2013年3月5日(火)
――オープニングムービーは“赤壁”をピックアップされました。『1』や『2』のOPの時に1シーンあったくらいの印象ですが、今作のオープニングを赤壁にしたのには、何か理由があったのでしょうか?
鈴木:赤壁を選んだのは、三国志の中の名場面の1つだからです。『6』の時には“長坂の戦い”で、それ以外を考えた時に“樊城の水攻め”とか、色々といくつか案は上がりました。ただ、実際には趙雲が大軍相手に大活やくはしてないんですけど(笑)……そこは置いておくとして、呉の周瑜が活躍できますし諸葛亮も出てきます。あと曹操を敵にした戦い……ということあり、赤壁は3つの勢力が戦っているシーンを描けますし、見栄えがするということで決まりました。
――さまざまなエピソードが描かれるシリーズ。本作の特徴としてストーリーにifが入っていることがあると思うのですが、なぜifルートを採用したのでしょうか?
鈴木:これも集大成、アルティメットというところにかかわってきます。『6』の時には“シネマティック”というキーワードを掲げ、ドラマ部分に力を入れたストーリーモードがご好評をいただきました。そこから『7』を作る際にもドラマ性を大切にしていこうとは思っていたのですが、三国志という大筋は変えられないですよね。
――三国志から外れるわけにはいきませんから、そうなりますね。
▲郭嘉が赤壁に登場!? ifルートでは史実ではなかったシーンも描かれる。 |
鈴木:エピソードや演出を替えたり、シナリオを替えるということはもちろんやるのですが、それだけで満足してもらえるのかと考えた時に、ifの要素を取り入れるのも必要だろうと思いました。
また、『6』のシナリオは三国志演義や史実をベースにしたもので、ストーリーとしてはかなりご好評をいただいたのですが、武将の死を多く描いていたり、ラストが勢力の最後ではなく、物語的にいい所で終わるようにしたりしていたので、時代的には少し中途半端に感じられた方もいたと思います。
『5』までは、後半の物語が三国志とは少し外れますが、ハッピーエンドでキリよく終わるような流れでした。そういうのを望んでいる方もいるだろうということで、両立させるためにはどうしたらいいかを考えて、ifを入れることにしました。
――ifシナリオの作り方なんですが、史実を色々勉強して「ここをこういう風にしたらおもしろい」というように作っていくのですか? それとも、武将を生かすために必要な展開を考えられるのですか?
鈴木:それは両方ありますね。
宮内:武将を生かす描き方はよく考えました。一個一個の戦いのデザインもそうなんですが、そもそも物語として人が死んでいくものを、ifで死なないようにしていくことで、その勢力としてどうやってハッピーな完結を迎えられるのかというストーリーラインが重要になります。どういう戦いをデザインしていけばいいのかは、ストーリーラインさえ決まってしまえば、後から考えられるんですよ。この武将がここで生き残っているから、この合戦ではこういう見せ場を作ってあげようというように。
後はクリエイターなので、そこに遊びを入れながら、ステージが構築されていきます。この武将が生き残って、このようにストーリーラインが流れていくということを決めるまでは、結構大変でしたね。
――遊びといえば、またダジャレを言う兵士がいると思ったんですけど……。
鈴木:アハハハ(笑)。台詞を考える担当に、ダジャレが好きな人がいるんです。前回はその人が頑張って、全部の砦に入れたんです。だから『6』の時は細かく聞けばわかるんですけど、どこかに必ずいるんですよね。
典韋が死んだ直後の、すごいシビアなシーンにもダジャレを言う兵士がいて、最初は開発内でも「(ここでは)止めよう」という意見もあったんですよ。
宮内:私もギリギリまで止めたかったんですけど、「目立たないように置きますから!」って本人が言って……。クリエイターは、欲求に全部フタをするよりは、ノビノビとやらせてあげた方がパフォーマンスが大きく出る場合もあるんです。まあちょっとおもしろがってというのも変ですけど、ある程度は容認することが多いですね。
鈴木:本来の自分の仕事以外の作業として、ダジャレを入れているんですよね。
宮内:そうなんですよね(笑)。ちゃんと仕事はしているし、だったらいいかという感じです。
鈴木:それらもあって、先ほどの典韋のシーンにも採用されました。本作も、その担当のこだわりによってダジャレを言う兵士がいます。ただ全部じゃないよね、今回は。
宮内:……いや、私の認識だと全部入っていたかと。
鈴木:え!? ホント!! じゃあ俺が気付かなかっただけなのか(苦笑)。
――今作のほうがじょうずにダジャレを言っていて、すぐにはわからないものもありました。
宮内:そうなんですよ! 今回うまくなってるんですよ。「ここの砦にはいなかったのか……」と思ったら、「あー、これがダジャレかー!」っていうのがいくつかあります。
鈴木:じゃあ、それを私が見逃したんですね。
――それもあって、今回は逆に見たくなりました。そして見た後に「やられたなって」思う所もありましたね。
宮内:やばい、そんな褒め言葉を聞いたら、さらにこだわっちゃうんじゃないかな!
(一同笑)
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