2013年3月22日(金)

ディズニー最新作『シュガー・ラッシュ』には実在するゲームの悪役キャラも登場! それらの出演はどのように決まったのか?

文:電撃オンライン

 ディズニーは、新作アニメーション映画『シュガー・ラッシュ』を3月23日より全国の映画館にて公開する。

『シュガー・ラッシュ』

 『シュガー・ラッシュ』は“ヒーローになりたい”ゲームの悪役キャラクターが、“ゲームの裏側“の世界で繰り広げるファンタジー・アドベンチャー映画。昨年、全米で公開されると、他を引き離す圧倒的な成績で全米オープニング興行成績第1位の大ヒットを記録した(これはディズニー・アニメーション史上最高の歴代No.1にあたる)。

 さらに第85回アカデミー賞の長編アニメーション賞にノミネートされるなど、まさに、ゲーム版『トイ・ストーリー』とも言われている。そこにはユニークな設定と、ディズニー・アニメーションならではの“友情や絆”という普遍的なストーリーが共感を呼び、男女を問わず子どもからゲームとともに育った親の世代まで幅広い支持を受け、名実ともに傑作として称賛を受けている。

 しかし、『シュガー・ラッシュ』が全米でなぜこんなにも支持を受けたのか? その理由の1つは実際のゲームキャラクターの登場にある。監督であるリッチ・ムーア氏は、プレイしていない時のゲームキャラクターたちは何をしているのか、という『トイ・ストーリー』のアイデアにも通ずるユニークなアイデアを思いついた。

■実際のゲームのキャラクターの登場が『シュガー・ラッシュ』には不可欠だった

 「ゲームを主題にした映画を作るにあたって、あのキャラクターたちを避けて通ることはできませんよ。彼らなしでこの映画を作るなんて考えられませんでした。」という強い思いを語るリッチ氏。彼はプロデューサーであるクラーク・スペンサー氏とともにロサンゼルスで開かれたE3(ゲームの見本市)へ赴き、実際にゲーム会社と交渉を行った。クラーク氏は「実際にあるゲームやゲームキャラを映画に登場させたいというのが、監督たっての希望だったのですが、プロデューサーとしてはやはり、それぞれの使用権をすべてクリアしなければならないのか、というのが心配の種でした。」と語っている。

 しかし、クラーク氏の心配を他所に各ゲーム会社の反応は上々で大いに乗り気だった。この反応に「ホッとしましたよ」と胸を撫で下ろした。

 ただ、ここからは本当に大変な作業が始まった。ゲーム会社各社にはキャラクターのデザインはもちろん、その動きの一挙手一投足・登場シーンなど製作の全工程にみっちりかかわってもらったという。

■ゲーム会社へのチェック提出により作業工程は2倍に

 クラーク氏はこれらの作業について、「任天堂やKONAMIなど、すべて日本の会社ですから、チェックしてもらうために映像素材をいちいち日本に送るだけでも大変でしたよ。監督のOKが出たあと任天堂にチェックしてもらい、返ってきたコメントを反映して修正。それを監督に戻し、再度任天堂にバックする、という具合に2倍の手間がかかるわけですから、作業もおのずとスローダウンしてしまいます。」

 「ただ、人気キャラを知り尽くしたゲームファンらにも、入念なリサーチのもと忠実に再現しているということをアピールしたかったんです。ゲームを実際に作った人たちだからこその豊富なキャラクター知識も大いに役立ちました。例えばクッパがどんな風にコーヒーカップを握るのか、「ストリートファイター」のキャラクターがどんな歩き方をするのか、といったことはゲームの中じゃ分かりませんが、映画では重要なディテールです。」と語った。

■各ゲーム会社にはゲスト出演ではなくパートナーとして映画に携わってもらった

 リッチ氏は「ゲームの制作元と交渉する際には、本当の意味での創作パートナーとしてこの映画に携わって欲しいという意向を、きちんと理解してもらえるよう努めましたし、その通り密接な協力体制で取り組みました。」と述べた。このように『シュガー・ラッシュ』は紙の上での契約だけにとどまらない、ディズニーと日本のゲーム会社が企業の垣根を越えた作品である。“キャラクターを大事にする気持ち”が通じ合い、共同で制作された結果生み出された、まさに日米ハイブリッドの傑作といえる。

 なお、公式サイトでは『シュガー・ラッシュ』の予告動画も公開。動画内では『スーパーマリオ』シリーズからクッパ、『ストリートファイター』シリーズからザンギエフとベガ(北米での名前はM.BISON)といったそうそうたる悪役が登場し、ラルフらとの交流を繰り広げている。これらの名前に興味が出た人は公式サイトに行ってみてほしい。


□■□ STORY □■□

■ゲームの世界の掟……それは悪役はヒーローにはなれないこと

 アクションゲームの悪役キャラクターであるラルフの願いは、みんなに愛されるヒーローキャラクターになることだった。ある日、ついにラルフは我慢ができなくなり、自分のゲームを飛び出してしまう。迷い込んだのはお菓子の国のレースゲーム“シュガー・ラッシュ”。

 そこでラルフが出会ったのは、不良プログラム(バグ)であるためにレースに出場できない少女ヴァネロペだった。嫌われ者のラルフと、仲間はずれのヴァネロペ──孤独な2人は次第に友情の絆で結ばれていく。

『シュガー・ラッシュ』
『シュガー・ラッシュ』
▲主人公のラルフは、『シュガー・ラッシュ』の世界で不良プログラムの少女・ヴァネロペと出会い、友情を深めていく。

 だが、ラルフの脱走はゲームの掟に反し、このままではゲームの世界全体に災いをもたらすことになってしまう。ゲーム・キャラクターたちがパニック状態に陥る中、ラルフは“シュガー・ラッシュ”とヴァネロペに隠された恐るべき秘密を知ってしまう。はたしてラルフはヴァネロペを救い、ゲーム界の運命を変えることができるのだろうか?

『シュガー・ラッシュ』
▲ヴァネロペは、ゲーム内で不良プログラムとして扱われているためゲームに参加できず、他のキャラクターから疎まれている。

 そして彼は、“本当のヒーロー”になることができるのだろうか……?

ゲームの世界の掟

1.“悪役”は“ヒーロー”になれない
2.他のゲームへの“無断侵入”禁止
3.他のゲームで死ぬと“二度と”復活できない
4.他のゲームへの“アイテム持ち出し”禁止
5.この掟を破ったゲームは、人間によって“破棄”される
(故障とみなされたため電源プラグを抜かれてしまう)

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