2012年4月14日(土)
――特にお気に入りのシーンはどこですか?
とてもたくさんあってしぼりきれないので、各メインキャラにつき1つずつ挙げさせて下さい。(※ここからはネタバレがありますので、未読の方はお気を付けください!)
まず櫻ですが、第4章で遙に本音をぶちまけるシーンです。担当さんのアドバイスのおかげで、ものすごくいいシーンになったと思っています。
次に遙は、第3章のラストで勝ち誇る櫻にカウンターを入れるシーンです。あのシーンは、3行前を書いている時点ではまったく頭の中にありませんでした。それがいきなりあんな台詞が出てきて、自分でも本当に驚いたんです。なので、そこから先のあたふたしている櫻の様子は、実はそれを書いていた時の自分の心情をそのまま書き写したものだったりします。キャラが勝手に動くとはこういうことか、と書きながらものすごくゾクゾクしていました。
彼方は、第5章のラストあたりで泣いているシーンです。なんとなく、彼方はあまり人気が出ないような気がするのですが、作者としては彼方のことがかわいくてかわいくて仕方ありません。
茉莉はもちろん、間接キスのシーンですね。たまりませんね。アザミはチョップのシーンです。アザミチョップ。されたい。
――小説を書く時に、特にこだわっているところはどこですか?
どんなジャンルを書く時でも、なんらかの謎解き要素は入れるようにしています。どこかで「おお、なるほど!」と思ってもらいたいのですね。
――執筆中に起こった印象的なエピソードはありますか?
当時は福岡でひとり暮らしをしていたのですが、世界中の誰もが知っているあの出来事をきっかけに、仕事をやめて大分の実家へ帰る事を決意しました。なので今回の応募ひとり人暮らし最後の挑戦となり、それもあって全力を投入できたのかもしれません。
――アイデアを出したり集中力を高めたりするためにやっていることは?
部屋のすぐ隣が小さな林になっていまして、そこをぶらぶらしながら栽培しているシイタケの生育状況をながめたりします。2次元なめこなんか目じゃないかわいさです。あとは、布団にもぐって伸びをすることです。そのまま寝てしまうこともちょくちょくありますごめんなさい。
――初の商業作品というところで、いよいよ発売となる段階での感想は?
他の受賞者の皆さんは2月にデビューなさいましたので、やっと追いつけた、という気持ちです。今はただ「さぁ読んでくれ!」と!
――今後の展開について、話せる範囲で教えてください。
順調に続編を出すことができれば、1巻につき1つ、誰でもすぐに遊べるオリジナルゲームを入れていくつもりです。トランプや将棋やオセロなど、珍しいものは一切使いませんので、ぜひ実際に遊んでみてください。
また、恋愛的な要素についてもどんどん盛り上げていきたいです。遙や彼方との微妙な関係の変化、アザミとの絆、茉莉との心と身体の触れ合い……それぞれに焦点を当てていけたらと思います。新しい美少女キャラもたくさん考えておりますので、そちらも期待してください!
――今後、どういった作品を発表していきたいですか?
書きたい作品はいくらでもあります! 今、特に書きたいのは、和風バトルアクションか小学生に算数を教える話です。昔はハイファンタジーや舞台の台本なども書いていたので、それらを書く機会もあればなぁと思います。
それと、自分は素人の独学ながら趣味でDTMをやっておりまして、ボーカロイドを使って楽曲を作っております。時間が許せば自分の作品やキャラのイメージソングなどを作っていくつもりです。デビュー作の中で使われている歌は、初めて自分で作ったオリジナル曲で、動画投稿サイトで公開しているものです。
――高校生ぐらいのころに影響を受けた人物・作品は?
まず、ゲームデザイナーの菅野ひろゆき(剣乃ゆきひろ)さん。『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』『EVE burst error』『DESIRE』といった作品は、自分の創作世界の根幹と言っても過言ではありません。受賞して「これで少し近づけた」と思ったその翌月に、この世を去られました。心よりのご冥福をお祈りいたします。
次に、山口雅也さんの小説には深い影響を受けています。特に『ミステリーズ』に収録されている『不在のお茶会』では、こんなことを小説でやっていいのか、と衝撃を受けました。『生ける屍の死』と『キッド・ピストルズ』シリーズも大好きです。
そして、劇作家の鴻上尚史さんと、残念ながら今年の1月に解散してしまった劇団“第三舞台”の舞台劇。特に『朝日のような夕日をつれて』『天使は瞳を閉じて』の2作品からは深い影響を受けています。声優や舞台役者を目指していたこともあるのですが、結局作家の道を選んだのは、そういった作品を自分で作りたくなってしまった、というのもあります。実際、自分で台本を書いた2人芝居に自分で出演したりもしました。
最後に、BUCK-TICKと谷山浩子さんの楽曲をずっと聞き続けていまして、その世界観も自分の創作世界にとってとても大事な要素となっています。自分がこれまでに書いてきた作品のほとんどは、そのどちらかの楽曲をイメージソングとしています。
――現在注目している作家・作品はありますか?
高樹凛先生の『明日から俺らがやってきた』です。個人的にものすごく好みな作品でしたので、今後が楽しみです! それと、いろんな意味でエドワード・スミス先生。彼はきっと何かをやってくれる。
――今熱中しているものは?
初音ミクと『アイドルマスター』です。
――最後に、電撃オンライン読者へのコメントをお願いいたします。
『カイジ』『嘘喰い』『ライアーゲーム』などを読んでいて、「キャラがみんな美少女だったら」……と思ったことはありませんか? そんな願望を形にしてしまったのがこの作品です。どこからともなく「ざわ……ざわ……」とか聞こえてきそうな、まったく新しい“学園だまし合いラブストーリー”です。皆様もぜひ、一緒にだまされてください!
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表紙イラスト/ゆーげん
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