2013年3月26日(火)
――ローカライズで苦労されている点はありますか?
ユン・ヘジョン:韓国では昔『World of Warcraft III』の“Chaos Mode”が人気で、本作を作る際には、その世界観を参考にしています。韓国で“Chaos”といえばプレイヤーの皆さんにすぐ「ああいう感じか」と理解してもらえるので説明不要なのですが、日本ではそれだと不親切になってしまう。ゲームに入り込みづらいので、チュートリアルなどを工夫するのに苦労しました。
遠藤さんと話し合う中で、直感的、段階的にプレイヤーに提示していく重要性を実感しました。今やっているのはUI(ユーザーインタフェース)で、直感的にわかるようにすること。“マイページ”という機能があるんですが、今まで簡単な情報しか載っていなかったものを、勝率や好みのヒーローなど、より詳しい情報をチェックできるようにアップデートしました。これは日本向けに作っていたのですが、韓国版にも反映されており、韓国内でも好評をいただいております。
――そうした要望は、遠藤さんが直接開発側に伝えるのですか?
遠藤:“友だちを登録する”という動作ひとつとっても、韓国であれば“/friend (友だちの名前)”みたいにキーボード入力で登録できるんですけど、日本ではメジャーな方法ではありません。まず、友だちのキャラクター名を検索して見つけて右クリックで申請するというように「マウスひとつで全部できるようにしてください」とお願いしました。
あと“マイページ”でヒーローをコレクションできるようにしてほしいとお願いしました。日本のプレイヤーはコレクション要素が凄く好きですからね。コレクション機能については、サービスインの段階からある程度お見せできると思うので、楽しみにしていてください!
ユン・ヘジョン:それを聞いて、友だち登録やコレクション要素を韓国版に導入したら、韓国のプレイヤーからの反響も凄かったです。
キム・ヒョンミン:遠藤さんに対する信頼度が物凄くあがりました(笑)。
遠藤:やったー!
(一同笑)
▲日本向けに強化されたUIやマイページ機能。韓国版にも反映させたところ多くのプレイヤーから好評を博したという。 |
――フロンティアテストのゲーム内容は、韓国版の最新バージョンなのでしょうか? それとも少し前のものになりますか?
ユン・ヘジョン:大半のシステムやコンテンツは同じです。韓国版のヒーローはいま70種類以上あるんですが、日本で最初からすべては難しいと思いましたので、扱いやすい20種くらいから段階的に解放する予定です。
遠藤:最初から70種類だと覚える情報が多すぎてプレイヤーさんも大変だと思いましたので、まずは20種から始めてもらい、少しずつアップデートしていきます。結構早いペースでアップデートしていくつもりですので、楽しみにしていただければと思います。
――同じ中距離タイプでも何パターンかあったり、スキルが違うといった形でバリエーションがあるんでしょうか?
遠藤:近接攻撃タイプに位置づけられていても、攻撃方法に遠距離攻撃を持つというヒーローもいます。スキルは全ヒーローで違いますので「これが一番使いやすい」などの楽しさを見つけていただければと思います。両陣営合わせて10対10の時点で無限に近い組み合わせなので、そこから新ヒーローが増えていくたびに組み合わせのバリエーションも深みを増す。そういうところからコミュニケーションが盛りあがっていくことも狙っています。
――アップデートのペースについてお話がありましたが、最終的には韓国版と日本版で最新アップデートのタイミングが同じになっていくんでしょうか? それとも若干の間をおいて日本版のアップデートでしょうか?
遠藤:すぐに追いつかせることも技術的には可能なんですが、まずは月に最大2種くらいのペースで徐々にアップデートしていこうと考えています。ただし、その順番が韓国版どおりかは秘密です。みなさん韓国版を参考にされるかと思いますけど、どのキャラクターがいつ加わるかは楽しみにしてください。
――日本のユーザーから意見を募集する予定はありますか?
遠藤:ぜひやりたいと思っています。というか、日本オリジナルキャラクターの募集ができたらおもしろいですよね。
――それに付随した質問なのですが、ローカライズ以外で日本独自のサービス項目はありますか?
遠藤:その質問を待っていました(笑)。セガでやるといった時、プレイヤーの皆さんが何を期待するのか。やはり「セガのキャラクターは参戦するのか?」になってくると思うんですよ。AOSは“キャラクターの魅力”がすべてといってもいいくらい重要な部分と考えていますので、今後どんどん出てくるであろう競合タイトルと『カオス ヒーローズ オンライン』では、どこで差をつけるかといえば、セガのキャラクターが出るというところになると思います。そして、今それは着実に動いています。
――100パーセントあると考えていいんですね?
遠藤:100パーセント……99パーセントにしておきましょうか?(笑) どんなキャラが出るかは、もうちょっと待ってください。既にいくつかのタイトルではオーケーをいただいているので、どれを出していくかを検討中です。ぜひ期待してください。
――開発側から「このセガキャラクターが欲しい!」といった要望はありますか?
ジョン・クッミン:何が一番いいかは遠藤さんにお任せしています。『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』や『ぷよぷよ』など韓国でも有名なキャラクターはたくさんいますが、重要なのは“ゲームとあったキャラクターを選んでいく”ことだと思います。
キム・ヒョンミン:キャラクターの多様性は、とても重要でつねに考えています。シリアス、コミカルなど、その範囲はとても広く、日本のプレイヤーの皆さんにはどれが一番合うのか。遠藤さんからご提案いただいて、魅力的に作り上げるかが我々の仕事です。
セガさんと一緒にやっていくことは韓国でも話題になっていて、韓国のプレイヤーから既に「こういうキャラクターがいればいいな」、「このキャラクターで戦いたい」という意見が上がっています。その中には今韓国で人気の“某歌姫”も含まれていましたね(笑)。
▲キャラクターはAOSの華(はな)。セガオリジナルキャラクターは、はたして誰が登場するのだろうか? |
――発表を楽しみにしておきます。日本版のビジュアルは両社で協議されたんでしょうか?
遠藤:イラストレーターに関しては、僕の中で「この人しかいない!」という人が毎回いるんです。今回は弊社のAC『ボーダーブレイク』のキャラクターを描いている風間雷太さんにお願いしました。タッチが独特で「世界観にピッタリだな!」と思い依頼したらオーケーを頂戴したので、そのまま決めました。
バナーやポスターにした時、風間さんのタッチはすごく目立つんです。これくらい味がある絵師さんは、なかなかいません。開発側にも風間雷太さんにお願いしたことを伝えたところ盛り上がってくれたのでよかったなぁと。
――だいぶセクシーな感じですが……。
遠藤:ちょっとセクシーにしすぎた感はあります(笑)。ポスターやバナーを作る時に、セクシーすぎて困ることもあるんですが、プレイヤーの皆さまからの評判は非常にいいですね。
――本ジャンルは海外では盛り上がっていますが、国内では「まだこれから」といった印象があります。入門レベルのプレイヤーに対する配慮が重要だと思われますが、なにか施策は考えていますか?
ユン・ヘジョン:先ほど申し上げたUI、チュートリアル、ガイドには注意を払っています。あと、日本ですごく行なわれるだろうと予想していたのが“AI対戦”ですね。韓国版は難易度がひとつ(中級)しかないんですが、今後、日本版は3段階にして、初級、中級、上級を予定しています。AI対戦は簡単すぎるとつまらないので、つねに緊張感を保ちつつ楽しんでいただけるようにしつつ、クリアして上の難易度を目指すのが楽しいものとする予定です。AI対戦は、相手のヒーローを自由に選べるので、戦略や戦術を試すことも可能です。
遠藤:日本の運営側としては“ニコニコ生放送”などのコミュニケーションツールを介して、ゲームの魅力を伝えていこうかと思います。また、ネットカフェなどのオフラインイベントもやっていこうと思っていて、プレイヤーさん主体のイベントにもお声をかけていただければ「僕もいこうかな」というくらいの気構えでいます。
――一部有料アイテムとありますが、具体的にどのようなものが提供されるのでしょうか?
遠藤:基本的には、ヒーローと呼ばれるキャラクターと、それに装備させるアバターと呼ばれるアイテム、それ以外だとGP(ゲーム内通貨)の獲得量や経験値が2倍になるアイテムが主流になってくると思います。「課金した人だけが強くなるのではないか?」と心配されているユーザーさんもいらっしゃるようですが、そういった要素は入れません。ヒーローに関しても、課金アイテムとして登場しますが、GPのみでも購入できるので、ゲームを続けていればいずれは購入できる仕組みになっています。
――課金した人は、早く楽しめるということですね。
遠藤:AOSというジャンルすべてがそうなんですが、有料アイテムによって強くなるシステムを入れてしまうと、ゲーム自体が成り立たない。その点は細心の注意を払って運営していくつもりなので、プレイヤーの皆様にはご安心いただきたいです。リアルマネーでしか購入できないものは、アバターアイテムなどとなっています。一部アバターアイテムはGPで購入できるものがあります。
――最後に、日本のユーザーに向けてメッセージをお願いします。
ジョン・クッミン:日本への期待度はすごく大きいです。セガさんと一緒にやることもあるし、コラボレートについて韓国プレイヤーの期待度も高い。日本市場向けとしては初ジャンルということもありますので、期待しています。我々も最善を尽くしてゲームを作っていますので、ぜひ楽しんでいただければと思います。
遠藤:AOSというジャンルは日本でまだマイナーなので、まずは“AOSというジャンルを流行らせるところから始まる”と考えています。そのためには、僕ら運営チームが「こうすればおもしろいんだ!」と押し付けるだけだと絶対に流行りませんので、プレイヤーの皆さんの意見を吸い上げて、一緒に作って市場を盛り上げていけたらと考えています。ぜひ皆さんからのご意見を頂戴したいと思っています。
▲アイテム課金もゲームバランスに配慮しているという。運営と開発の“本気”が伝わってくる『カオス ヒーローズ オンライン』に期待しておこう。 |
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