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2013年2月5日(火)

新規ルートは物語を根底からくつがえす展開に――『リベリオンズ』シナリオライター・月島総記さんにインタビュー!

文:ごえモン

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■「チーム月島が担当した作品はどれもおもしろい」と評価してもらうように

――『リベリオンズ』には個性的なキャラクターが多数登場しますが、月島さんが特に好きなキャラクターは誰ですか?

 あまりキャラのひいきはしないタチなのですが、あえて好きなキャラを挙げますと、藤田修平と藤堂悠奈と●●●●ですね。それと人間的に好きかどうかというと、ちょっと違うかもしれませんが……ライターとして興味深かったキャラは、黒河正規と○○○○です。

『リベリオンズ Secret Game 2nd stage』 『リベリオンズ Secret Game 2nd stage』
▲藤田修平(画像左)と藤堂悠奈(画像右)▲黒河正規

――黒河と○○が興味深い……その理由は?

 私は作品をリメイクする際、一般的に嫌われているキャラや要素を深く検証してみるところから、作業を始めます。例えば嫌いなキャラがいたとしても、それから眼を背けていては、その作品を真に理解したことにはならないと考えているからです。特に○○については、中澤監督からも「ただの嫌われ者にしないでくれ」というオーダーをいただいていたので、特に注意して描きました。

 それと城咲充や荻原結衣など、原作では活躍の場が少なくなったキャラたちも、うまい生かし方を考えているうちにどんどん好きになっていきました。今ではどのキャラもみんな大好きです。

――0から作るわけではないので難しいかもしれませんが、14人の中で書きやすかったキャラクター、書きにくかったキャラクターをそれぞれ教えてください。

 原作の時点ですでに、すべてのキャラがしっかりと立っていたので、どのキャラも書きやすかったです! 特に書きやすかったキャラは、藤田修平・藤堂悠奈・粕谷瞳・黒河正規・城咲充ですね。書きにくかったキャラはあまり思いつきませんが、強いて言えば阿刀田初音かなぁ……。

 初音は“落ち目のアイドル”という経歴が特殊なので、若干心理がつかみにくかったかもです。瞳も同じく経歴が特殊ですが、行動原理が超シンプルなので、こちらは問題ありませんでした(笑)。

『リベリオンズ Secret Game 2nd stage』
▲阿刀田初音

――日向もやしさんと月島トラさんはどのキャラクターが好きなのでしょうか?

 さっそく日向とトラに聞いてみます。どうですかお2人さん?

日向もやしさん:お気に入りは女性キャラであれば荻原結衣、男性キャラであれば城咲充です。あの2人が絡んだ時だけ「○○○」という私にとって重要なキーワードを口にしてくれるので、どうしても特別視してしまいます。他の理由としては結衣の“あまり物事を深く考えないところ”と、充の“眼鏡をかけているところ”が、私自身と似ているような気がするから、というものがあります(笑)。

月島トラさん:特にお気に入りなキャラと言えば吹石琴美と蒔岡玲、この2キャラが推しメンですね。琴美は、原作の“あるシーン”を初めて見た時に非常に驚かされて、それ以来お気に入りです。ヒロインのあり方について考えさせられたキャラと言っても過言ではないでしょう。

 逆に、玲はどのシーンでも満遍なく好きで、もう玲がしゃべっているだけでおもしろい。あらゆる側面を内包している彼女は、見ていて飽きない、一番友だちになりたいタイプのキャラですね。怒ったりしたら刀を持って追っかけてきそうですが、それはそれで。

――上記の好きなキャラクターについて、「活躍させよう」や「生き残らせよう」など優遇してしまう気持ちはあったのでしょうか?

 優遇したい気持ちはありました、が……! それでもどうしても殺さざるを得なくなり、泣く泣く死ぬシーンを書いたことも多々あります。そういうシーンは、やっぱり書いていて辛かったですね。書きながら号泣してしまったこともあります。

 この物語は残酷です。エピソードによっては、主人公ポジションのキャラも容赦なく死にまくります。一寸先は闇というのが、当シリーズの魅力かとも思いますので。

『リベリオンズ Secret Game 2nd stage』 『リベリオンズ Secret Game 2nd stage』

――原作ではあまりいいところがなかった充ですが、Bルートからの彼の活躍と思いに胸が熱くなりました。

 ありがとうございます! 充をあんな風に描いたことについては、原作スタッフの方々のご意向でもありましたから、特にうれしいです。

 充はいわゆるヒーローではありません。どこにでもいる等身大の少年であり、卑怯なところや弱いところもたくさんあります。でもそんな彼が、なけなしの勇気を振り絞って戦う時、修平ら主人公ポジションのキャラが活躍するのとは違った輝きを放つのだと思います。

 充も含め、『リベリオンズ』に登場する14人は、全員にそれぞれの見せ場があります。最初は信念を持たなかったキャラたちも、このゲームを通じて揺ぎなき信念を手に入れ、己の生を生き抜きます。充のみならず、他のキャラたちの活躍についても、どうかご期待くださいませ。

――そんな『リベリオンズ』のシナリオを執筆するうえで、悩んだこと、苦労したことはありますか?

 今までで一番難産の作品だったため、苦労は枚挙にいとまがありませんが……1つだけ挙げるとすれば、各キャラの行動や心情やルールの整合性を取ることでしょうか。『ルートダブル』の時も登場人物9人分の行動・心情をうまく調整するのは骨が折れましたが、今回はさらに5人増えて総勢14人の登場人物が出てきます。それを調整するのは、正直自分1人では不可能な作業でした。

 日向とトラは無論、中澤監督やスタッフの方々にも協力していただいたおかげで、最終的にはなんとかまとまりましたが……本当に難しかったです……。

――他に、本作の執筆中に起きた印象的なエピソードはあったら教えてください。

 ありました! 実は締め切り直前の超修羅場の中で、私が体を壊してしまい、そのリカバーを日向とトラと中澤監督にお願いすることになってしまいました。特に日向は、私が執筆する予定だったシーンの一部を代わりに急遽書く羽目になり、大変な苦労を強いてしまいました。

 むろん制作スタッフの方々にも、多大なご迷惑をおかけしてしまい、海より深く反省しました……もうこんなことは二度と起こしたくないものです……。

――『ルートダブル』執筆時には作品の内容を巡って中澤さんと言い争いになってしまったそうですが、今回はいかがだったでしょうか?

 今回は中澤さんとは大丈夫でした。かなり自由にやらせていただいたし、いろいろアイデアももらったし、先に申し上げた私の戦線離脱の際にも〆切面などで大いに助けていただいたし、感謝するばかりです。

 しかし一方で、日向やトラとはしばしば言い争いになりました(苦笑)。『ルートダブル』の執筆時は初めての長編タイトルの仕事だったということもあり、日向もトラもどこか私に遠慮してくれていたように思うのですが、今回は2人とも遠慮なくぶつかってきてくれました。しかしその分、必然的にチーム内での意見の対立も多くなり、時には互いに譲らず、夜通し論争になることもありました。

 しかしそれだけ白熱した現場の中で生まれたシナリオには、それ相応の熱意がこもったように思います。例えば議論の中でトラが口にした言葉が、そのまま作品の根底に流れるテーマになったり。日向と激しい論争を繰り返すうちにプロットが洗練されていったりと、得たものは多いです。そうやって互いにぶつかり合ってこそ、いいものが生まれるのだと、今では信じております。

――今回、初めて『シークレットゲーム』を知ったという人は、1作目と今作、どちらを先にプレイするのがオススメでしょうか?

 そうですね……1作目から遊ぶのがスタンダードな遊び方のように思いますが、あえて今作からプレイしてみると、また違った楽しみ方ができるかもしれません。

 今作の中には、1作目にもつながる伏線がいくつか仕込まれていますが、その結果が1作目のプレイ時に見えた時、かなりの興奮が感じられるように思います。前作のアレの裏事情がわかったり、あのシーンの裏で起きていることが見て取れたり。今作を先にプレイした方こそ、この辺りの仕掛けが十全に楽しめる気がします。

――チーム月島の今後の活動予定について教えていただけますか?

 今後も中澤監督とお仕事させていただくこともあるかもしれませんね。監督のご意向と慈悲次第ですが(笑)。またそれ以外にも、いろいろとおもしろいことを仕掛けていきたいと思っております。ゲームや小説、あるいはそれ以外のメディアでも、常におもしろい作品を提供していきたいです。

 どのメディアでもどんなジャンルでも、「チーム月島がストーリーを担当した作品は、どれもおもしろい」と言っていただけるよう、1つ1つの作品を精一杯心を込めて作っていきたいと思います。

――最後に、発売を楽しみに待っている読者へメッセージをお願いいたします。

 今回は原作ファンの方々の望みに答えられるよう力を尽くすとともに、新規ユーザーの方々にも楽しんでいただけるよう、できる限りの工夫を凝らしました。デスゲーム好きな方、サスペンス好きな方、ガンアクション好きな方、青春群像劇が好きな方……そんなさまざまな方々に喜んでいただける作品になったのではないかと思っております。恋愛・友情・駆け引き・謎解き・格闘技・銃撃戦など、あらゆる要素が入った娯楽大作です。どうぞ楽しんでいただければ幸いです!

(C)FLAT/イエティ/Regista

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