News

2012年11月1日(木)

『マクロス』の河森正治監督が感じる『エクストルーパーズ』の魅力はバランスのとれた野蛮さ!? ここでしか読めないスペシャル対談の前半を掲載

文:電撃オンライン

■恋愛表現を描くために導入されたのは……頭突き!?

――佐藤さんは脚本を書くにあたり、何を意識しましたか?

『エクストルーパーズ』

佐藤:学園ものということは、最初から決まっていました。そこへ個人的にものすごい好きな『トラック野郎』シリーズ(東映制作の映画)で菅原文太さんが演じる主人公の一番星的な主人公を書きたいなと。彼は、人のために働く主人公なんです。愛川欽也さん演じる、相棒のジョナサンのトラブルを、一番星が引き受けるんです。そこで今回も学園ものだったら、自己犠牲とは違う引き受ける強さのある主人公、振りきった熱血や、ギンギラ一番星という響きが似合うような主人公を描きたいと考えていました。

 それとジェットで一気に飛ぶスピーディーなゲーム性でもあるので、プレイヤーが動かしている主人公が何かと落ち込むタイプだったら、ジェット的な勢いは物語からも出しづらいので。あとは、プレイヤーがゲームを操作している時に、壁に頭からぶつかってしまうことが多いのですが、それからヒントとなってキャラクター性として“頭突き”というコミュニケーションのカタチを入れたいと思いました。

河森:へ~~~、なるほど。それはおもしろいね。

佐藤:恋愛だろうとライバル的な表現だろうと、あいさつの表現はすべて頭突き。そういう主人公にしました。

小嶋:かなり大事なシーンでも、頭突きをしています。

佐藤:でも、最初は怒られたんです。

『エクストルーパーズ』

河森:いや、怒られるのは大事。でも、怒りながらも許してくれる懐の深さを、カプコンさんは持っている。

佐藤:そこはボケとツッコミをわかっているのだと思います。僕ら作り手はあくまでボケなので(笑)。

河森:ボケすぎて怒られて、採用されないこともよくあるからね。それは切ないけど。

佐藤:今回は“ギンギラ一番星”っていうテーマをOKしてもらえたので、そこからはスムーズに世界観をどう広げていくかという作業に移ることができました。

小嶋:ギンギラというキーワードに対しても、「今の時代に、ギンギラかあ」という考えも正直ありました。ですが、一日寝かせて改めて考えた時に、「他にないし、おもしろい」と感じたんです。いいも悪いも何も残らないのが本当にダメで、印象に残るのは大事な要素。そこでギンギラを採用することにしました。

『エクストルーパーズ』

佐藤:必殺技を出すことがゲームの仕様として最初から決まっていたので、必殺技ありきで『ロスト プラネット』の世界観で定着させることが最初の難題でした。そこで、主人公の口癖自体が必殺技になっていくような要素を作ろうと思ったんです。

河森:タイトルが変わっているので、そのハードルは下がっているのでは?

小嶋:仮称の時は、もう少しミリタリーっぽいタイトルでした。

河森:そうなんだ。ミリタリー色を維持したままコミックのような世界観に行こうとすると、この絵柄だと難しそうだね。すごい濃い吹き出しになっていそう(笑)。

佐藤:太字な感じになりそうよね。もちろんそういう世界観でやることはできますが……最近の人たちにはちょっと狭くて。ただし濃い需要はあると思いますけど。

『エクストルーパーズ』

小嶋:そのような事情もあってタイトルを変えようと。“トルーパーズ”だけだと兵士なので、“その先”という意味でエクストラ――EXをつけて、ロゴも翼をイメージしたものにしました。漫画を意識してますので、思い切って単色のロゴにしています。

河森:文字数が多いのに、よくまとまっていていいと思っていました。

小嶋:えらく苦労しましたけどね(笑)。でも、最終的にいい感じにまとめてもらいました。

――ちなみに、最初の段階で頭突きを拒否したのは、なぜでしょうか?

『エクストルーパーズ』

小嶋:頭突きのバリエーションをいろいろ提案してもらったんです。ケンカの頭突きはわかるんですけど、他の日常で使う頭突きというのがあって「これはなんだろう?」と。普段は頭突きしないなぁ。って。

佐藤:しませんね(笑)。

小嶋:後日、全体の説明を受けた時に、後半で頭突きが生きてくることを聞きました。それを聞いて頭突きもOKと思いましたし、おもしろいと思いました。

佐藤:ゴツンやコツン、ブレンの頭突きには色々な感情表現が込められているんです。怒った時だけでなく、あいさつや愛情表現にも。“あんなシーン”にも比喩的につかったりしてますよ。

『エクストルーパーズ』

 主人公は勢いがあって、冒頭シーンから宇宙船内でガラスにぶつかってしまうような人なのですが、ヒロインのティキもおとなしく見えてかなり前のめりなキャラなんです。それを表現する意味でも、2人に頭突きを入れたいと説明しました。

河森:頭をぶつけるのが“あの比喩”というなら、攻撃のゴツンも“アレ”に見えるかもね。

佐藤:なるほど。2周目では、男同士の頭突きも違って見えるかもしれませんね! こういう表現って、別な置き換えとかしませんか?

河森:最近やった『アクエリオンEVOL』だと、主人公がドキドキすると“浮かぶ”というのを入れました(笑)。

佐藤:気持ちを直に置き換えて、どう表現するかはつねに考えますよね。しかも今回はゲーム性にかかわることなので、必殺技ありきというゲーム性は設定の段階から意識しました。

4人が考えるSFの定義とは!?

(C)CAPCOM CO., LTD. 2012 ALL RIGHTS RESERVED.

データ

関連サイト