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2012年3月27日(火)

違和感にはすべて意味がある! 『ルートダブル』延期後の改良点や体験版について中澤工さんにインタビュー

文:ごえモン

■10時間は全体のごく一部。体験版は『ルートダブル』を知ってもらうための入り口

――実はマップシステムがあることを先日初めて知ったのですが、例えば、それぞれの登場人物の行きたい場所が分かれた場合、マップを見ながら3Sシステムで行き先を決定する、というような場面もあるのでしょうか?

 “Senses Sympathy System”とマップシステムを同時に起動することはできず、それぞれ完全に独立しています。あくまでも、マップシステムは現在位置を確認するツールであり、“Senses Sympathy System”は単独でキャラクターの印象を設定するものです。これらが連動するという機能はありません。

 『ルートダブル』では、常にキャラクターが移動しながらいろいろなものを発見していくんですね。マップシステムは、“ここで火災が起きていた”“ここの階段が壊れている”“ここには○○があった”といった情報がどんどん書き込まれていくシステムです。イメージとしては、RPGのオートマッピングなんですよ。

――本作の舞台となるラボは、外観は六角形で内観も似ている場所が多いので、マップがあると理解度が深まりますね。

 マップシステムのおかげで格段にわかりやすくなっています。ただ、このシステムのおかげで本当にロジカルになっていないとおかしくて……。例えばキャラクターが移動する時に、おかしなルート選択をしたり、シナリオ上では「第1エリアにいます」と書かれているのに、マップを開くと第2エリアにいることになっていたり……これはマップのデータ打ちミスの場合もあるのですが、冷静に流れを追っていくとシナリオが間違っていて、メッセージを修正する場合もあります。今でも、マップまわりの調整に非常に苦労しています。

『ルートダブル -Before Crime * After Days-』
『ルートダブル -Before Crime * After Days-』 『ルートダブル -Before Crime * After Days-』 『ルートダブル -Before Crime * After Days-』

――確かに文章だけだと、現在は通れないはずの道を使っていたり、また第1エリアから第2エリアに移動するにはもっと時間がかかるはず、といった時間的な矛盾が発生したりしてしまいそうです。

 気付きにくいことでもすべてマップで明示されてしまうので、よりゲームの精度が高まっていますね。自分の首を自分で締めているような気もしますが(笑)。

――28日には本作の体験版が配信開始されます。Aルートのエンディングまで、プレイ時間は10時間以上と発表されましたが、そこまでサービスしてしまっても大丈夫なのでしょうか?

 全然大丈夫です。10時間というと大変長いプレイ時間だと思いますが、全体としてはごく一部にすぎません。体験版では物語の謎はほとんど解けませんし、真相はまったく明かされません。むしろ新事実が見えてきて、皆さんが「なんでだろう」と思うような謎が増えると思います。

 もちろん、体験版は体験版で楽しんでもらえるような内容になっていますが、サービスというよりも、皆さんに『ルートダブル』のおもしろさを知ってもらうための入り口を見せているにすぎません。なので体験版をプレイすることによって、満足して製品版がいらなくなってしまう心配はまったくしていません。

――あの内容、そしてラストを見てしまったら、体験版でプレイをやめてしまうことはできないでしょうね。

 体験版だけで満足された方がもしいらっしゃったら、ぜひ教えてください。今後の参考にさせていただきますので(笑)。

 あと、奇をてらって、とって付けたようにAルートを公開! としたわけではなく、最初から、発売前にAルートすべてを見せても問題ないと判断したからなんです。

――確かに、体験版のラストは最初に見るべきだと感じました。

 製品版をプレイしても、あのエンディングに到達しやすいんですよ(笑)。あのエンディングは一回は見てほしいと思っていたので。

――先の展開や別の結末、真相が気になるのはもちろんですが、ゲームの1本のシナリオとしておもしろかったのは確かです。

 一応、体験版だけで起承転結は成り立っています。例えば、映画や小説などの1本道のメディアであれば、ああいったお話、オチは十分ありえると思います。でも今回はゲームなので、よりよい結末を迎えるために、もっと先の話があるわけです。それと、繰り返しになりますが、体験版の結末では謎が解けずに増えてしまいますからね。全容を解明するためには、製品版をプレイしてベストな結末を迎える必要があります。

『ルートダブル -Before Crime * After Days-』 『ルートダブル -Before Crime * After Days-』

――体験版のシナリオは、製品版から削られていたり、省略されていたりするのでしょうか?

 途中はまったく省略していません。公式サイトでも発表していますが、Aルートには別のエンディングもあります。その別のエンディングは、製品版でなければ到達できません。製品版で改めてAルートをプレイすると、違った展開にたどり着けますし、むしろそこを目指していただきたいです。

――その他の体験版と製品版の違いについて教えていただけますか?

 純粋に機能が削られているだけですね。マップを任意に開けない、用語解説が見られない、おまけが一切見られない、実績が解放されない……。あと、演出については体験版が完成した後にもかなりの手を入れているので、見ごたえのある内容になっていると思います。弊社のスタッフがコダワリにコダワリぬいて、日々センスよくクオリティアップしているので、製品版が出るころにはスゴイことになっているかもしれませんね(笑)。

 また製品版では、体験版で張られた伏線、謎、違和感、疑問点がすべて明らかとなります。体験版をプレイした弊社のテストプレイヤーから「これはどういうことですか?」「これは矛盾ですか?」といった質問が常に出てくるのですが、すべて伏線でちゃんと意味があるんです。基本的に、違和感にはすべて意味があります。……あ。ただ、体験版は開発途上のバージョンなので、未調整部分も残ってしまっています。その点はご容赦ください。製品版で同じところをプレイして違和感がなくなっていれば、それは未調整だったということで(笑)。

――体験版では音質が下げられた状態で収録されているそうですが、どのくらい制限されているのでしょうか。

 音質については、製品版から半分に下げています。容量を小さくしなければ、体験版の容量制限をオーバーしてしまいますし、ダウンロードにも時間がかかってしまいますからね。なので、プレイするのには支障がないくらいに音質を下げています。普通にプレイするぶんには気が付かないレベルだと思いますよ。

――画質についてはいかがでしょうか。

 画質については、プログラムで4分の1に圧縮しています。体験版の容量制限をオーバーするくらいデータ容量が大きいので、体験版では全部の画像を不可逆圧縮しています。圧縮しても問題ない絵もあるのですが、ひどく画質が劣化してしまう絵もあったので、製品版では劣化の著しいCGについては圧縮をかけない仕様にシフトしています。全部圧縮しない方法にしてしまうとDVD1枚に収まらない容量になってしまい、ディスク入れ替えでユーザーさんのプレイが煩雑になってしまうので、優先をつけて対応しました。音と異なり、こちらの違いは肌で実感できると思います。特に大画面のディスプレイで見ると、確実にその向上っぷりがわかると思います。

→体験版で、いくつかの真相に辿り着く人もいるかもしれません

(C)イエティ/Regista

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