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2012年6月29日(金)

『ウィザードリィ』から30年を経ての大進化!? ターン制バトルに革命を起こす『ブレイブリーデフォルト』を座談会で熱く語る!

文:電撃オンライン

◆“ブレイブ&デフォルト”は『ウィザードリィ』から進化がなかったターン制コマンド選択型バトルの歴史を変えた……気がする!

野村:ちょっと話を戻すけど、今回の体験版をやって、一気にゲームへの印象が変わったんだよね。「おもしろくなりそうな気がする」という漠然とした感覚から、「これっておもしろいんじゃない?」とすごく実感を持てた感じ。

Rusty:たしかに、今回の体験版は特にそう感じた。

野村:今までって、妄想世界の話が多かったというか、「なんだかおもしろそうだ」って勝手な妄想をしていた部分が多かった。それが今回、「実際におもしろい」と、現実世界寄りの話ができるようになった感じかな。

そみん:キモとなるゲーム部分を実際にプレイできてなかったわけですから。

Rusty:体験版Vol.2では街を探索できて、少しバトルも楽しめたけど、本作独自のシステムは伏せられていた。今回の体験版Vol.3では“ブレイブ&デフォルト”という独自のシステムを体験できて、一気に『ブレイブリーデフォルト』らしさを感じられた気がする。

『ブレイブリーデフォルト』 『ブレイブリーデフォルト』
▲3月末に配信された体験版Vol.2は、主に街の探索をクローズアップしたもの。エタルニア公国のベアリングとのちょっとしたバトルも用意されているが、本作独自の“ブレイブ&デフォルト”は実装されていない。

野村:これまでは、「おもしろいであろう」という希望というか願望が入った形で話をしてきた。体験版を遊んだり、PVを見たりして、その雰囲気がすごく好きで、おもしろいゲームであることを願いつつも、どこかでちょっとさめてたんだよ。なんだかんだ言っても、結局は単なる普通のRPGになっちゃうんじゃないのかと。グラフィックや音楽がよくて、ストーリーも楽しめるけど、肝心のゲーム部分は普通みたいな。

そみん:バトルがターン制でコマンド選択型と聞くと、斬新な感じはしませんし。

野村:特に体験版Vol.2のバトルが、あまり印象がよくなくって。“たたかう”を連打するだけで何も考えなくても勝てるパターンだったんで、ちょっと嫌なにおいを感じていた。いくら体験版で独自システムを入れていないバージョンだからって、もしこういう方向性で『ブレイブリーデフォルト』が開発されているんだったら惜しいなと感じていた。

 そんな気持ちで遊んでみた体験版Vol.3だったけど、素直によかったと思う。革新的な部分があって、『ブレイブリーデフォルト』への印象が本当に変わったよ。

Rusty:“ブレイブ&デフォルト”という独自のシステムは新しかった。ターンを前借りして使うという前例は、ちょっと覚えがないかな。

野村:“デフォルト”でBPをためて、“ブレイブ”でBPを使って何度も行動するという仕組みだけだと、たぶんちょっと物足りなかったと思う。“ブレイブ”でターンを前借りできるのが楽しいんだよ。借金みたいで(笑)。

そみん:ゲーム中のチュートリアルメッセージにも“ご利用は計画的に!”なんて書かれてたんで、たぶん狙ってるんでしょう。

『ブレイブリーデフォルト』
▲新たなシステムが登場する際には、チュートリアルメッセージで解説してくれる。こういったチュートリアルは、製品版でもしっかり用意されているようだ。

野村:なんだっけ、それ。セコムじゃなくって。

そみん:アコムですよ。セコムだとセキュリティ会社になっちゃう(笑)。

Rusty:いや、アコムでもなくてアイフルだったはず。どうでもいい話だけど。

野村:それはさておき、BPの前借りがバトルの戦略性につながっているのが楽しい。ターン制のコマンド選択型バトルって、どうしても単調になりがちな中で、かなり新しい遊び方になっていると思う。

Rusty:敵にもBPが設定されているから、状況に応じて考える楽しみがある。敵がBPを前借りしていると、そのターンは何もしてこないとわかるから、安心して行動できる。最大4回まで行動できることを生かして、効率的な行動の組み合わせを考えるのも楽しい。

そみん:敵のBPがゼロ以上だと、敵が前借りをして最大4回行動をしてくる危険性があるわけですから。

野村:あれ、激しいよね。体験版に出てきたオミノスが4連続で魔法攻撃してくるのがキツかった。“サンダー”→“ブリザド”→“ファイア”→“ポイズン”って、ひどすぎる。1人に集中攻撃された時は、だいたい戦闘不能にされた。

『ブレイブリーデフォルト』 『ブレイブリーデフォルト』 『ブレイブリーデフォルト』 『ブレイブリーデフォルト』
▲BPをガンガン前借りして、4回連続行動を行ってくるオミノス。一瞬の油断が命取りに!

そみん:残りHPの計算がしにくいので、ちょっと難易度が高く感じました。

Rusty:攻略方法は見つかった?

そみん:敵の性格を読むというか、BPを使ってくる傾向を把握すると戦いやすい気がします。特にオミノスはわかりやすくて、BPがゼロ以上の時はほぼ必ずBPを前借りして攻撃してくるので、それにあわせて“デフォルト”をするのがオススメです。

野村:たぶんベアリングみたいな脳筋ファイター系も、ガンガン前借りするだろうね。

Rusty:“デフォルト”はBPをためるためだけじゃなくて、防御の効果があるのもポイントだと思う。

野村:こっちが“ブレイブ”で総攻撃した時に、敵に“デフォルト”で防御されるとむかつく。かなりダメージ量が変わるから。

そみん体感的には、ダメージを50%以上カットしている感じです。本来ならモンクの攻撃2発分で倒せるような場合でも4発必要になるわけだから、かなりきつい。一気に押し切れるはずが、敵の“デフォルト”で計算が狂ってピンチになることもありました。

Rusty:そういう時は、まさに“ご利用は計画的に!”だね(笑)。だいたいBPがマイナスになるまで前借りしているから、とり返しがつかないことになる。

そみん:個人的に印象に残ったのが、状態異常の“毒”が地味に強いこと(笑)。BPを前借りして動けない時に“毒”を受けると、何もできずに“毒”でHPがガンガン削られていって困りました。

野村えげつなくていいね、あれ。“毒”の攻撃を使ってくるゾンビはうざかった。

Rusty:“毒”は最大HPが高いほど大ダメージを受けるから、むしろナイトやモンクのほうが被害が大きくなるのがキツい。

野村:あのさ、いろいろと考えてみたんだけど、もしかしたら“ブレイブ&デフォルト”って、RPG史上に残る画期的な発明なのかもしれない。実はターン制のコマンド選択型バトルって、ずっと進化が止まっていた気がするんだよ。

 すごく極論を言うと、ターン制のコマンド選択型バトルに戦術性は必要がない。厳密に言うと、バトルに入る前の前準備が一番大事で、バトル中に考えることは少ないんだよね。レベルを20まで上げておけとか、全体回復魔法を使える仲間を用意しておけとか。仲間がやられないように回復をしながら攻撃を続けていけば、それだけで勝てちゃうわけだから。

Rusty:たしかにターン制のコマンド選択型バトルは、敵よりも早く行動できる回復役さえいれば、パターン的な繰り返し行動で勝てることが多い。強力な全体攻撃や即死攻撃みたいに、ハプニング的な攻撃で思わぬ苦戦をすることはあっても、戦術を組み立てながら敵と戦うRPGは少ないかな。

そみん:キャラクターの移動の概念が入ってくると一気に戦術性が上がりますけど、そうなるとむしろS・RPGというか、ジャンルが違うものになっちゃいます。

野村:あくまで今話しているのは、ターン制のコマンド選択型バトルのことだから。純粋にバトルシステムだけを考えた時に、そこで生じる戦術性の部分って、“行動順番”と“役割分担”ぐらいだと思うんだよ。

 “行動順番”はさっき出た話のように、敵よりも早く回復役が行動できると便利ということで、だからこそターン制のRPGだと素早さが大事になることが多い。

 “役割分担”は、攻撃役とか回復役とか、仲間キャラクターの特徴を生かしてどう戦うのかを考えること。これはRPG全般に言えることだから、ターン制のコマンド選択型バトルじゃなくても重要だとは思うけど。

Rusty:あとはゲームごとの独自の味つけとして、隊列とか属性とかの概念が導入されて、そこが戦術性にからんでくる感じかな。前列にいるパーティメンバーほど敵に狙われやすいとか、後列にいるパーティメンバーは弓や魔法じゃないと攻撃が届かないとか。

野村:こうして考えると、ターン制のコマンド選択型バトルって、PCの『ウィザードリィ』の時点でほぼ完成形が見えていて、ファミコンの『ドラゴンクエストII』や『ファイナルファンタジー』の時代ですでに完成していた気がする。ひいては、テーブルトークRPGの時代から劇的な進化はなかったのかも。

 もちろん、インタフェースが進化して遊びやすくなったし、育成システムが進化して役割分担の部分での戦術性は高くなったけど、根本となるバトルシステムという意味では、進化が止まっていたんじゃないかな。

そみん:最近のRPGでは、素早さや行ったアクションによって敵味方が入り乱れて行動する、いわゆる行動順番制のバトルシステムが多い気がします。あとは、行動ポイントを割り振って戦うゲームもあります。

Rusty:海外だと、リアルタイムで行動できるA・RPGに近いシステムが多いかな。

野村:ターン制のバトルシステムというくくりで考えると、スーパーファミコンの『ファイナルファンタジーIV』で採用された半リアルタイムに近いアクティブタイムバトルが大きな進化だったと思う。あとは行動順番制の仕組みの代表格とも言える、『タクティクスオウガ』のウェイトターンシステムかな。

そみん:個人的には、敵の行動をキャンセルすることが重要になる『グランディア』シリーズのバトルシステムが思い出深いです。

Rusty:ただ、そうなってくると、もはやターン制とは言いがたい別システムだと思う。

野村:でも『ブレイブリーデフォルト』は、確実にターン制のコマンド選択型バトルでありながら、それを“ブレイブ&デフォルト”という独自のシステムで進化させたと思う。大げさに聞こえるかもしれないけど、ターン制のコマンド選択型バトルにおいて『ウィザードリィ』以来の初進化なんじゃないの? そんな気がしません?

Rusty:『ウィザードリィ』が生まれてから約30年。久々にすごい進化が起こったのかもしれない。

『ブレイブリーデフォルト』 『ブレイブリーデフォルト』
▲誰でも遊べるコマンド選択型のバトルでありながら、ターンを操作する“ブレイブ&デフォルト”という独自の要素によって、これまでにない新感覚のバトルを実現している。

そみん:たしかに、かなり新しいプレイ感覚のバトルになっていると思います。

野村:さっきも話したように、ターン制のバトルにおける戦術性はおよそ“行動順番”によるもので、“必ずターンの最初に行動できる”とか“ターンの最後に行動できるかわりにダメージが高くなる”とか、行動順番を調整する部分だと思う。これは半リアルタイム制でも行動順番制でも似たような部分があって、要は“敵の強力な攻撃を受けたら、すぐに誰かが回復できるように行動順番を調整しておくこと”に集約されるんじゃないかな。

 この結論は、たぶん『ブレイブリーデフォルト』でも近い部分に落ち着くとは思うんだけど、別の部分でもいろいろと応用が利く幅広い戦術性を楽しめる仕組みになっているのが楽しいんだよ。

Rusty:火力の分散と集中を、プレイヤーの意思で自由に行えるのはうれしい。全キャラクターが前借りをしまくって、一か八かで総攻撃をするのはかなり楽しい。

そみん:1ターンに最大4回行動できるので、行動を組み合わせることでコンボ的な相乗効果が出てくるのもおもしろいです。今回の体験版でモンクを使う場合、まず攻撃力をアップする“練気”を使ってから、残りは3連続で“こうげき”を行うのがセオリーになりますし。

Rusty:そう思っていたら、“練気”が失敗して自爆してしまい、自爆ダメージを受けるわ攻撃力は上がらないわで、計算が狂ってしまうとか(笑)。それはそれで、おもしろいんだけど。

野村:気をためるのに失敗して自爆するなんて、『ファイナルファンタジーIII』の空手家を思い出したよ(笑)。あとはナイトのアビリティもコンボ的に使えた。防御力が下がる“踏み込む”を3回使ったあとに、防御力が上がる“盾攻撃”を組み込むことで、最終的に防御力が下がる効果を上がる効果で上書きして、“踏み込む”のデメリットを消すとかね。

Rusty :行動の組み合わせを考えることは、『ブレイブリーデフォルト』の基本であると同時に、最も奥が深い部分になりそう。どんなジョブやアビリティがあるのか楽しみだ。

野村:必ずターンの最初に行動できる、ナイトの“踏み込む”が最高! 『ロマンシング サ・ガ』の“ハヤブサ斬り”かよって思って、ハヤブサキャンセル(“ハヤブサ斬り”入力後にキャンセルをすると、ターンの最初に行動できるという初期ロットで行えたバグ技)を試してみたけどダメだった(笑)。

そみん:たしかに“ハヤブサ斬り”っぽい(笑)。

『ブレイブリーデフォルト』
▲座談会の参加メンバー全員がイチオシするナイトの“踏み込む”。必ずターンの最初に行動できるので、やっかいな敵が行動する前に倒せるのが強みだ。

お気に入りのジョブについて熱くトーク! 最強はナイト×ナイト?→(3ページ目へ)

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