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2012年4月28日(土)

【Spot the 電撃文庫】甘い題名からは想像できない展開も? さまざまな味を楽しめる『シュガーシスター1/2』でデビューする鷹野新先生を直撃!

文:電撃オンライン

 電撃文庫で活躍する作家陣のメールインタビューをお届けする“Spot the 電撃文庫”。第28回となる今回は、『シュガーシスター1/2(ニブンノイチ)』でデビューを飾った鷹野新先生のインタビューを掲載する。

『シュガーシスター1/2』
▲シロウ先生が描く『シュガーシスター1/2』の表紙イラスト。

 本作は、ブラコンでちょっとエッチな双子の姉・ヒメと、彼女に取り憑かれてしまった少年・クラを中心にした学園ヒロイックアクション。普段はスタイル抜群だが、霊体を吸収し続けないと幼女の姿になってしまうヒメのため、除霊を行い霊体を手に入れるクラ。普通とは言えないものの、そこそこ平和な学園生活を送っていた2人の前に、ある日、これまでに遭遇したことのない強大な霊体“棄霊(バツ)”が出現! “棄霊”を操るのは何者なのか? その目的は? 次々と巻き起こる事件に、2人の平穏だった日常が崩れていき……。

 鷹野先生には、本作を書いたキッカケや、お気に入りのシーンなどを話していただいたので、興味がある人はチェックしていただきたい。また、電撃文庫 新作紹介ページで本作の内容を少しだけ立ち読みできる。まだ本作を読んでいない人はこちらもご覧いただきたい。

――小説を書くようになった経緯を教えてください。

 子どものころはあまりオモチャやゲーム、マンガなどを買って貰えない環境でしたので、空想で遊ぶことが楽しみの1つでした。それが高じて、いつの間にか本格的なストーリーを作るようになったという感じです。

――この作品を書いたキッカケを教えていただけますか?

 たまたま道祖神について調べていた際、男女一対で神とされる双子を主人公にしたらおもしろそうだ、と思い付き、そこから生まれたのがヒメとクラのキャラクターです。神といっても、主人公のクラは戦闘能力しか取り得のない、一般社会に生きる貧乏学生なのですが。

――本作の特徴やセールスポイントを教えてください。

 本作は、“姉弟の絆”というテーマを“ラブコメ”でデコレーションした、学園伝奇バトルミステリーで、恋愛要素にもかなりのウエイトを置いて執筆しています。闇鍋的な作品ですが、今回は奇跡的にすべての要素のバランスが取れたのではないかと思っています(毎回こうなればいいのですが……)。

 読んでいただいた方が登場人物の誰にでも感情移入できるよう、生きた人間の描写にこだわり執筆しました。ラブシーンでの細かな心の揺れや、戦いで受ける物理的な痛みまでもが読者に伝わるようにと考え、言葉を吟味し、よりよい表現を探求した……つもりです。

――執筆にかかった期間はどれくらいですか?

 第1稿は3カ月ほどで書き上げましたが……その後の改稿にはかなりの期間がかかってしまいました。

――本作を書く上で悩んだところはありますか?

 最初に書き上げたものがあまりに暗すぎたため、そこからの調節が大変でした。第1稿では、ヒロインを含め、主人公以外の全員が死んでしまっていたのですが、それ以外の収拾の付け方がまったく思い付かず、夢でうなされるほど悩みました……。どうやら当時の自分は厨二病をこじらせすぎていたようです。

――主人公やヒロインについて、生まれたキッカケやキャラクターについて思うところをお聞かせください。

 依存し合い、殻に閉じこもるように生きてきた双子の姉弟が、事件を通して互いの欠落している部分を補完し合い成長していく姿を描きたかったので、ヒロイン・ヒメは重度のブラコン、主人公・クラは過去のトラウマに縛られ社会をななめに見ながら生きている、と設定しました。

 ですが、初期段階でのその性格は少々ダーク過ぎたようで……。作品のテーマ自体は変えていませんが、完成した主人公たちは第1稿からすると180度近く性格が変わっていますので、ほぼ別人と言っていいと思います。

――特にお気に入りのシーンはどこですか?

 バトルシーン全般は、本当に楽しんで書かせていただきました。あとは、読んでいただけるとわかるのですが、第3章、城址公園前でのキスシーンです。いろんな意味で。

――今後の予定について、話せる範囲で聞かせてください。

 相当量の設定を作り込んでいるのですが、第1巻ではそのほとんどが出てきていません。今後、ストーリーの進行によって、姉弟の過去や様々な謎が明らかになっていきます。また、“ドロドロしないけれど馴れ合いもしないハーレム状態”を裏テーマにおいていますので、真剣に恋する女の子たちにも注目していただきたいと思います。

――小説を書く時に、特にこだわっているところはどこですか?

 作品の特徴でも挙げましたが、基本的には“場の空気が読者に伝わるように”と心がけて書いています。日常シーンでは生活感を、戦闘シーンでは緊張感を、ラブシーンでは心の動きを、読んでいただいた方々に届けられるように、と思っています。基本だとは思うのですが、基本というのが一番忘れがちなところなので、自戒も込めて。

――高校生くらいのころに影響を受けた人物・作品は?

 小説では『屍鬼』『姑獲鳥の夏』『ブギーポップシリーズ』、舞台では『野田地図』作品全般、映画では『ガタカ』です。特に『野田地図』では静と動の使いわけに感動して、こういう作品が作りたい、という目標になっています。今思い返すと、高校時代に見たものが執筆の上で一番の糧になっているな、と感じます。

――ゲームで熱中しているものがあれば教えてください。

 現在ハマっているものですと『アーマード・コア フォーアンサー』、過去にやりこんだものですと『ファイナルファンタジーXII』『真・三國無双4』『バイオハザード5』などです。基本的には、ステージ制になっていて、気晴らし程度にぱっとやってぱっと止められるものが多くなっています。ちなみに、ゲームはかなりヘタクソな部類です。2年前に購入したゲームが未だに終わっていません。

――それでは最後に、読者へのコメントをお願いいたします。

 本作は、(特殊だけど)平穏だった日常が非日常へとシフトしていく中での、双子姉弟の絆を描いた物語です。“ラブコメ”に“バトル”に“ミステリー”と、さまざまな要素が詰まっていますが、単純に“恋愛小説”としても読んでいただけるように構成を工夫した……つもりです。どれか1つの要素にでも興味を持たれた方は、ご一読いただけたら幸いです!

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表紙イラスト/シロウ

データ

▼『シュガーシスター1/2(ニブンノイチ)』
■発行:アスキー・メディアワークス
■発売日:2012年4月10日
■価格:641円(税込)
 
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