2012年6月9日(土)
“E3 2012”会場で開催された、SCEのPS3用ソフト『The Last of Us』のセッション後に、ノーティドッグのゲームディレクターであるブルース・ストラーリー氏にインタビューすることができた。
ちなみに、セッションではSCEカンファファレンスで披露されたものと同じ廃ビル(アパート?)で異なる筋道で展開する戦闘シーンや、主人公のジョエルとエリーが協力したり、ときに別行動したりして道なき道を進むシーンの映像が確認できた。
今回のインタビューでは、『アンチャーテッド』を経て描かれる、本作への熱い思いを伺うことができた。
▲本作のゲームディレクターで、ノーティドッグのブルース・ストラーリー氏。セッション後に快く取材に応じてくれた。 |
▲ジョエル(男性)とエリー(少女)が協力して、アウトブレイクした世界を生き抜く姿が描かれる。 |
――カンファレンス、本日のセッションと描かれるテーマとともに、ゲーム内容そのものも非常に興味深かったです。まずは、本作の概要について教えてください。
ありがとうございます。本作の世界は、20年ほど前に大規模な感染症=アウトブレイクが発生したことにより、社会体制が崩壊した状態にあります。そんな時代のアメリカを舞台に、主人公であるジョエルとエリーが旅していく作品です。
――アメリカ全土を旅していくことになるのでしょうか? 物語の出発地点はどこになりますか?
物語は、東海岸の隔離エリア、つまり感染者がいない地域から始まります。そこに住むジョエルは、知り合いからエリーを外に連れ出してくれるように頼まれます。この出会いを発端にジョエルとエリーは旅立ち、最終的には大陸を横断して、アメリカ西海岸を目指すという話に展開していきます。
――その隔離エリア以外にも人が生き残っているということでしょうか? もしそうならどんな人々がいますか?
もちろん生きており、ジョエルたちとさまざまな形でかかわります。本作では、崩壊した世界における人間性の幅というものを描きたいと思っており、食料を略奪して生きる者もいれば、壊れた施設を修理して、人々の役に立とうと考える者もいます。こういった対照的な存在を描き、対比させることで、物語に深みが出せればと思います。
――ジョエルとエリー、2人の主人公はどのような人物なのでしょうか。
ジョエルは、20年前のアウトブレイク発生以前から生きており、その時の過酷な体験を経て、生きるためにはなんでもするというダーティな一面を持つに至ります。それに対してエリーは、アウトブレイク後に生まれた少女で、崩壊する以前の世界にあこがれのような感情を抱いています。この対照的な2人が、行動をともにすることで、親子の絆のようなもので結ばれていくのです。
――カンファレンス、本日のセッションの映像では、ともに操作キャラがジョエルで、エリーはAIで動いているようでした。エリーを操作するような場面もあるのですか?
操作するのはジョエルですが、エリーの動きにも注目してほしいですね。本作ではAIの作成に注力しており、エリーが本物の人間のように動くよう、細かく調整しています。さらに、エリーは物語が進むことで、ジョエルからさまざまな知識を学んでいきます。ジョエルの行動を見て、エリーがどんな行動を取るのかにもご期待ください。
――エリーの成長も描かれるのでしょうか。
もともと荒廃した世界なので、エリーはそこである程度行き抜いていくためのスキルや知識は持ち合わせています。ただ、それをより発展させるような育て方をジョエルはエリーにほどこしていきます。
――映像のなかでジョエルと戦う、敵の行動も非常に変化に富んでいました。
敵のAIも非常に優秀で、戦闘のシーンなどでは、こちらの持っている武器を判断して、動きを変えてくるようになっています。例えば、こちらが鉄パイプを持ってしかいない状態で、敵が銃を持っていると強気に攻めてきたりしますし、こちらが銃を持っていると判断すると、相手は慎重に立ち回るようになります。たとえこちらの残弾がゼロになってしまったとしても、銃を持っていることで威嚇することもできるのです。
そして、さまざまなアイテムを組み合わせて新たなアイテムにして使うこともできるようになっているので、そのあたりにもぜひ注目してほしいです。
――『アンチャーテッド』で成功を遂げていますが、ノーティドッグが今回、新たにチャレンジしている点はどのような部分でしょうか。
間接的な部分に非常に力を入れています。概念的な話になりますが、要素を重ね合わせて表現するのではなく、要素をそぎ落としてシンプルな形で表現したいと考えています。
そして、ライティングです。人工的な光がほとんどなくなった世界が舞台となりますので、自然光の反射や実際にどのようにモノに当たるかという部分に力を入れています。
最後に、音楽。数々の賞を受賞した作家の方が情熱的にこのプロジェクトに取り組んでいただいています。大きな音で「ドーン!」「バーン!」と表現するのではなく、感情をかき乱したり、感情を揺り動かしたりするような表現方法で取り組んでいます。
――日本での発売はまだ決定していませんが、注目している日本のファンにメッセージをお願いします。!
ゲームの中の出来事を本物のように感じてもらうため、キャラクターや世界観の構築など、さまざまな部分で努力していますので、今後とも注目し続けていただきたいです。
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