シリーズを愛するファンの心が1つに――中裕司さんの開発秘話も飛び出した“ファンタシースターシリーズ25周年記念コンサート シンパシー2013”

文：電撃オンライン

　ここで酒井さんのアナウンスで、元ソニックチームの代表にして、現プロペの代表取締役社長・中裕司さんが客席から登場。中さんは、『ファンタシースター』ではメインプログラマーとして3Dダンジョンを開発。その後、さまざまなシリーズ作品に携わった。

　『ファンタシースターオンライン』は、当時の最高グラフィックを目指して開発された。常に一歩先を行くという現在も続いているチームの信念は、当時からあったものだという。ここで中さんは「ただし、たまに行きすぎてしまい、もうちょっと遅いほうがよかったということもあります」とコメントし、観客を笑わせた。

　せっかくの機会ということで、中さんから参加者にいくつかの質問が投げかけられた。「（シリーズ1作目である）『ファンタシースター』をプレイしていますか？」という質問には、会場の3割程度の人が手を挙げる。続いての質問は『ファンタシースターオンライン』初期のサーバトラブルで、アイテムをロストしたことがあるかというもの。客席から多数の手が伸びるのを見た中さんは、「この場を借りてお詫び申し上げます」とした上で、現在とは異なり謝ってはいけないという習慣が当時はあったため、ソフト発売直後に次の作品の開発が急きょ決まったことを明かした。「今で言う無料アップデートにお金を払っていただきました」と13年経ったからこそ話せる、ぶっちゃけトークが展開した。

　最後の質問は「『ファンタシースターオンライン』をきっかけに結婚した人は？」というもの。多くはないが、何名かが手が挙がったのを見た中さんは「あとで僕らと記念撮影をして、後日お送りしたいと思います」と話していた。

　コミュニケーションを活性化させてプレイヤー同士をつないだ、本作ならではの質問コーナーに続いて、小林秀聡サウンドディレクターが登場。『ファンタシースターユニバース』のオーケストラを収録するために、ポーランドのワルシャワに3人で行ったというエピソードを披露した。オーケストラの収録中、1人で客席に座って演奏を聴いていた中さんは「日本でもこういうことをやりたい」と考えていたという。それがあったために、今回のイベントが開催されたのかもしれない。

　また小林さんは、自身が作った曲を中さんの部屋で聞いてもらったことを告白。中さんは小林さんに、アメリカの作曲家であるジョン・ウィリアムズになってほしいと常日ごろから言っていたようで、「ジョン・ウィリアムズがこの曲でいいの？」と言ってリテイクを出していたという。ただし、これに対して中さんは「音楽とかよくわからないんですけどね」と笑いながら語っていた。

　トークコーナーが終わると、バンド演奏によるライブコーナーがスタート。小林秀聡 feat.アネットC.による『ファンタシースターポータブル』のオープニング『Save This World - νMIX -』、『ファンタシースターポータブル2』のオープニング『Living Universe』と、2曲続けて披露された。アップテンポで疾走感のある曲に会場は、大いにわき上がった。

　ここで特別ボーカルとして光吉猛修さんが乱入し、アネットさんに代わって『Go Infinity』を熱唱。アネットさんとは異なるツヤのあるボイスにあわせて、観客は「インフィニッティー！」と合いの手を入れて一体感を加速させる。さらに、光吉さんはゲーム中でも聴くことができた『Burning Hearts ～炎のANGEL～』を歌いあげる。ここで、アネットさんが参戦して、光吉さんとのスペシャルデュエットを披露した。

　光吉さんの歌唱後に、酒井さんは「『ファンタシースターオンライン2』でも『Burning Hearts』が聴きたいですか？」と観客に質問。大きな拍手に対して「もうちょっと待ってください」と返していたので、実装される日もそう遠くはないだろう。

　改めて登場したアネットさんは、『Ignite Infinity』でハリがあるボーカルを日比谷公会堂に響き渡らせる。参加者も負けずと「インフィニッティー！」とコールし、その勢いのまま、イベントはクライマックスへと突入した。

　再び登場した東京フィルハーモニー交響楽団が奏でたのは、最新作である『ファンタシースターオンライン2』の楽曲。ステージメドレーでは、森林、火山洞窟、砂漠、凍土、浮遊大陸と、アークスたちが歩んできた場所の楽曲が次々と演奏された。その後は、ボスエネミーの楽曲が続く。ダーク・ラグネにビッグヴァーダー、クォーツ・ドラゴンに続いて、ファルス・アームとダークファルス・エルダーという、強敵のBGMが迫力のオーケストラとして披露された。

　アンコールとして演奏されたのは、『For Brighter Day - Orchestra Version -』。酒井さんによるとこの曲には、明日をもっと輝かせていこうという意思が込められているという。「シリーズをもっと輝かせていけるようにチーム一同頑張っていくので、応援よろしくお願いいたします」とあいさつして、イベントを締めくくった。

　なお、速報でもお届けしたが、イベントで発表された新情報について掲載する。ファンのための祭典である“ファンタシースター感謝祭2013”が全国5都市で開催され、会場ではタイムアタックイベント“アークスグランプリ”も展開する。日程は、6月9日が東京会場で、6月15日が名古屋会場、6月29日が福岡会場、7月14日が大阪会場、7月28日が札幌会場という予定だ。8月3日には東京にて“アークスグランプリ決勝”が開催されるとのこと。詳細は4月末に発表される。

　2つ目の発表は、『ファンタシースターオンライン2』にてEPISODE2が夏から始動するという情報。公開された動画の中では、“オラクル崩壊”やアークスロード、新種族や新惑星、新クラスに“新たな武器カテゴリー”、“本当の敵は誰なのか？”や“第3のダーカー”など気になる単語を見ることができた。また、酒井さんは、これまで謎だったものが新たなストーリーで明かされると説明していたのでファンは楽しみにしておこう。

■“ファンタシースターシリーズ25周年記念コンサート シンパシー2013”セットリスト
01.『Fanfare』
02.『Phantasy Star Medley for Sympathy 2013』
03.『Phantasy Star Online OPENING THEME ～The whole new world～』
04.『Can still see the light ～Phantasy Star Online ENDING THEME～』
05.『“IDOLA” have the immortal feather ＆ the divine blade Medley』
06.『World with me ～Phantasy Star Online EPISODE2 ENDING THEME～』
07.『“LET THE WINDS BLOW” - Theme of Phantasy Star Online EpisodeIII』
08.『Underworld -equilibrium-』
09.『Phantasy Star Zero』
10.『たいせつなもの』
11.『Save This World - Orchestra Version -』
12.『Save This World - νMIX -』
13.『Living Universe』
14.『Go Infinity』
15.『Burning Hearts ～炎のANGEL～』
16.『Ignite Infinity』
17.『Title - PSO2 -』
18.『Stage Medley - PSO2 -』
19.『Dark Ragne』
20.『Big Varder ＆ Quartz Dragon Medley』
21.『Falz Arm ＆ Dark Falz Elder Medley』
22.『For Brighter Day - Orchestra Version -』

(C)SEGA

データ

関連サイト

• “ファンタシースターシリーズ25周年記念コンサート シンパシー2013”特設サイト
• 『ファンタシースターオンライン2』公式サイト
• 電撃オンライン内“電撃PSO2”特設サイト