2013年2月18日(月)
STG用アケステ『リアルアーケードPro.AX S+G』は買いか? 人類初の『怒首領蜂 大往生 デスレーベル』真・緋蜂改撃破者MONさんに聞いてみた
2月8日にHORIから発表されたXbox 360用のアーケードスティック『リアルアーケードPro.AX S+G』。究極のSTG用スティックとして謳われる本製品ははたして“買い”なのか? この記事があなたの背中をひと押しするきっかけになれば幸いだ。
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まずは本製品の仕様について紹介する。本製品はレバーにセイミツ工業(以下、セイミツ)製の『LS-32-01』を採用し、ボタンには三和電子(以下、三和)製の『OBSF-30RG』を採用している。また、筐体には『ソウルキャリバーV対応スティック』や『鉄拳タッグトーナメント2対応スティック』、『デッド オア アライブ5対応スティック』と同様のN筐体を採用しており、『リアルアーケードPro.VX SA』シリーズと比べると横幅が狭く、奥行きが増している。
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▲天板にはブルーとグレーの六角形をあしらったデザインになっている。製品版ではこの色がもっと鮮やかになるという。 | ▲STARTボタンとBACKボタンの入れ替えや、LBと左スティックボタン、RBと右スティックボタンの切り替えも可能。 |
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▲底面にある8カ所のネジを外せば、内部のレバーやボタンにアクセスできる。なお、天板の六角ネジを外すことで上からのアクセスも可能だが、事前に内部のコードをまとめているタイラップを切りはずす必要がある。 |
なお、本製品は発売前にプレオーダーを募って、そのオーダーが一定数に達した段階で正式に製品化が行われる方式を採用している。プレオーダー自体がそのまま購入となるわけではなく、製品化が決定してから再びオーダーする形になる。まずはプレオーダーが行われなければ本製品は世に出てこれないので、興味がある人はプレオーダーページから登録をしてみてほしい。
ところで、アーケードスティックは昔からSTGを遊ぶならセイミツが一番と言われているが、それはなぜなのか? そしてボタンがセイミツではなくて三和なのはなぜなのか? STGニワカ勢である筆者だけで考えても答えは出そうになかったので、友人であるMONさんの自宅にお邪魔して話を聞いてきた。
<MONさんとは>
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▲MONさん近影。せっかくなので自作のオパオパヘルメットをかぶってもらった。 |
2010年9月18日に難攻不落と言われていたPS2『怒首領蜂 大往生』のボスのみと戦えるモード“デスレーベル”の2周目クリアを達成。その知らせはインターネットを駆け巡り、一躍時の人となった。本作の発売当初(2003年4月)から攻略を始め、チャレンジ回数1807回(撃破当時)、そして7年半もの歳月をかけて人類で初めて完全制覇まで至った。とはいえ、MONさんいわく、2人めの制覇者がすでに出ている上に、3回もクリアされてしまったので、その威厳もなくなりつつあるとか(笑)。
ちなみにデスレーベルでは2周目に突入すると、残機が0のままで戦うという鬼のような仕様になっている。その他のMONさんに主なクリア履歴を聞いたところ、「基本的にはクリアして満足してしまうタイプなので、特筆するような記録はないんです」とのこと。とはいえ、一般人からすればすごいと思われるので、いくつかを以下に記させていただいた。
・AC『怒首領蜂』2周ALLクリア(C-S 3.9億点)
・AC『怒首領蜂 大往生(白)』2周ALLクリア(B-S 9.2億点)
・AC『グレート魔法大作戦』ALLクリア(カルテ 6800万点)
■『怒首領蜂大往生』デスレーベルモードクリア動画
■STGにはセイミツがなぜ合っている?
レバーの特性はSTGのゲーム性に直結する部分なので、ボタン以上に大事なパーツであるのは間違いない。では、セイミツ『LS-32-01』がSTGと言われている理由はどこにあるのか、これまで何度も質問されているかもしれないが、無邪気にMONさんに聞いてみた。
MONさんいわく、STGだからといって必ずしもセイミツが一番というわけではなく、レバーの持ち方・プレイスタイル・操作感覚の好みによっても異なってくるという。セイミツがその性能を発揮するのは細かい操作を多用するような時であり、弾幕STGは特に真価を発揮しやすいとのこと。
三和レバーとして一般的に採用される『JLF-TP-8Y-SK』は、セイミツ『LS-32-01』と比べてレバーの重さは軽いものの、入力が行われるまでの遊びと、レバーを倒しきった時のストロークが長い。そのため、細かい動きをする場合に、入力を受け付けない時間がわずかながら存在してしまい、それがSTGには合わないと言われる原因らしい。逆にセイミツ『LS-32-01』は、三和『JLF-TP-8Y-SK』よりも遊びが少ないため、より精密な動きができるが、誤入力しないようにレバーは比較的重く設定されている。
また、セイミツ『LS-32-01』と三和『JLF-TP-8Y-SK』では、レバー自体の長さが異なり、セイミツのほうが短くなっている。これもレスポンスの違いに直結している部分ではあるが、MONさんはワイン持ち(手のひらを上に向けて中指と薬指の間にレバーを挟む持ち方)なので、レバーの長さの違いによる影響は少ないようだ。
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▲MONさんはワイン持ち。 |
なお、MONさんがデスレーベルモードで2周目の最後に登場する“真・緋蜂改”を倒した時のレバーは三和『JLF-TP-8Y-SK』とのこと。ただし、ノーマルの三和『JLF-TP-8Y-SK』ではなく、レバーの遊びが少なくなるように調節されたレバーである。そして現在は、プレイのし易さからセイミツ『LS-32-01』を使っているとのこと。
MONさん「細かい動きが要求されるSTGならセイミツ『LS-32-01』」
■なぜボタンにセイミツではなく三和を採用したのか?
前述したように本製品は、ボタンに三和『OBSF-30RG』が採用されている。STG用ならセイミツ製を選ぶのが定石と思われるが、三和を選んだ意図はどこにあるのだろうか。
これについて、ボタンにセイミツ『PS-14-G』ではなく、三和が採用されている理由は、リードスイッチ式ボタンを採用するセイミツ『PS-14-GX』が生産終了になっているからではないかとMONさんは推測する。
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▲PS2用の『リアルアーケードPro Special Edition』。レバーとボタンにセイミツ製のものを採用。ボタンが平べったくて皿にようになっているのがわかる。 |
リードスイッチ式ボタンは、一般的なボタンと異なる構造となっており、ボタン内部で接点同士が触れることなく入力が行われる。そのため一般的なボタンよりも耐久性が高いというわけだ。この三和『OBSF-30RG』はリードスイッチ式を採用したボタンであり、一般的なボタンとして流通している三和『OBSF-30』よりも単価が2倍以上。これだけでも豪華な作りになっていることがわかる。
また、三和『OBSF-30』はセイミツ『PS-14-G』と比べて軽いタッチでボタン入力できるのが利点だが、STGでは逆に誤ったボタン操作にも繋がりやすい。また、ボタン入力から底までのストロークが長いために瞬時のボタン切り替えでロスが生じる可能性もある。この点において三和『OBSF-30RG』は入力後のストロークがセイミツ『PS-14-G』および『PS-14-GX』とほぼ同じなため、似たようなフィーリングでボタンを押すことができる。
MONさん「セイミツ『PS-14-GX』置き換えとしての三和『OBSF-30RG』」
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『怒首領蜂 大往生』は株式会社ケイブ様の著作物です。