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2012年4月9日(月)

【電撃PlayStation】裏話が続々! “PlayStation Vita”Game Conference 2012レポート

文:電撃PlayStation

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■「"PlayStation Vita"「GRAVITY DAZE」の制作秘話」

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 本セッションは内容が大きく3つに分かれており、概要の紹介、ビジュアル解説、プログラミング解説のそれぞれにおいて、メインで開発に携わった方が登壇しました。

 まず概要の説明ではプロデューサーの五十峯誠氏が登場。本作の2つのコンセプトである「フレンチコミックのエッセンス」と「重力方向を自由に定義できるアクション」の説明を行いました。
 その後、ビジュアルスタイル&ディレクションの解説に移り、アートディレクターの山口由晃氏が登場。非常に興味深かったのは、感覚的リアルを追及したという点。「リアルな絵」と「リアルに感じる絵」は異なるものであり、ゲーム制作においては「リアルに感じる絵」のほうが適しており、キャラクターの手や目を実際より大きくするようなデフォルメも、感覚的リアルとマッチしていれば問題ない、といった内容でした。また、ゲームアートを単なる絵と考えるのではなく、その場所に実在する感覚を注ぎ込む、たとえば街なかのオブジェ1つをとっても、アクションに対しなにかしらのリアクションがあるということこそが、ユーザーを飽きさせないために重要という「Living Background」という概念も会場の注目を集めていました。
 そして、プログラミング解説では、リードプログラマーの横川裕氏が登場し、2008年時点では本作の開発をPS3でスタートしたという話から、吉田修平氏(SCEのワールドワイドスタジオ代表)のひとことがきっかけでPS Vitaでの制作に移行したという裏話を披露。本作の描画やキャラクター制御についても開発時の画面写真を使い、詳細に解説していました。

 本セッションの最後には『GRAVITY DAZE』チームとは何か? という話がありました。豊富なタレントを生かすため、ヒエラルキーのない人間関係を構築すべく尽力したそうです。チームの責任範囲を分散させることで、各チームごとの要望を周囲に伝えやすくするなど、日々のコミュニケーションまでを考慮して生み出された作品であるということがうかがい知れました。

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■「Friend network 『みんなといっしょ』~『フレンド100万組』達成への道のり~」

 本セッションの講演を行ったのは、本作のプロデューサーである伴哲氏。前3つのセッションとは異なり、プロデュース的な観点から、本作の誕生秘話を語っていました。

 本作の制作には「PS Vitaにマッチしており、日本市場を活性化できる新しいコンテンツ」というアイデアが念頭にあったとのことです。制作当初の問題として、PSNフレンドがほとんど活用されていないという現状があったので「フレンド100人できるかな?」をコンセプトに「フレンド登録の仕方を分かりやすくする」、「登録しないとゲームが進まない作り」、「敷居が低い」の3本の柱をたて、制作を進めていったということでした。その後は、本作の配信から1カ月のデータを公開。ユーザーの男女比や日別起動数、フレンド数推移やフレンド成立数といったデータを表示し、配信1カ月後には50%以上のユーザーがフレンド20人以上を達成したことや、フレンド100万組を達成したことなどを発表していました。

 伴氏によると、本作制作の根底には「フレンドとほかのゲームも遊んでほしい」という願いが込められているとのこと。セッションの最後には先日配信された『みんなといっしょ Ver.2.00』の情報も公開されました。

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PS Vitaでのゲーム開発の秘密が垣間見えた、充実の4時間 

 メディアの取材時間は4時間ほどでしたが、どのセッションも非常に興味深く、あっという間に終わってしまったという印象です。レポートでは専門的な用語や内容を大幅に削っていますが、どのセッションでも開発画面などを交えながら、詳細なプレゼンが行われていました。今回のセッションで聴講したタイトルは、PS Vitaというハードとほぼ同時期に発売されたということもあり、開発環境における苦労や、それに対しての創意工夫といった話が多かったように思います。

 今後は、開発環境も充実していくでしょうし、まったく異なる内容のお話を聞けるかもしれません。次回以降の開催にも期待したいところです。

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データ

▼『電撃PlayStation Vita Vol.2』
■発行:アスキー・メディアワークス
■発売日:2012年3月30日
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