じられない。『FF』のオープニングを思い出しても、ここまで純然にファンタジーなのって『III』ぐらいまでだったと思う。
▲異世界ルクセンダルクの大地に開いた大穴を描くイメージイラスト。主人公ティズの故郷であるノルエンデや弟のティルは、この大穴に飲み込まれてしまった。 |
Rusty:『IV』のオープニングは飛空艇による技術革新を強調するもので、『VI』で魔導アーマーを装着したティナやウェッジやビックスが登場するオープニングも、機械文明を強調する感じだったかな。『VII』の魔晄炉に至っては、完全にSFだし。
野村:そのあたりのオープニングって、まさに“機械”って感じだけど、今回って“穴”じゃん。しかも、主人公が羊飼い。
Rusty:牧歌的だね。
野村:まさに牧歌的(笑)。まあ、村が壊滅するオープニングなんで、平和ではないけどさ。
そみん:主人公が羊飼いって、ちょっとビックリしました。『ソーサリアン』とか『ダークロード』とか『アルカニア ゴシック4』とか、羊飼いが出るゲームって少ない気がするんで。
Rusty:そもそも羊飼いって、どうやって戦うのかイメージしにくい。『FFV』のバッツみたいに冒険家とかだとわかりやすいんだけど。
そみん:あ、『ドラクエVII』の職業にも羊飼いがありました。回復系の魔法を使えたり、羊を呼んで攻撃する技が強かったりと、地味に便利な職業だった覚えが(笑)。
Rusty:ティズの初期状態のジョブが“羊飼い”だったらどうしようと思ったけど、体験版を遊んだら“すっぴん”でのスタートっぽいね。
野村:まあ、羊飼いは置いといて、穴なんだけどさ。ボンって穴が開いて、そこから魔物が出てくるわけでしょ。オレはもう、『真・女神転生if...』(1994年にアトラスがSFCで発売したRPG)かよって思ったね。あれって主人公たち生徒が学校ごと魔界に落とされちゃうストーリーなんだけど、たぶん現実の世界で学校があった場所って、ぽっかり大穴が開いていると思うんだよ。それを思い出しちゃって、『ブレイブリーデフォルト』にも悪魔合体とかあるのかなって。
Rusty:たぶんないです(笑)。
そみん:楳図かずおのマンガの『漂流教室』も、学校が次元の間にすっとんだあとは大穴になってましたね。大穴って、削り取られて何もかも消滅しちゃうイメージが強くて怖いです。
野村:村が飲み込まれた先はきっと闇の世界や魔界で、村人がゾンビになって襲って来るんだよ。大穴のイメージイラストを見ると、なんだか人工物っぽいじゃん。自然じゃない感じの傾斜だし。だからその下で、ゾンビ化した村人がハイブリットな感じになって生きている。魔界仕様で角とか生えちゃったりして。というぐらいの村人が待っていると思っています。
そみん:すごい予想が出ましたね……(汗)! そういえば、体験版Vol.2の冒頭のムービーを見て気になったんですけど、ノルエンデを襲う何かって、“闇”というより“光”のイメージだったんですよ。
Rusty:そう、白い光のイメージで、自分もちょっとひっかかった。
▲体験版Vol.2の冒頭で描かれる、ノルエンデを襲う白い何か。爆発シーンを描く演出なのだろうか。 |
野村:もしかしたら、闇=光みたいな裏の意味があったりするのかも。単なる演出として、爆発の発光なのかもしれないけど。そこはもう、実際にゲームを遊んでみないとわからない部分だね。
Rusty:もう1つ引っかかったのが、村がいきなり壊滅する場面の唐突感。ティズがノルエンデで暮らす日常の描写が少なかったから、村が壊滅しても悲しいと感じなくって。いきなりドーンじゃなくて、ちょっと村人と会話する場面があって、少し交流があってから消滅する流れだと、プレイヤーが受ける衝撃が全然違ってくると思う。それなら、村を復興したいというモチベーションが上がるかな。
そみん:たしかに、あらかじめ会話したことがある村人が消滅すると、感情移入の度合いは大きく変わりますもんね。
→風のクリスタルからの“風”談義で大脱線!?(2ページ目へ)
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