2012年6月28日(木)
▲『豚キムチ醤油味』 |
――『豚キムチ醤油味』、『豚もやし味噌』、『Wソース焼きそば』がありますが、それぞれについて説明していただけますか?
和田:量を多く食べたいだろうということで、まずは具材の見直しを図りました。10代のユーザーが多いのに、これまでは肉の量が少なかったんです。若い世代で、肉が嫌いな人はいないので“肉化”を1つのキーワードにしてリニューアルしています。リニューアル前の『豚キムチ醤油味』には薄切りのチャーシューが入っていたのですが、立体感のある肉を入れるようにしました。
中村:それはお得感がありますね。
▲『豚もやし味噌』 |
和田:『豚もやし味噌』に関しても同じ仕様にしています。またスープに関しても、香りを強化して食べている中で箸が止まらなくなる。そんな味に仕上げています。
『豚もやし味噌』であればガーリックの香り、『豚キムチ醤油味』はゴマ油を強めにすることで、ちょっと味が濃くなっているように感じるのですが、それでもガツガツ食べてしまうような作りにしています。
――『Wソース焼きそば』は?
▲『Wソース焼きそば』 |
和田:もともと麺が200gも入っているのですが、更なる食べ応えを追求するために“からしマヨネーズ”を追加しました。マヨネーズには油分があるので、食べ応えを感じられると思います。
3商品ともユーザー目線に立って、欲しいものに着目したリニューアルになっています。
――他社からも、大盛りシリーズはリリースされています。そもそも、『デカ王』が発売されることになった経緯は?
和田:カテゴリーごとに社内を見渡した時、大盛りサイズのラーメンは空白地帯でした。スポット的に出していたけど、大盛りのブランドといったらコレというのがなかったんです。
ただ市場としてブランドを形成している商品が多数ある。これはブランドを作る必要があるということで、立ち上がりました。経緯はしっかりとした大盛りユーザーがいると考えたところと、すべてのジャンルで日清食品は展開している必要があるという考えで、出させていただきました。
ただ、量が倍なので価格が倍というわけにもいかないですし、価格は同等でも品質が落ちてもダメ。価格は据え置きで、量は倍、品質は同等という、品質的にもかなり追求している商品です。三層太ストレート麺というこだわった麺で、200円でおつりがくるので、すごく価値のある商品になっていると思います。
――個人的には『デカ王』といえば、『シーフードバター味』か『辛子高菜とんこつ』という印象がありました。
和田:『シーフードバター味』は『デカ王』のバリエーションの中でも売れた商品の1つですね。
――『Wソース焼きそば』ですが、1,100キロカロリーってすごい量ですよね?
和田:開発していると、数種類のサンプルが来るんですね。例えば、麺が3パターン、スープが4パターンあった場合、掛け合わせで12種類食べていくことになります。それが大盛りなうえに3品同時にやっていたので、明らかに成人男性の摂取カロリーを大幅に超えていました。メニューを企画してから、それが半年ほど続いたので、8キロくらい太りました。
――それは、毎回食べきるのですか?
和田:食べきらないとわからないこともある。一口目はおいしくても最後まで食べると、味が濃いかもしれない。スープもまたしかりです。満足感などは食べないとわからない。
もちろん、適切な食べ方をしていれば問題ないのですが、大盛りなうえに種類も多かったので……。ただ、その後は必死で減量しましたね(笑)。
――驚きですね。
和田:インスタントラーメンを食べると太るということはありません! ただ、1日5,000カロリーを食べ続けた結果、太ったということです。
――話は変わりますが、インスタントラーメンにとって必要なことはなんだと思いますか?
和田:難しい質問ですね。……普段から身近な商品だと思います。どこでも買えて、お湯さえあれば誰でも食べれられる。個人の考えですが、驚きは必要だと思っています。昔からあるということに胡坐(あぐら)をかいていたら、ダメだと思います。
ターゲットが違えば量も違うし、季節が違えば求められるフレーバーも変わる。消費者の方の一歩先を行くような驚きを提案し続けられると、受け入れられていくのかなと思います。
――ゲームではどうでしょうか?
中村:多少話がかぶるんですが、『ストリートファイター』も歴史が長い。今年で25周年ということで、施策をいろいろと考えています。歴史が長いということは、受け入れられている部分も多いのですが、ずっと同じのままでは受け入れられてもらえなくなる。
『ストリートファイター X 鉄拳』の開発時もそうだったのですが、『ストリートファイター』のファンも満足させて、コラボという旗を振っている以上に新しいこともやらないといけないし、『鉄拳』ユーザーも呼び込む必要もある。突拍子のないことをして、これまでのファンを離してもいけない。落としどころのバランスを決めるのに、苦労しました。
ただ、それはシリーズを構築していくうえで、ついて回る問題でもあります。出すハードによってできることも違いますし、ニーズに合ったものを出さないといけない。ジャンルは違うのですが、インスタントラーメンと似ていると思いました。
『ストリートファイター X 鉄拳』は発売されて2カ月以上が経ちましたが、PS Vita版を現在作っています。同じものをそのまま移植、というだけではユーザーも目を向けてくれないということで、PS Vita版ならではの機能も盛り込んで提供するべく、開発しています。
――これまでにも話に出ましたが、異業種とコラボすることには、どのようなメリットがあると思いますか?
和田:やはり新たなユーザーさんに、情報発信できるというのが一番強いと思います。限られた売り場になるので、1つの商品から情報を伝えるのは勝負になる。店頭で出会った時の一期一会。その時にどれだけの情報をお客さんに届けられるのかというのは、重要な要素です。
僕らが、家電量販店でインスタントラーメンを売ることは困難です。現在は、ゲームと併売できないんですが、食品売り場がある店では置いてもらえる可能性がある。今まで『デカ王』に出会っていなかった人にどれだけ買ってもらえるか。それが目的でもあり、タイアップする価値だと考えています。
中村:間口を広げたいということに尽きますね。コラボすることで、興味のある人が食いついてくれるのが、利点です。食いついてくれた人が、今ゲームをやっていない人でもいいんですよ。今回であればカップめんのパッケージをなんとなく見た時に、見覚えのあるキャラクターから始まって、その後Webタイマーを見て「ちょっとゲームをやってみるか」という流れで遊んでもらうためのきっかけ作りです。
反響がいい感じなので、これからに期待しています。これでより多くの人に『ストリートファイター X 鉄拳』を遊んでもらえればと思っています。
――今後、取り組んでみたいことや、挑戦してみたいことなどありましたらお聞かせください。
和田:先ほどもありましたが、どれだけ驚きを提供できるかが、一番の使命だと思っています。消費者の人が「こういうのを待っていた」というのは正直出したくないんです。「こんなのできたんだ!」っていうことをしたいですね。
「こういうのを待っていた」をライバルに先を越されると悔しいんですが(苦笑)、その先に行った「こんなのがあるんだ」という商品を出したいと思っています。あとは、数年した時に「このブランドは僕が立ち上げてな」という商品を1つは立ち上げたいと思っています。
中村:ゲームや映画は開発者がクレジットされるので、カップめんもパッケージにクレジットが入ればいいんですけどね。
和田:アハハハハ。商品開発に携われることは僕らの特権なので、やってみたいです。
中村:そうですね。もちろん自惚れているわけではないですが、ゲームの開発にかかわれる人というのは限られた存在で、しかも『ストリートファイター』という歴史も長くて、世界中で受け入れられている作品を開発できるのは、幸せなことです。今はPS Vita版の『ストリートファイター X 鉄拳』を作っていて、さらにPS3/Xbox 360版のDLCやアップデートも継続的に考えているので期待してほしいですね。あとは、その次の新しい作品でもユーザーの期待に応えつつも、和田さんの言葉を借りるなら、“驚き”を提供していけるような仕事をしていければと思います。
――発売を楽しみにしている人へメッセージをお願いします。
和田:今回はこのような形で、カプコンさんとコラボ企画の『デカ王』をリリースさせていただきました。今後も『デカ王』や弊社の商品を通して、消費者の方に驚きと楽しさを提供していくので、ご期待ください。(ゲームの)やりすぎと(デカ王の)食べすぎに注意!
中村:アハハハハ。度がすぎるとダメという点も、似ていますね(笑)。今回はこのような幸せな機会をいただきました。引き続き、日清食品さんとはいい関係を続けていければと思います。『ストリートファイター X 鉄拳』に関しては、継続的なサポートをして、PS VitaとPS3の連動という新要素も用意しています。秋の発売に向けて今後も情報を発信していくので、注目していてください!
▲『ストリートファイター X(クロス) 鉄拳』とコラボした『日清デカ王』を手にした、中村さんと和田さん。2人の熱意がこもった作品、商品を手にとってみては? |
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