まどかたちの大事な設定が決まるキッカケだった？ 『鴨川デイズ』の魅力を総監督・佐藤竜雄氏に聞いてみた！

文：電撃オンライン

――『鴨川デイズ』はどのような経緯で制作されたのでしょう？

　実は、ハイブリッドディスクのアイテムが出るということなので「じゃあどんなお話を作ろうか？」というところから始まりました。では、その中でどのような物語をお見せできるか？　というところから考え始めた感じですね。season1は、ロボットアニメでありながら戦闘よりもまどかたち3人の出会いを中心に描いていました。そして現在放送されているseason2は宇宙を舞台にこれから戦闘が増えるという展開が待っています。そこでOVAも戦闘寄りにしてしまうと、ちょっと重いかなという意識がありました。

　そうした中、“ランやムギナミがseason2でまどかと再会するまで何をやっていたのか”という部分を、TVでは時間を割けていなかったので、OVAでしっかり描くにはいい題材と思い、そこに重点を置いた物語を作っていくことになったんです。もっと大元のテーマとしては、8月の発売ということで、スイカでも食べながら楽しめるようなユルい物語にしようというのもありました（笑）。

――スイカですか（笑）。

　そのせいか、OVAは正月から春ごろまでの期間を描いているにもかかわらず、意外と夏の雰囲気も出ているのがおもしろいところかなと思います。こうしたユルいストーリーになったのは、このOVAを見なければ本編がわからなくなるという内容にはしたくなかったという理由もあります。ただ見ておくと、まどかたち3人の悩みがわかるような内容になっているので、本編をより深く楽しめるのは間違いないと思います。

――ユルめのストーリーということですが、『鴨川デイズ』のコンセプトはどういったものになるのでしょう？

　3人にとって“鴨川”がどういう場所なのかを再確認するということですね。season1で3人がバラバラになって、それぞれ1人になった時に自分たちを振り返ると思ったんです。まあ、まどかはそんなこと考えないでしょうけど（笑）。ただ、ランとムギナミはきっと考える。そういうストーリーを考えていた時に、脚本の森田繁さんから「誕生日を祝う話はどうでしょう？」と持ちかけられて、それはいいかもしれないと思い、誕生日などの設定を決めていきました。

――逆に言うと、それまで誕生日は決まっていなかったんですね。

　そうなんですよ（笑）。というのも、ランとムギナミが宇宙人なので、何歳という設定はあるのですが、地球視点の考え方で表すのもおかしいのではないかと。そんな流れで無事まどかの誕生日が5月に決まって、そのために体育祭を5月に前倒しして学校行事を描きました（笑）。

　それには理由があって、地球のイベントにあわせて宇宙でもなんらかのイベントを開催したかったんです。そこで、鴨川の物産展みたいなものがあって、ランとムギナミが出会うシーンを描いておきたかった。宇宙で鴨川がフィーチャーされてるというのは、最初は鴨川の関係者に怒られるかなとビクビクしていたのですが、報告に行ったら意外にも歓待されてしまって（笑）。宇宙で鴨川ブームなんて悪い冗談みたいに思えるところですけど、おかげで3人が友情を確認できる場所は鴨川なんだという重要な部分が描けてよかったと思っています。

――その中で、監督が一番印象に残っているシーンはどこですか？

　その宇宙の鴨川で、ランとムギナミが学校に入ろうとするのですが入れないというシーンがお気に入りですね。あのシーンを描いたことで、3人にとっての学校は地球にある本物の鴨女だけなんだという雰囲気をさりげなく出せたと思います。

――本作にはseason2の第0話『鴨川メモリア』も収録されていますが、これはなぜですか？

　『鴨川メモリア』は、season1とseason2の間が空いてしまったので、再び関心を持ってもらいたいと思い制作したseason1の総集編にあたる作品です。ただ、これをまどかたち3人の視点で総括してしまうと、見えるものも見えなくなってしまうと考えました。そこで、season2でさらなる活躍が待っている人物たち――ようこ、アステリア、田所の視点で描きました。そうすることで、よりわかりやすくseason1を捉えられると思い、彼ら視点で描いていきました。田所は本当に活躍するかわかりませんけど（笑）。

　 →『輪廻のラグランジェ』という作品全体のテーマは？（3ページ目へ）

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データ

関連サイト

• 『輪廻のラグランジェ －鴨川デイズ－』GAME＆OVA Hybrid Disc公式サイト
• 電撃オンライン内『輪廻のラグランジェ －鴨川デイズ－』GAME＆OVA Hybrid Disc特集ページ