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2012年11月21日(水)

『アンチェインブレイズ エクシヴ』はキャラゲーですか? いいえダンジョン探索RPGです――プレイしてハマったゲームのおもしろさ

文:キャナ☆メン

 ごめんなさい! 突然、何に対して謝っているのかというと、11月29日にPSPと3DSで発売されるRPG『アンチェインブレイズ エクシヴ』についてです。私、ライターのキャナ☆メンは、心より本作に携わった皆様に謝罪いたします。

『アンチェインブレイズ エクシヴ』

 この作品は、フリューさんより2011年7月に発売されたPSP/3DS用RPG『アンチェインブレイズ レクス』の続編にあたるわけですが、正直、私は前作をプレイしておらず、今作も無意識のうちに脳内の購入ゲームリストから外していました。「前作を上回る15名のクリエイターが、キャラクターデザイナーとして各界から集結!」というのは、『アンチェインブレイズ エクシヴ』のウリ文句の1つですけれど、逆にそれがキャラゲー感というか……もっと失礼なことを言うと“ナニなゲーム内容を隠すための金メッキ”に思えてしまったわけです。ええ、色眼鏡ですとも、偏見ですとも。プレイしてから判断しろという。

 しかし! 実際に発売前のソフト(PSP版)をプレイさせていただいたら、目からウロコ、このゲームのダンジョンRPGとしての醍醐味にすっかりハマってしまいました。もう、58時間以上もプレイしております。それでもまだクリアできていませんが……(すごいボリュームですね!)。何がハマったポイントかと言いますと、1回1回のレベルアップがうれしくて、宝箱の発見は探索の状況を好転させ、マップの踏破率をつい100%にしたくなるところ。地味ですか、当たり前ですか。けれどダンジョンRPGのおもしろさは、ここをおざなりにしないことが大事だと思います。だって、小さなことに大きな喜びが詰まっているのがダンジョン探索の醍醐味ですもん!

『アンチェインブレイズ エクシヴ』 『アンチェインブレイズ エクシヴ』
▲ダンジョンRPGとしてのオーソドックスなおもしろさがありながら、仲間同士で放つ必殺技のコンビネーションやプレイヤーの任意によるスキル獲得など、テイストは今風。とはいえ、過剰な演出のないバトルはテンポよく楽しめます。

■俺がドラゴン♀を口説いている!? 作り込まれた世界観にどっぷり

 おもしろいゲームは紹介せねば! ということで、ここからは『アンチェインブレイズ エクシヴ』をプレイしての感想を、もっと細かに書いていきたいと思います。初めに紹介したいのは世界観。ダンジョンRPGの没入感の1つに、世界観をちゃんと醸し出しているか、っていう部分があるかと思います。過去の有名RPGを例に出せば、宿屋に泊まるとすごく金を取られるうえに、早く歳を取るからひたすら馬小屋に泊まるという……あれ、宿泊プランが複数あるのはゲーム的に意味が薄いと思うんですが、世界観はゾクゾクするくらい感じます。

 このゲームをプレイして画面に目が釘付けになったのは、ゲーム開始後間もない、主人公・リュウガの登場シーン。リュウガ君、いきなりドラゴン女を口説きやがった! 人の姿をした美少女ではないですよ、ウロコに覆われた尻尾もあれば翼もあるドラゴンをですよ。でもそれが『アンチェインブレイズ』の世界観。女神クリューネアが創造したという世界には、人間種族はおらずモンスターしかいないんですね。卵からかえったモンスターは、子どものころは“幼生体”として人間のような姿で育ちます。でも羽化を経て“成体”になると、種族ごとの特徴を出した紛うことなきモンスターの姿になってしまう。だから、リュウガ君がドラゴン女を口説くのは自然な行為(この世界でもナンパには受け取られるようですが……)、私たちの世界ではありえない、けれど“常識”であるところにシビれました。

『アンチェインブレイズ エクシヴ』 『アンチェインブレイズ エクシヴ』
▲上に挙げたシーンの画像です。パーティメンバーは全員名前を変えられるので、ともすれば「俺がドラゴン♀を口説いた!」と衝撃を受けるわけですが、それだけに世界観を感じる一幕。でも、リュウガ君が無意識に女性を口説いてしまうのには深いワケが……。

 そして、ゲームにもかかわってくる重要な世界設定として、女神の使者が降り立つ迷宮“ティターン”の最深部にたどり着き、“神の試練”を乗り越えると1度だけどんな願いも叶う、というのがあります。つまりこのティターンこそがプレイヤーの潜るダンジョンであり、さまざまなキャラクターが“願い”を叶えるためにティターンに挑むという世界観が根底にあるんですね。ティターンは複数あり、キャラクターの“願い”にかかわるドラマを体験しながら、ストーリーとダンジョン探索を進めていくのがゲームの目的です。

 シリアスとコメディの“緩急”が絶妙なストーリーは、ダンジョン攻略のモチベーションにもつながるおもしろさ。キャラクタークリエイトはできませんが、物語とリンクした背景を持つキャラクターだからこそ味わえるドラマがありました。私の言葉だけだと疑いを持つかもしれませんが、シナリオを手掛けているのは火野峻志さん、ということを聞けば納得してくれるRPGファンの方も多いのではないでしょうか。

『アンチェインブレイズ エクシヴ』 『アンチェインブレイズ エクシヴ』 『アンチェインブレイズ エクシヴ』
▲主人公のリュウガ(左)は、世界で最後のウロボロス族。彼は自身の呪われた運命を変えるためティターンに挑み、ストーリーの核心にかかわる背景を持った2人のヒロイン――ソフィア(中央)とヒルダ(右)と出会います。
『アンチェインブレイズ エクシヴ』 『アンチェインブレイズ エクシヴ』
▲「男になりたい……!」という強烈な願いを抱えるヒルダ。実は、『アンチェインブレイズ』の世界観だからこそ「なるほど」と思える願いであり、単に奇抜ではない世界観とストーリーのマッチングが楽しめるのもいいところ。
『アンチェインブレイズ エクシヴ』 『アンチェインブレイズ エクシヴ』
▲また、ストーリー自体もいきなりの急展開。世界を統べる女神クリューネアが、配下の大天使に反逆されて力を封印されてしまうという重大事件が発端です。世界観がしっかりしているので、徐々に謎が明らかになる物語は、ついつい先の展開が気になります。

→ダンジョン探索の醍醐味を感じるのはなぜ? おもしろさを詳しく振り返ります!

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