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2012年6月23日(土)

川村ゆきえさん起用でうれしい誤算!? 『スーパーモンキーボール 特盛あそビ~タ!』の徳原プロデューサーが“特盛”なソフトをアピール

文:電撃オンライン

■ステージ作りに独自の工夫が!

『スーパーモンキーボール 特盛あそビ~タ!』

――遊ばせていただきましたが、モーションセンサーで操作するのは最初戸惑いますね。

 3DSやスマートフォン用アプリから入っている要素です。僕らのように昔ながらのゲーム人はスティックの方がやりやすいのですが、スマートフォンから入られたユーザーからは「モーションセンサー操作の方がいい!」という声を多くお聞きします。本体を傾けるという形ではありませんが、Wiiのモーションセンサーに対応したのが最初ですね。こうして振り返ってみると、意外に長いです。

――スティックで操作する場合とモーションセンサーで操作する場合、どちらも内部的には同じ処理をしているのでしょうか?

 入力デバイスによって操作のしやすさや反応が異なるので、様々な補正を加えています。例えば、モーションセンサーの値をそのまま使うと微振動したり反応がよすぎたりで操作が困難なので、それを抑えるための補正とかです。

――いろいろな機能に対応している本作ですが、“モンキーボール”で、背面タッチパッドは使わなかったのはなぜですか?

 そこは使うべきだろうと考えて、いろいろと悩んだ要素です。ただ、今回は“原点回帰をしたい”という目標を掲げていました。重力に従ってボールがコロがっていく中を、シンプルな操作だけでどうやって難しいステージをクリアさせるかをやりたかった。背面タッチで何かを加えてしまうことで、インチキできてしまうようなゲームになるのは避けたかったんです。

――インチキですか?

 インチキというと、言葉は悪いんですが……Wiiの『スーパーモンキーボール ウキウキパーティー大集合』では、新しいことを入れようとしてモーションセンサーを使ったジャンプを入れました。ところがそれによって、簡単に進めるようになってしまった。難しくするために、変なステージを作る必要が出てきて、ゲームが破たんしかけてしまったんですね。

 それもあって、今回は背面タッチは違う方面で入れようと、早い段階で決めました。無理して作るのではなく、メインの“モンキーボール”を正統進化させることに重点を置いたんです。

『スーパーモンキーボール 特盛あそビ~タ!』

――本作は、コロがっていくボールを操作するというシンプルなゲームですが、そのシンプルさゆえに、苦労したところはどこですか?

 シンプルであることは、このシリーズのポイント。変に複雑になってはいけない。そして、単にプレイヤーをやっつけようとしてもダメなんです。そこは今までも気を配ってきました。今日は、実際にステージを作っている時に使っている内部資料を持ってきました。

――かなり書き込まれていますね。

 ステージは、いろいろなアプローチで作ります。形から入ることもあれば、どんな動きをさせたいという思惑から作ることもあります。

――実際にシートを使って、どのように作るのか解説してもらえますか?

『スーパーモンキーボール 特盛あそビ~タ!』 『スーパーモンキーボール 特盛あそビ~タ!』 『スーパーモンキーボール 特盛あそビ~タ!』

 このイラスト(左のイラスト)のようなステージを作ろうとした時に、難しくさせるのか、カンタンにさせるのかに加えて、何をさせたいのかを議論します。このステージであれば短めのステージで、初心者がカーブや坂道を練習するステージにしようと。

 細かい話になるのですが、初心者の面なので、始まった時にゴールが見えないのは不親切。そこで、通路をひっくり返してゴールが視界に入るように変更しました(中央のイラスト)。ただし、ゴールまで道がまっすぐ伸びていないので、曲がっていく必要がある。このように、最初に何をさせるかを明確にしていきます。

 短い直線なので、上のほうにある1つだけあるデコボコはあまり意味がない。修正した時(右のイラスト)に、デコボコを増やしました。最終的には、前後のステージとの兼ね合いで難易度を調整したので、少しデコボコが減っています。あと、このステージを作っている時は、ショートカットを入れようとしていた時期なので、ショートカット用の場所を作りました。

――この穴も飛び越えられるんですね。

『スーパーモンキーボール 特盛あそビ~タ!』 『スーパーモンキーボール 特盛あそビ~タ!』

 実は飛び越えられるんですよ。ただし、初心者には遠回りをさせるための場所でもあるんですね。その後、中盤に出てくるステージで、赤いジャンプ台が出てくるステージがある。そこをやった時に勘がいい人だと「あれ? あそこのステージって!?」と、導かれるかもしれません。このシリーズは、簡単なステージでも2度目にやる楽しさを混ぜて作っています。

――1つのマップは、だいたい2~3回くらいは作り直すのでしょうか?

 ステージによりますね。1発でOKが出る時もあれば、図面を書かずにいきなり3Dモデルから作ることもあります。実際に作ってみて判断するパターンです。ただ、基本は図面で計算して、考慮しますね。

 作ってから、作ろうとしているステージは、はたして必要なのか、否か。作品全体を見て、同じようなステージがいくつもあったら意味がない。さらには、簡単、普通、難しいという難易度が重なりすぎてもダメなんです。それらを加味して、調整を繰り返していきます。

――ステージを作るうえでのこだわりを教えてください。

 初心者ステージは、初心者に配慮して作り、変なところで難しくしないことです。遊ばせるポイントを明確にしています。あと、一度に難しくすると混乱させてしまうので、段階を踏ませることが大事ですね。

 ステージを作る際は、細かい項目ごとにポイントを加算して、難易度を算出して全体を構築しています。

――ポイントというのは?

『スーパーモンキーボール 特盛あそビ~タ!』

 パーツごとに点数を決めるんです。例えば、コースが細いから+2点、動く障害物があるから+3点、ジャンプを使う必要があるので+5点といった感じに。もちろん、これは1つの指針です。遊んでみると、ポイントほど難しくないこともありますよ(笑)。

――ちなみに、ステージを考えるプランナーは何人いるのでしょうか?

 助手がいた時期もありましたが、メインでやっているのは、1人です! 僕と“特盛”の森田で、アイデアを出しながら二人三脚で挑みました。あとは、実際にラフモデルや装飾する人がいて、量産していくという流れです。少人数で作らないと、コース作りのテーマがぶれてしまう。キレイにまとまっているようで、違うものが多数入っているのは嫌だったので、2人で行いました。

 ちなみに、3DS版は別のスタッフですが、やはり1人で担当してもらいました。固定メンバーで回していると、行き詰って同じようなステージばかりになってしまうので、今回は新しい風を入れようとしました。

――ステージの中で、作っていて印象的だったのはどれですか?

 どれもおもしろいステージができたと思っているんですが……今回のゲームは、タイムトラベルをしているという設定になっていて、初級のコースは過去の作品に出てきたコースの装飾を変えたものです。以前からのシリーズファンには「やったことあるぞ」というのを感じてもらいつつ、改良して難しくしたステージが中盤から後半に出てくるので、そこは以前との違いを楽しんでもらればと思います。

――ファンのために、1つだけ具体的に教えてもらえますか?

 GC版『スーパーモンキーボール』に、繰り返し出てくる“あの坂”という印象的なものがありました。今回もその坂を導入し、過去作とは異なる構成のステージを作りました。ぜひ、やってみてください。

――……では、失礼して。ここを進んでいくと、坂からすべり落ちますよね!?(フォールアウト!) スピード付けていくと……今後は止まれないですよね!(フォールアウト!) ああ、ここを目印にすればいいのか。……はい、クリアできました。

『スーパーモンキーボール 特盛あそビ~タ!』 『スーパーモンキーボール 特盛あそビ~タ!』

 おおっ! さすがですね。

――このシリーズは、失敗して覚えていく中で、成長を感じられるのがおもしろいところだと感じています。ただ、次のポイントばかり気にしていると、前にクリアしたポイントにつまづいてしまうという。

 ハハハハハ、ありますね。もちろん、そこで嫌になってしまう人もいると思うんですが、難しくなりすぎないようにしています。練習を続ければ、なんとかいけるんです。昔の作品だと、ある一瞬しかゴールできないようなステージもあったんですが、ユーザー側で何もできないような仕掛けは、なるべく減らしています。

――そこもこだわりの1つだと。

 そうですね。「わかっている、わかっている……だけど、失敗するよね!」っていうのは、ポイントとして抑えています。

 あとは、先ほども少し話をしましたが、ステージの構成は1回だけではなく、その後にまた似たようなステージが出てくるようにしています。「前に見たのと、少し違う。ここで殺そうとしているな。ああ、やっぱり」みたいな繰り返しになるよう、意識して作っています。まったく同じようにプレイするとクリアできないけど、ちょっとの工夫でクリアできる。そのさじ加減は大事ですね。

――他にも何かありますか?

 『モンキーボール』シリーズは、“道なき道を進んでなんぼ”というものもあるので、ショートカットができるようなステージも多く用意しています。ただし、後半に行くとショートカットすることも難しくなるので、なかなか大変ですよ!

3ページ目で聞いたのはさまざまなモードについて!

(C)SEGA

データ

▼『スーパーモンキーボール 特盛あそビ~タ!』ダウンロード版
■メーカー:セガ
■対応機種:PS Vita
■ジャンル:ACT
■発売日:2012年6月14日
■価格:4,500円(税込)

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