2012年12月8日(土)
【Spot the 電撃文庫】独特のセンスに圧倒される“野﨑まど空間”がここに! 『野﨑まど劇場』を執筆した野﨑まど先生にインタビュー!
電撃文庫で活躍する作家陣のメールインタビューをお届けする“Spot the 電撃文庫”。第60回となる今回は、『独創短編シリーズ 野﨑まど劇場』を執筆した野﨑まど先生のインタビューを掲載する。
▲森井しづき先生が描く『独創短編シリーズ 野﨑まど劇場』の表紙イラスト。 |
本作は、『電撃文庫MAGAZINE』で好評連載中のユニークすぎる短編を文庫化したもの。著者である野﨑まど先生の謎センスがたっぷりと楽しめる1冊だ。死体を探しに行く検死官、対局にペットを連れてくるプロ棋士、勇者をなんとかしたい魔王、若頭、サンダーファルコン、ビームサーベル、ライオン、うげげげとしゃべる牛、電撃文庫の妖精など、変態的(?)なキャラクターたちが繰り広げる抱腹絶倒の物語が楽しめる。
野﨑先生には、本作のセールスポイントや特にお気に入りのシーンなどを語っていただいた。また、電撃文庫 新作紹介ページでは、本作の内容を少しだけ立ち読みできるようになっている。まだ読んでいない人はこちらもあわせてご覧あれ。
――この作品を書いたキッカケを教えてください。
本作は電撃文庫MAGAZINEの連載をまとめたものなんですが、最初に連載が始まったきっかけは、僕が以前に書いた短編の持ち込みからだったんです。連載第1回目は編集さんも僕もかなり手探りで……そうそう、その時に1つおもしろいエピソードがあるんですよ。
――作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?
え。あ、はい。やはりセールスポイントは、諸般の事情で没になった作品がお蔵出しで掲載されているのと……。あとはイラストレーターの森井さんとデザイナーのBEE-PEEさんのお仕事が文庫中にあふれているところでしょうか。編集さんの一言コーナーなどもあって、いろんな意味で通常の電撃文庫を逸脱した本になっているのではと思います。あ、もう刷り上がりは読まれましたか?
――作品を書くうえで悩んだところは?
……ええと。そうですね……悩んだところはいろいろありますが。連載も2年以上になりますから結構忘れちゃいましたね。思い出しますので少し待ってください……そうだなぁ……。
――執筆にかかった期間はどれくらいですか?
あの、すみません。聞いてらっしゃいますか。
――執筆中に起きた印象的な出来事はありますか?
聞いてないでしょう。あなた人の話を聞いてないでしょう。失礼じゃないですか。インタビューを依頼してこられたのはあなたのほうじゃないですか。
――主人公やヒロインについて、生まれた経緯や思うところをお聞かせください。
目を合わせて話してください! 怒りますよ! こんなに失礼な担当さんは初めてですよ!
――特にお気に入りのシーンはどこですか?
これ、まど……騒がしいですよ。
お母さん。
――今後の予定について簡単に教えてください。
少し落ち着きなさい。
ですが……。
いいですか、まど。インタビュアーというのは感情的になってはいけないお仕事なのですよ。常にニュートラルな視点から物事を見る冷静さがなければ、公正なインタビューというものは実現できないのです。
なるほど。
こちらの担当さんも一見すると冷たいだけに見えますけど、この冷徹さこそがインタビューにおける正しい姿勢なのです。この方はあくまでもプロとしてお仕事をしているだけ……そうですわね? 担当さん?
――小説を書こうと思ったキッカケはなんですか?
貴方、人の話を聞いてらっしゃるの。
――今後、どういった作品を発表していきたいですか?
目を合わせなさい! 失礼じゃありませんか!
お母さん。
――小説を書く時に、特にこだわっているところはどこですか?
帰ります! こんなところには居られないわ!
まぁまぁ。落ち着いてください、お母さん。
あなたは! 湯浅隆明電撃文庫副編集長!
――アイデアを出したり、集中力を高めたりするためにやっていることは?
電撃オンライン編集部の若い者が失礼をいたしました。行き届かないところがありましたことをお詫びします。
いえ、そんな。
ですがどうか解っていただきたい。彼の頑なな姿勢もまた、電撃文庫を愛するがゆえに生じてしまった歪み。彼は彼なりに私たちの本を、電撃文庫を愛しているのだということだけは、ぜひともご理解いただきたいのです。
湯浅さん……。
ええ、解ります。解りますわ。
私たちが争ってどうするというのです。手を取り合おうじゃないですか。皆、1冊の本を作り上げる同志なんです……そうだろう!
――今熱中しているものはなんですか?
聞いているのかね!! 目を合わせたまえ!! 君ッ!!
湯浅さん。
不愉快だ! 私は帰らせてもらう!!
――お待ちください。
あ! あなたは!
小西康雅電撃オンライン副編集長!
――うちの者が飛んだ失礼を。彼がこのコーナーの担当になって日が浅いもので……。本人に代わりましてお詫び申し上げます。
いや、そんな。
――ですが1つだけ弁明させてください。彼は身も心も電撃オンラインに捧げた男。ですから彼と話をするには、今の私のように電撃オンラインの一部となるしかないのです。
なるほど。
つまり間違っていたのは私たちのほうなのですね……。
――いいえ。間違った人間なんて、この場には1人もいません。皆が自分のできることを精一杯やった……でもその想いが、ほんの少しすれ違ってしまっただけですよ。
副編集長……。
――今こそ和解の時です。私たち5人で力を合わせて、電撃文庫の新刊『野﨑まど劇場』を宣伝しようではないですか! さぁ! 手を!
――ゲームで熱中しているものを教えてください。
――聞いてないだろ!! お前1つも聞いてないだろ!! 目を合わせろッ!!
副編集長。
――それでは最後に、電撃オンライン読者へメッセージをお願いします。
――何が最後だ!! 最後なのは君だッ!! もう明日から会社に来なくていい!!
にゃあ。
あ、猫だ。
猫ね。
猫か。
――猫だなぁ。
――かわいい。
(つかみ合いの喧嘩)
(C)野﨑まど/AMW
イラスト:森井しづき
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