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2012年11月1日(木)

『マクロス』の河森正治監督が感じる『エクストルーパーズ』の魅力はバランスのとれた野蛮さ!? ここでしか読めないスペシャル対談の前半を掲載

文:電撃オンライン

 カプコンから、11月22日に発売されるPS3/3DS用ソフト『エクストルーパーズ』。本作にまつわるスペシャル対談を掲載する。

『エクストルーパーズ』

 本作は、危険な原住生物・AK(エイクリッド)や対立する組織・雪賊などが存在する入植実験惑星“EDN-3rd”を舞台にした新作アクション。斬新なグラフィック表現と、誰にでも遊べる爽快感あふれるゲーム性で、少年たちの出会いと成長が描かれる。

 この対談は、『エクストルーパーズ』と人気アニメ『マクロス』シリーズの設定が近しいものを感じるということで、電撃オンラインが発案。『エクストルーパーズ』の小嶋慎太郎プロデューサー、シナリオを担当したストーリーライダーズの佐藤大さん、プロモーションアニメの監督を担当したサテライトの安田賢司さん、サテライト専務取締役でもあり、アニメーション監督・メカデザイナーの河森正治さんという4名に参加していただいた。

『エクストルーパーズ』
▲左から『エクストルーパーズ』のシナリオを担当した佐藤大さん、小嶋慎太郎プロデューサー、サテライト専務取締役にしてアニメーション監督/メカデザイナーの河森正治さん、『エクストルーパーズ』プロモーションアニメを手掛けた安田賢司監督。

 さまざまな作品にたずさわってきたクリエイターは、本作をどう見るのか。また『エクストルーパーズ』と『マクロス』シリーズの意外な共通点とは? 前後2回にわけてお届けするので、明日掲載する後半もぜひご覧いただきたい。なお、公式サイトでも別の話題についてを掲載している。

■河森監督とカプコンが協力した『超鋼戦紀キカイオー』は10年早く出ていた?

――まずは、小嶋さん、佐藤さん、安田さんに自己紹介を兼ねて、改めて『エクストルーパーズ』中の役割についてお話いただけますか?

小嶋:本作のプロデューサーで、全体の管理をいろいろとしています。『エクストルーパーズ』を立ち上げることになったのは、新作のアクションを打ち出そうという流れが社内にあったためです。

佐藤:僕は、『エクストルーパーズ』の構成・脚本を担当しています。カプコンさんとは、今年の頭に出た3DS『バイオハザード リベレーションズ』でも脚本をやらせていただき、その作業の後半に誘っていただきました。企画の当初から「ドドドド!」という描き文字をゲームの空間にリアルタイムに出していきたいということは聞いていました。

 以前に『FREEDOM』という作品にかかわった時のことですが、神風動画さんが作ったオープニング映像が、そういう書き文字を使った演出をやっていたんです。それから「いつかこういう表現をアニメ本編でもやれたらいいな」と思っていたこともあり、この企画の大枠を説明していただき、感じるものがありました。そのため、2つ返事で「やらせてください!」とお願いして参加しました。

『エクストルーパーズ』

小嶋:佐藤さんには、かなり初期からかかわっていただきました。

佐藤:ゲームの脚本は、あまり企画の初期から入ることがないんです。ミッションがすでに決まっている状態で、セリフをあわせていくということが多いですね。本作は『ロスト プラネット』という土台となる世界観はあるのですが、ほぼオリジナルの企画となったので、やりがいがありました。あと本作は学園ものなのですが、開発チームの皆さんが若くて元気のあるメンバーで、もう学園のような雰囲気でした。企画初期に決起大会をやっていたことも印象的です。

安田:自分は前にやっていた作品が終わったタイミングで、サテライトからアニメPVの監督をしてほしいと言われました。以前の作品は女の子向けだったりおとなしい作品だったりしたため、イキのいいキャラクターが出る作品をやりたいと思っていたんです。さらにスタイルとしておもしろいことをやっていたので、「ぜひやりたいです!」ということでかかわることになりました。

――河森監督は本作のイラストや世界観を見て、どのように感じましたか?

『エクストルーパーズ』

河森:とても絵がうまいと思いました。2Dとしての作画がいいだけではなく、3Dにした時にもすごく立体映えするイラストですね。描くのは大変なんですが、それは腕がいいのだと思います。自分もゲーム用のデザインをする時は、あえて手で描きにくいデザインにします。描きやすい立体形状は、手描きには勝てないので。だから、自分で清書するのもイヤになるんだけど(笑)。

(一同笑)

河森:そこは、担当した方に画力があるから描きこなせているのだと。デザイナーの方は、デッサン力に加えてケレン味のある表現が好きな人だと思いますね。勢いがあって、野蛮な感じはすごいいいです!

小嶋:キャラクターを担当しているのは、女性です。彼女は、元々は背景を描いていたんですが、今回初めてキャラデザに抜擢されました。机に置いてあるこのフィギュアは、イーカプコン限定版に同梱されるものです。“雪賊”ということで最初の設定ではガチガチに固めた服だったのですが、デザイナーがアクセルをグッと踏んだことで、ちょっと大胆なデザインになりました。

『エクストルーパーズ』

河森:このティキのフィギュア……完全にパンツが見えていますね(笑)。それはさておき、こういうデザインはすごく好きです。うまい人は何を描いてもうまいってことですね。最近は女性スタッフのほうが、思い切って表現されていると思います。

佐藤:男性にはなかなかできない、思い切りのあるデザインですよね。

安田:キャラは描けても、背景はちょっと……っていう人がいる中で、どちらも描けるのはすごいですね。銃も細かく描かれています。

河森:背景描ける人のほうが、絵の構成力はあるのかもしれませんね。

佐藤:背景を描いていた時に、その横にキャラクターを描いたこともあったみたいです。

――1998年にリリースされた『超鋼戦紀キカイオー』で、河森監督とカプコンさんは一緒に仕事をされていますね?

『エクストルーパーズ』

河森:はい、そうです。あの作品は、マンガチックなスタイルのロボットとリアル系のロボットが混在していたのですが、そのバカバカしいことにOKを出していただけるのが、カプコンさんの楽しいところだと感じました。

 にぎやかな感じがあると、デザインが散らかりがちなのですが、この『エクストルーパーズ』はまとめ方がうまいですね。完全にアメコミにすると日本人は引いてしまうんですが、ややアメコミテイストなのにそうじゃないバランスが絶妙です。

佐藤:キャラの頭身も含めてそういうイメージがありますよね。

河森:きらびやかさやスタイリッシュさがありながら、日本人に受け入れられるデザイン。言うは易しで、かなり難しいところをついているバランスだと思います。

小嶋:そこについては、開発の中でもかなり議論しています。『スパイダーマン』の最初の映画で、1枚のコミックが実写に変わっていくという演出があって、それをうまく使えたら「デモも止め絵を使えて、楽をできるのでは?」というのが開発初期に想定したことです。が、途中で「これはダメだ」と判断して、方向を変えて今に近い形にしました。結局全部を動かすことになり、まったく楽ではありませんでしたね(苦笑)。その際には、日本人に刺さるような雰囲気は、絶対に外してはダメだと思い、確認しながら進めていきました。

河森:繰り返しになるけど、そのさじ加減がすごくいい。カプコンさんに流れる「とりあえずやってしまえ!」って風習はいいですよね!

『エクストルーパーズ』

佐藤:雰囲気がいいうえに、ゲームそのものの出来もすばらしいです! 開発中のバージョンを何度かプレイさせていただいた時に、「ゲームをよく遊ぶ自分がさわっても、おもしろい!」と感じました。

――佐藤さんにシナリオをお願いすることになった経緯は?

小嶋:自社だけでストーリーを作っているとぶつかる壁があるんです。その殻から飛び出すために、外の違う血を入れようということになったんです。佐藤さんからは少し無茶な提案もされたのですが、その提案を拒絶するのではなくて、とりあえず口に入れて噛んでみようとしました。その後、こちらからもアイデアを提案するようにしましたね。

河森:口に入れて噛んでくれるのは、いいですね。噛んでもらえないこともありますからね。

佐藤:食べてもくれずに、戻されてしまうことも多いですね(笑)。

河森:さっきの『キカイオー』は80年代の半ばから、いろいろなメーカーに持っていき、10年くらいの間、一笑に付され続けていたのです。ところがカプコンさんに持っていったら、その日のうちに「やりましょう!」ってOKが出て、決まった。

小嶋:いい案に乗っかる時、協力する時は早いです(笑)。

河森:だから、最初にカプコンさんに持っていったら、『スーパーロボット大戦』より早く出ていたんですよ!

(一同爆笑)

話題は“日常”と“ギャップ”!? 詳細は次のページで!

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