2012年6月30日(土)
電撃文庫で活躍する作家陣のメールインタビューをお届けする“Spot the 電撃文庫”。第43回となる今回は、『ハレルヤ・ヴァンプ』を執筆した山口幸三郎先生のインタビューを掲載する。
▲がおう先生が描く『ハレルヤ・ヴァンプ』の表紙イラスト。 |
本作は、仲間からも人間からも追われる“吸血姫”と吸血鬼狩りの少年の奇妙な主従関係を描いた学園ヴァンパイア・アクション。吸血鬼狩りである“聖殲士(ナーバ)”見習いの高校生・大道晴夜(おおみちはるや)は、ある夜、道に迷った少女・テアを助ける。だがその翌日、彼は仲間とともに吸血鬼に襲われ、命を奪われてしまう……。
次に目覚めた時、晴夜は無傷だった。自身の体を不審に思う晴夜に、テアは「この牙で晴夜の体内にわたしの血を与えたわけです」と告げるのだった。そう、テア――アルカテア・ディンケルホーファーは吸血鬼の“真祖の始祖”だったのだ。その血筋ゆえ、仲間からも狙われているというテア。この日から、聖殲士でありながら吸血鬼となった晴夜と、仲間からも人間からも追われる吸血姫テアとの奇妙な主従関係が始まるのだった。
山口先生には、本作のセールスポイントや小説を書く時にこだわっているところなどを語っていただいた。また、電撃文庫 新作紹介ページでは、本作の内容を少しだけ立ち読みできるようになっている。まだ読んでいない人はこちらもあわせてご覧あれ。
――この作品を書いたキッカケを教えてください。
キッカケは担当編集さんから「新作は吸血鬼をテーマにしてはいかがでしょう?」と提案されたことです。吸血鬼が出てくるならバトルものかなと構想をふくらませて、今の形に落ち着きました。元々電撃でバトルものを書くのが夢でした。アクションは、私のこれまでの作風にはない要素ですので、書かせていただけてうれしいです。
――作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?
とはいえ、熱いバトルよりもヒロインと主人公の掛け合いのほうがおもしろいかもしれませんね(笑)。
――作品を書くうえで悩んだところは?
私の悪い癖、というか作風にありがちなところは、設定を固め過ぎて説明文が多くなることでした。悩んだところは、あまりそうならないように意識したことでしょうか。
――執筆にかかった期間はどれくらいですか?
4カ月くらいでしょうか。自分の中ではかなり長いほうです。
――主人公やヒロインについて、生まれた経緯や思うところをお聞かせください。
ヒロインのテアは書き始めてから自然に生まれたキャラクターです。“吸血鬼の姫”という設定なので、高貴で上品ではかなげで、それでいてどこか恐ろしい迫力を持つ絶世の美女! にしたかったのですが……。どうしてこうなった?
――特にお気に入りのシーンはどこですか?
主人公と吸血姫テアのやり取りは書いていて楽しかったです。特に緊迫したシーンでのテアの空気の読めなさは、自分で書いていてツボにハマっちゃいました。
――今後の予定について簡単に教えてください。
1巻はいわゆる導入部。プロローグに過ぎません。2巻以降では、1巻で登場したにもかかわらずあまり目立たなかった人たちが前面に出てきます。それぞれのキャラの魅力を最大限に引き出せるよう頑張ります。
――小説を書く時に、特にこだわっているところはどこですか?
文章の運びと言いますか、リズムよく読めるかどうかもちょろっとこだわっています。それほど特色めいてはいませんので、単に“作者の中で”レベルのお話ですが。
――アイデアを出したり、集中力を高めたりするためにやっていることは?
とにかく寝ます。眠気さえ吹っ飛びゃあなんとかなります。
――高校生くらいのころに影響を受けた人物・作品は?
セガサターンのゲームで『EVE burst error』『DESIRE』『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』などの管野ひろゆき作品です。これらに出会っていなければ、おそらく作家になっていなかったでしょう。ん? 年齢制限? なんのこと?
――現在注目している作家・作品は?
九岡望先生の『エスケヱプ・スピヰド』ですよ! こいつぁおもしろい! 今後の展開に期待大です!
――今熱中しているものはなんですか?
ウォーキングですね。コーナーを曲がるたびに体に掛かるGが癖になります。
――それでは最後に、電撃オンライン読者へメッセージをお願いします。
コメディパートで笑い、バトルシーンでは興奮し。時にしんみりできて、最後にはじんわり胸が熱くなる。そのような感動を目指して生まれた物語です。チラ見でもいいのでぜひぜひお手に取ってみてください!
(C)山口幸三郎/AMW
イラスト:がおう
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