2013年2月26日(火)
――ここからはGユウスケさんご自身のことについて伺います。まずは、イラストレーターとなった経緯から教えていただけますか?
昔からマンガを読むことと絵を描くことが嫌いじゃなかったんです。それで、こちらの業界に進みたいなと大学進学前に考えたのですが、結局行けず……。その後、なんやかんやと大学に4年間通っちゃったんですが、卒業した折に「やっぱり行こうかな」と思い立って、代々木アニメーション学院の福岡校に入りました。
その時のCG科の先生が結構厳しい人だったので、通ううちになんとか描けるようになっていきました。元々、コンシューマゲーム業界に興味があったのですが、コンシューマに行くほどの技量はないと判断したんです。そこで、とりあえず絵が描けるところ――2Dのイラストが多いのはビジュアルノベル系の作品なので、ビジュアルノベル系の作品を作っている何社かをあたって、その1社目がlight(株式会社グリーンウッド)だったんです。その時は、線画が得意ではなかったので、グラフィッカーとして入社しました。
――なぜlightだったのですか?
確か、『僕と、僕らの夏』(2002年2月発売)をちょうど制作している時期で、「いいな」と思って受けてみました。原画が笛さんだったので、なんとか採用された時は「ヤッター!」と喜んだのですが、入ってみたら会社に笛さんがいなくて……(笑)。
――グラフィッカーとしては、いつごろから活躍されていたのでしょう?
『Sultan ~The Lovesong is Forever~』(2002年7月発売)のころからグラフィッカーとして参加していますが、初めてチーフになったのが『ドキドキしすたぁパラダイス』(2003年2月発売)でしたね。その時の社内には“チーフ持ち回り制”という変わった傾向がありまして、まだ入社して半年ぐらいだったのですが、グラフィックチーフを担当することになってしまいました。
チーフになるといろいろとデータをまとめる作業があるのですが、特に立ち絵をまとめる作業が自分の性格的にものすごく面倒くさかったです(笑)。でも、初めての体験だったので、会社に泊まったり、自分なりにこだわったりして、楽しく仕事ができました。
――そこからは何度もチーフを経験しているんですか?
その後は『ぬいぐるまー』(2004年12月発売)でチーフを担当しましたが、グラフィッカーとしては大体の作品にかかわっています。
――それがずっと続いて、『Dies irae』の原画に抜擢されるんですね。
『Dies irae』のプロジェクトは2005年くらいから始まったのですが、そこで初めて原画を担当することになりました。最初は本当に苦労して、自分の中のいろいろなものを総動員して、やっとの思いで作った作品です。実は、原画をやりつつもグラフィッカーとしての作業をしていて、少し色のこともお手伝いしていました。そこから肩書きが“原画”になり、現在まで続いている感じですね。
――当時、『Dies irae』のイラストを見た時は衝撃的でした。これは絶対に買おうと思わせるパワーがあったと思います。
後から聞いた話ですが、当時、いろいろなところから「この原画家さんはどこから探してきたの?」と問い合わせがあったそうです。かなり前から社内にいたんですけどね。
――そんなGユウスケさんに影響を与えたイラストレーターというと、誰になるでしょうか?
影響は常に受け続けていて、基本的には、どんどんうまいイラストレーターさんがあふれていっていますから、その時々で好きな人が変わります。ただ、ずっと不動で好きなのは田中久仁彦さんですね。
――それでは、最近注目されている人は?
最近……とは言えないですけど、三輪士郎さんとかカントクさんとか、大暮維人さんとか、いろいろなタイプの方に注目しています。男はカッコよく、女の子はかわいく、というスタンスが自分の中であるので、そこをうまく描いていると思う人には注目していますね。
――Gユウスケさんのこれまでの作品を思い描くと、「なるほど!」と思える方々ですね。ちなみに、Gユウスケさんは『神咒神威神楽』では“じぃゆうすけ”とクレジットされていますが、これには何か意図があるのでしょうか?
外来語を使わないという作品コンセプトと、あとはネタです。『神咒神威神楽』でだけ使われる名前だと思うので、サインなどはレアかもしれないですよ(笑)。
――作画環境(使用ソフトなど)について教えていただいてもよろしいでしょうか?
最近は、鉛筆とシャーペンで線画を描いて、『Photoshop』で仕上げています。
――作画をする際に注意すること、気をつけていることはありますか?
僕の場合、企画があっての絵なので、企画に合った絵を描くように心がけています。その企画によって変わりますが、『神咒神威神楽』の場合は、ひと目で“和風”だとわかるように、昔の服装が載っている資料を参考にしながら、気をつけて作画しました。
――イベントCG1枚で、大体どれくらいの時間がかかるものなのでしょうか?
簡単なものだと、1日で終わります。『Dies irae』で出てきた“座”の戦いなど、通常の2倍くらいある縦長CGなどは、線画だけで2~3日かかって、塗りが終わるまでに1週間ぐらいかかる時もあります。『神咒神威神楽』で言うと、初めて夜都賀波岐が出てきたところとかですね。
――巨乳がお好きということですが、描いていて楽しい属性や見た目、得意な女の子はどのようなキャラクターでしょうか?
バトルシーンのCGとかは描いていて楽しいです。特に、ガチでやり合っている瞬間が好きなんです。でもゲームの性質上、イベントCGが発生する場面って、大体しゃべっていることが多いですよね。バトっているけど、語っている。だから、激しくぶつかり合うほど語れないはずなので、語れるぐらいのCGにしなければならない。そこはジレンマです。
あと、巨乳は確かに好きなんですけど、描いていてラクなのはロリだったりします。小さいですし、ストンとラインが出しやすいので(笑)。
――最近ハマっているゲームはありますか?
実は、そんなに美少女ゲームをやっていないんです。最後にやったのが、確か『猪名川でいこう!!』(Leaf/2000年発売)なんですよ。
――かなり昔ですね(笑)。
大体はコンシューマゲームばかりをやっているのですが、RPGとか、最近はクリア手前でやめちゃいます。プレイ本数も、会社に入ってからは減る一方ですね。つい最近プレイしたのは『ドラゴンズドグマ』ですし。
――これまで、『タペストリー ‐you will meet yourself‐』(2009年2月発売)などの現代の人間ドラマや『Dies irae』などのバトルモノの原画を担当されてきましたが、今後、描いてみたい、または挑戦したいジャンルはありますか?
ジャンルにこだわりはないですが、正田さんの新企画は『タペストリー』の要素も『Dies irae』の要素も入っていて、やりたいことが結構盛り込まれている感じですね。だから、今まさにやりたいことをやっています。
→六条さん登場はGユウスケさんの思いつきから!?(4ページ目)
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