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2012年12月26日(水)

2012年の俺的ベストゲーム! 年末年始に遊んでおきたいゲームを厳選! レビュアー:ウォルフ中村【電撃PSプレゼンツ この冬はこれで遊べ!】

文:電撃PlayStation

『俺に働けって言われても』
(PSP/イースマイル/2012年4月5日配信)
『俺に働けって言われても』

 突然、親を亡くした主人公が、家賃を払い、借金を返済するために働くRPG。普通なら、お店で働いたり、冒険者となってクエスト報酬を得たりすることでお金を稼ぐところです。が、この主人公、家から一歩も出ません(笑)。雇った冒険者にアイテムを採取してきてもらったり、モンスターを倒してきてもらったりして、それをもとに生計を立てているんです。もちろん、冒険者には給料を払わないといけませんし、効率よくお金を稼ぐためには自腹で施設を建てる必要もあります。それらをうまくやりくりして借金返済を目指すというのが、この『俺に働けって言われても』なのです。

 基本システムはシンプル。プレイヤーがやるべきことも、冒険者を雇い、彼らに武具を購入させ、探索場所や行動内容を指示し、冒険の報告を受ける……これの繰り返しです。ダンジョン探索中は画面にマップとメッセージが表示され、冒険者たちの行動内容がわかるようになっています。とはいえ指示を出せるわけではないので、「よし、隠し通路を見つけた!」とか「そこの角、探索し忘れているぞ!」とか「そのモンスターは強いから近寄るな……あ、やられた」とか、ハラハラしながら見守るだけなのですが。冒険者には職業の他、性格やスキルといったパラメータが用意されていて、探索方法にはチームリーダーの性格が大きく影響してきます。

 探索以外にもできることはあります。ギルドからは依頼を受けられますし、武器屋や魔法塔(行けるダンジョンが増えます)といった施設を建てるのも大切なこと。施設の建設には素材やお金が必要ですが、増設してレベルを上げることも可能です。また、冒険者だけではなくアドバイザーも雇えます。ダンジョン、市場、戦略の3種類があって、ダンジョンアドバイザーなら冒険時にサポートが受けられる、というようなメリットがあるのです。もちろん、彼らにも給料を支払う必要があるのですが。

 探索時には記号化してしまいますが、登場人物も魅力的です。主人公に素晴らしい働き口を見つけてくれた親切な大家さん(あえて注釈はつけません)はとても重要な存在ですし、冒険者からの賃上げ要求メールも味なもの。雇った冒険者どうしが結婚するイベントまであります(いろんな意味で泣きましたが)。

 最後に、ダウンロード専売タイトルということを抜きにしても、1,000円(税込)という価格設定には驚かされました。ダンジョンや職業、所持金などを増やす追加ダウンロードコンテンツもありますが、こちらも価格は50円~150円とリーズナブル。公式サイトに“「このゲームの難易度は追加DLCを適用しないこと」を前提に調整されています。”と書かれているように、これらは自力でクリアするのが難しい人やプレイする時間があまり取れない人に向けたもの。それでも、こういったフォローはうれしいものです。

 そう言えば、「ユーザーからの要望を受け、より遊びやすくするためのアップデートを行う」というフォローもありましたっけ。すでに、フルリメイク版の『俺に働けって言われても 乙』が来春に出ることが発表されています。ただ、その予習も兼ねて(!?)、この年末年始は借金返済に駆けずり回る(主人公は家から出ませんが)のもいいのではないでしょうか。


『那由多の軌跡』
(PSP/日本ファルコム/2012年7月26日発売)
『那由多の軌跡』

 タイトルに『軌跡』とついているものの、『空の軌跡』三部作(『FC』『SC』『the 3rd』)や『零の軌跡』『碧の軌跡』とは舞台も、登場人物も、ゲームシステムも、まったくの別物。共通点と呼べるのは、通貨単位の“ミラ”、ボス戦で負けたときに出る“難易度を下げてリトライ”という選択肢、マスコットキャラの“みっしぃ”ぐらいしかありません。ジャンルがA・RPGだけにアクション性は強いし、操作できるキャラも主人公のナユタだけ。従来の『軌跡』シリーズの続編を期待していた人は「あれ?」と思ったことでしょう。

 ただ、これは“シリーズ未経験者でも問題なく楽しめる『軌跡』シリーズ”と表現することもできるはず。すべての『軌跡』シリーズを楽しんできた私ですが、すぐに頭を切り替えて『那由多の軌跡』を楽しむことができました。アクション要素の強いゲームなので、冒頭部分を遊んだ段階で「あ、こりゃ違うわ」と思い知らされたとも言えますが。

 まずは、そのアクション要素についてですが、よくできています。ジャンプや回避行動、剣技などの動きは軽快ですし、片手剣と両手剣(武器はこの2系統のみ)の差もちゃんと実感できます。24種類あるアーツ(魔法)はそれぞれに特徴があるので、装備する4種類を選ぶのにも悩むほど。

 アーツは使い続けるほど性能が上がっていくため、私は使い勝手のいいものを育て上げたあとはボス戦まで封印し、他のアーツをまんべんなく育てるようにしていました。アーツの育て方にはプレイヤーの性格が出そうですね。攻撃を当てたりガードに成功するとたまる“チェイン”もおもしろい存在。チェインを続けると恩恵(攻撃力が上がるなど)を受けられるため、途切れさせないテクニックが求められるんです。

 戦闘中でもお弁当を食べれば体力を回復できる(攻撃力アップなどの特殊効果が含まれるものもあります)点にも大いに助けられました。霜降りステーキカレーを5つも6つも食べながらボスと戦うナユタを見ると、ツッコミを入れたくもなりますけど(笑)。

 ギアクラフトという特殊能力も、ダンジョンやボスキャラの攻略に欠かせない存在としてうまく機能しています。ダンジョンのサイズは決して大きくないものの、雪や強風がナユタの動きを邪魔したり、パズルや魔法仕掛けのギミックがあったりするため、飽きさせません。大きな晶石や宝箱の探索、ダンジョンごとに設定されているミッションといった、やりこみ要素も用意されています。しかも、ほとんどのダンジョンでは四季ごとに見た目やギミック内容、敵の種類まで変わるのですから……。よくぞここまで作り込んだものです。

 ダンジョン内の奥行きがわかりにくくて距離感がつかみづらい、魔法セット画面での初期カーソル位置が微妙、アクション要素が強いのにキー設定が固定、町中での移動速度を上げられるのは2周目から……気になる点は確かにあります。それでも私は楽しくプレイできたし、クリア後はすぐに2周目を始めたほど。2周目をクリアし、実績(トロフィーのようなもの)をすべて取り終えたときには大きな充実感、達成感を味わいました。物語が終わってしまったことを寂しく感じつつも、いろいろなことに思いを馳せながら余韻に浸ったものです。

 ナユタをサポートしてくれるノイという妖精が出てきます。『那由多の軌跡』を思い出すたびに、苦楽を共にしてきた彼女を、私は真っ先に思い浮かべます。私にとってこのゲームのヒロインは、紛れもなく彼女でした。なぜそう思うのかは、実際にプレイすればわかってもらえるでしょう。

→最後は、PS Vitaからあの作品を選出!(3ページ目へ)

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データ

▼『レイマン オリジン』
■メーカー:ユービーアイソフト
■対応機種:PS3
■ジャンル:ACT
■配信日:2012年4月25日
■価格:2,500円(税込)
▼『俺に働けって言われても』
■メーカー:イースマイル
■対応機種:PSP
■ジャンル:RPG
■配信日:2012年4月5日
■価格:1,000円(税込)

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