News

2012年4月11日(水)

【電撃PlayStation】発売直前の『ルミネス』最新作の魅力を開発陣が語る!

文:電撃PlayStation

前へ 1 2 3

●おもしろいものは届ける必要がある

――実際の開発期間はどのくらいでしょうか?

水口 昨年の3月にスタートしているので、ちょうど1年かかっていないぐらいです。PSP版の時も1年かかってないぐらいでした。

――アバターやスキンなどをダウンロードコンテンツ(DLC)として発売される予定は?

水口 曲なども含めて、DLCは検討中です。

――『Rez』などもそうですが、こちらが何かアクションを起こしたときに、その反応がリズムやBGMとシンクロしていくというのは技術的にすごいですよね

水口 技術的にすごくたいへんというよりも、その発想をロジックにして設計することのほうがたいへんですね。最初はとくに苦労しました。

 打ち合わせなどで最初話したときのスタッフのリアクションは「何言ってんの?」って感じでしたし(笑)。すごく抽象的で連鎖的なイメージを細かく1つ1つアクションに変えていかないとプログラムは作れないですよね。だから、そのイメージを確実に伝える必要はあるんですが、それをどういう風に伝えるかというのが、最初はすごくファジーなんですよね。

 ぼんやりしている状態から、ミーティングを重ねて、だんだん霧が晴れてピーンとなっていく。これは一回経験すると「もうやだな…」ってなるんですが、これがじょじょに快感に変わっていくんです。まだ誰もが体験したことのないようなことを、作ってみたいっていう欲求のエネルギーですよね。

 そういった点でもゲームは、昔と比べてやれることも増えてきたし、作るうえでもアーティスティックなアプローチが必要になってきなあと。骨格の部分であるゲームデザインと、僕らが大事にする気持ちよさ、それはどこまでいってもアーティステックでクリエイティブな発想が必要で。

 例えばデイン氏もよく言うんだけど、このゲームの気持ちよさをシステムで組むことはできても、結局その上にどういう音楽とビジュアルを乗せるかは、クリエイターのイマジネーションの世界の産物で、ゲームのなかではどこまでいっても感覚的だったり、アートの領域でしかなかったんです。

 そういうイマジネーション同士が化学反応を起こすのが、ゲームのだいご味。最近はソーシャルゲームが増えているけど、まだまだゲームのクリエイティブは進化する余地があり、インタラクティブな要素を持つものが楽しいのかなと。まだまだ進化するし、進化させなきゃなあと思います。

――『ルミネス』が形を大きく変えず、正統進化していっている理由はなんでしょうか?

水口 やっぱりそれがおもしろいからだと思います。おもしろいものは届ける必要があるし。「200万売れた」といっても、まだまだ世の中にはプレイしてない人はたくさんいますから。

 自信のあるのものは、いろんな形で調理するのが僕らの使命だと思っています。実際、本作も初代『ルミネス』を遊び倒した人でも「これはおもしろいね」と思ってくれるようなものが入っています。

『ルミネス』はどこまでも進化できると思うんですよ。ビジュアルとサウンドが常に変わっていくので。そこが作るときのおもしろさでもあります。

「今回はどういう気分にさせてあげようかなぁ」みたいな。初代『ルミネス』でいうと「星が出るところから始まって夜中パーティみたいな感じで、結局夜明けまで見ちゃったよ!」という感じです。

 本作も今までと同じように、制作陣の意図としては流れやストーリーがあるんです。こんな夢のなかを旅した感じを味わえるパズルゲームは、ほかにないと思うんですよ。

――デインさん自身は、水口さんから新しい『ルミネス』を作ると聞いたときにどう思いましたか?

デイン 新しいものを作るために新しいアイデアを考えるより、『ルミネス』のおもしろさのままで最高の『ルミネス』を作りたいと思いました。


●『Child of Eden』をへて生まれた“個性を尊重しながら作り上げる一体感”

――制作していくうえで心がけていたことは?

デイン ゲーム作りはパーソナリティがないといけないと思ってて、ルミネスチームのなかでも考え方や意見は1つにならないほうがいいと考えています。個性を大事にしたほうがいいのかなと思います。

水口 それは共感するところがありますね。味がすごく単一になるよりは、ちょっとカオスな状態。“不ぞろい”は言い過ぎだけど、いい意味でキレイになり過ぎないのはけっこう魅力です。

 例えば人間って、すごい美人の顔を100人集めて平均値をとると、魅力のない顔ができるって話があるじゃないですか。魅力があるのってどっかバランスが悪かったりというのがあるんですよね。

 そこであえてゲームを作るときにも、僕も同じことを考えました。何かどこかで、割り切れないものを残す。「ゆらぎ」を起こすために別の波長を入れる感じです。

デイン 開発陣に柔軟性があれば、最終的にバリエーションがあるものが作れますしね。

水口 外側から見ていると、ルミネスのチームって一体感はあって、パーソナリティも残ってて。逆にそれを楽しみながら作っているように見えた。『Child of Eden』のスタッフも多かったので、あの作品で実現できたこととできなかったこととか、何が気持ちよかったのかというのを共有して制作に突入したので、勢いがあったと思います。

――本作は音楽が重要な要素ですが、そういう意味でもPS Vitaの強みはありましたか?

水口 34曲の原曲は、もちろんとてもクオリティが高いわけですが、それらの原曲をそのまま使って自分が演奏しているかのようなマジックをいれていくサウンドデザインが必要なんです。

 このサウンドデザインは初代『ルミネス』よりも格段に上がっていて、8年の間でかかわっているスタッフのレベルが上がっているんですよね。発想や技術に対しても、感謝するものがありますね。スキンでも、初代『ルミネス』では背景などが変わるのにちょっと時間が必要だったのが、今回は1つの曲のなかでもドンドン変わっていく。

 それがすごい長く、楽しくプレイしていられる大きな要因になっていると思います。

――原曲で表現するからこそ、融合している感じが出せているのでしょうか?

水口 それもそうですし、有名な楽曲をクオリティが高い状態で聞けるのは感情に訴えかけるものがありますよ。何かの気分を盛り上げる、何かを刺激するというのをそれぞれが持っているので、力のある曲を使って作ると、力のあるモノができるんだなとあらためて感じました。

 本作は“エレクトロニック・シンフォニー”だから、電子的な音楽が集まっているんですけど、いまや電子的じゃないものを探すほうが難しい世の中ですよね。

 だからオーガニックなものも含めて、いろんなイイ曲が詰まったと感じています。楽曲のアーティストリストを見てニヤニヤする人もいるだろうし、全然知らない人でもプレイしたら好きになっちゃう人はたくさんいると思うんですよね。

そういうこともできるのも『ルミネス』の魅力なんだよなぁと、作りながら思っていました(笑)。

――最後に読者にメッセージをお願いします。

水口 ホントに自分が今まで関わってきたゲームのなかで一番優れている(笑)。こんなにストレートに言うのは、はじめてかも。理由ははっきりしているんだけど、深く開発に関わっちゃうと客観的に楽しめないんですよ。

 本作はデイン氏とかチームを信頼して、ある意味で預けて。で、上がってきたものをやってみると、安心して楽しめる。ホントにおもしろいものに仕上がっています。さすがだなと。自分のいろんな周りにもすすめているんだけど(笑)。

 自分は楽しいし、『ルミネス』経験者も「コレは新しくなった」っと言ってくれています。まったくの初心者でも入れる……ということは、やっぱりいいゲームができたってことですよね。誰にでもオススメできる自信作です。

デイン これからも『ルミネス』は進化していくと思っています。本作のテーマは、「ボヤージュ(旅)」です。進化した本作で、ぜひゲームならではの新しい旅を楽しんでください。

(C)2004-2012 Q ENTERTAINMENT Inc. (C)2004 Bandai/NBGI. Art Assets excluding Q ENTERTAINMENT Inc. and NAMCO BANDAI Games Inc. elements (C)2012 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Based on the Lumines franchise owned by Q ENTERTAINMENT Inc. and NAMCO BANDAI Games Inc. and is used by Ubisoft Entertaiment under license granted by Q Entertainment. LUMINES is a trademark of Q ENTERTAINMENT Inc. and NAMCO BANDAI Games Inc. and is used under license. Ubisoft and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries.

データ

関連サイト

前へ 1 2 3