2012年9月13日(木)
日本一の黒歴史!? 『やるドラ』を作るはずが『炎の料理人クッキングファイター好』ができた…だと?【電撃日本一】
この“新川社長インタビュー”は、日本一ソフトウェアの設立20周年を記念する特設ページ“電撃日本一ソフトウェア”の連載コーナー。2013年の7月までの長期間にわたって、社長である新川宗平氏にさまざまな話をお聞きしていく。
5回目となる今回は、『炎の料理人クッキングファイター好』や『マール王国の人形姫』が発売された1998年前後のタイトルの思い出話をお聞きした。
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日本一ソフトウェア 代表取締役社長 新川宗平
1996年に日本一ソフトウェアに入社後、営業、広報、開発と、さまざまな分野でゲーム制作に携わる。多くのタイトルのプロデューサーを務めつつ、『魔界戦記ディスガイア』などのシナリオを執筆。2009年7月に同社の代表取締役社長に就任したのちも、『絶対ヒーロー改造計画』のシナリオを執筆、『魔女と百騎兵』のプロデューサーを務めるなど、ゲーム制作の現場に立ち続ける。
■あえて黒歴史の封印を解く! 『炎の料理人クッキングファイター好』の裏話をぶっちゃけトーク!
――今回は1998~2000年前後の思い出話をお聞きします。
新川:まずは『SatelliTV サテライティービー』ですね。これは衛星放送の番組を構成するという経営SLGなんですが、当時知名度が高かったオンデマンド社さんが主導する企画として始まりました。弊社は開発のみを担当していたのですが、最終的には開発から販売まですべてを担当することになりました。
私自身はこのゲームとのかかわりは薄く、ムービー作成で携わった程度なんですが、やたらと印象に残っているのはムービーに出るサングラスをかけたおじさんです。なぜかこのゲームのスペシャルサイトに謎のオヤジインタビューを掲載しているので、気になった方はどうぞ(笑)。
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▲1998年1月8日に発売された、PS用の経営SLG『SatelliTV サテライティービー』。新川社長の印象に残っているというサングラスのおじさんは、オープニングムービーに登場している。 |
――その次のタイトルは、一部の熱狂的ファンがいる『炎の料理人クッキングファイター好』ですね。
新川:日本一ソフトウェアの社員でもその話題には触れないという、ちょっと黒歴史的なタイトルです。現在、弊社のゲームの中でニコニコ動画のコメントが最も盛り上がっているゲームという説もあります。完全に遊ばれているという意味で(笑)。
いろいろといわくつきではありますが、あえてPSアーカイブスなどには対応せず、伝説は伝説のままでいいかと放置しています(笑)。
――ええと、そんなゲームについて開発秘話を聞いてもよろしいものでしょうか?
新川:せっかくの20周年記念ですからね。何もかもぶっちゃけようと思います(笑)。
このタイトルはそもそも、『どきどきシャッターチャンス 恋のパズルを組み立てて』と同じ開発スタッフで、「何か新しいことやってみよう!」と作り始めたゲームです。当初の出発点は、当時大ヒットしていた『やるドラ』が目標でした。
――ええっ!? 『やるドラ』というと、『ダブルキャスト』や『季節を抱きしめて』など、フルボイス&フルアニメーションで展開するAVGシリーズですよね。失礼ながら、『炎の料理人クッキングファイター好』との共通点が見つからないのですが……。
新川:ずいぶんハッキリと言ってくれますね(苦笑)。
当初は、ああいったアニメーションを中心としたストーリー重視のゲームを目指していたんです。でも、実際に作り始めると、スケジュール的に絵のクオリティや枚数がどうにもならず、開発予算もまったく足りない。それらの問題を埋めるためにいろいろなものを織り交ぜていった結果、出来上がったのが『炎の料理人クッキングファイター好』だったんです。
――なるほど……。にわかに納得しがたい部分はありますが、たしかにこのタイトルはアクションゲームでありながら、ストーリーを強く意識したアニメ的な作りになっていましたね。
新川:また『炎の料理人クッキングファイター好』には、よくも悪くも目立ちたいという思惑がありました。というのも、この次に『マール王国の人形姫』の発売が控えていたんですが、それが売れないと日本一ソフトウェアがつぶれてしまうかもしれないという危機的状況でした。
社運を賭けた『マール王国の人形姫』が発売される前に、『炎の料理人クッキングファイター好』でよくも悪くも“日本一ソフトウェア”というゲーム会社の名前を世に知らしめておきたい! そんな思いもあって奇抜なアイデアを詰め込んで目立たせたかったんですが、さすがにちょっと悪ノリをしすぎた気がします(笑)。
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▲1998年5月21日に発売された、PS用の料理アクションゲーム『炎の料理人クッキングファイター好』。新川社長いわく、「ちょっと悪ノリしすぎたかも(笑)」とのことで、動画配信サイトなどで注目されることが多いユニークなゲームとなっている。 |
――そこまで経営が危機的な状況だったのですか?
新川:このころは1タイトルの受注本数が1万本を切っていた状態で、パズルゲームやボードゲームだけでやっていくことに限界を感じていました。このままだと会社がつぶれると思い、どうせつぶれるのならジワジワと首が絞まっていくような死に方をするよりも華々しく散りたい! そんな思いがあって、RPGに挑戦することになったんです。
日本一ソフトウェアの社運を賭けたタイトルであり、また、私個人としても営業、広報だけでなく、開発にもどっぷりと携わったタイトルとして、20年の歴史の中でも思い出深いタイトルですね。
――『マール王国の人形姫』の開発秘話については、次回以降詳しくお聞きしようと思います。『マール王国の人形姫』のあとは、続編や『マール王国の人形姫』のキャラクターが登場するジグソーパズルゲームが制作されていますね。
新川:『マール王国の人形姫』は、おかげ様で当社にとってはヒットしたんですけど、振り返ってみると反省すべき点が大いにありました。そこで、このタイトルで培ったことをしっかりと自分たちの力にしていくために、全面的にバージョンアップした形の続編を作ろうということになり、完成したのが『リトルプリンセス マール王国の人形姫2』でした。
――『リトルプリンセス マール王国の人形姫2』発売後、新ハードとなるPS2が登場します。いち早くPS2へと移行し、『天使のプレゼント マール王国物語』を発売していますが、PSからPS2へという流れは早くから考えられていたのでしょうか?
新川:PSからPS2への移行は早めに展開していくと判断していたので、必然的に次のタイトルはPS2でやるという考えでした。しかし、新ハードでオリジナルをいきなりやれるほど我々には実力がない。だから当時の弊社の代表作だった『マール王国』シリーズをもう一度やろうという話になったんです。
とはいえ、ストーリーは『マール王国の人形姫』と『マール王国の人形姫2』でやり尽くしていたので、オムニバス形式にしてファンの方々を中心に楽しんでいただくという形にして、『天使のプレゼント マール王国物語』が生み出されました。これらの『マール王国』シリーズは、大ヒット作とは呼べないですが、3~4万本の売り上げを記録して、当時の日本一ソフトウェアにとって、非常にありがたい結果となりました。
このあたりの時期で、予算的な余裕や開発のノウハウがたまってきたこともあり、年に1本の大作だけでなく、小~中規模のの2ライン目を意識し始めました。この時期に発売された『マールDEジグソー』や『マールじゃん!!』といったタイトルは、そういった2ライン目を意識した流れから生まれたものですね。
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▲初期の日本一ソフトウェアを代表するミュージカルRPG『マール王国の人形姫』シリーズ(PlayStation Storeのゲームアーカイブスで配信中)。その開発秘話は次回のインタビューで詳しくチェック! |
【次回のインタビューは9月27日掲載予定】
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