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2013年4月12日(金)

『ガンダムブレイカー』をモチーフにした、ガンプラを使った実物のジオラマが完成! 制作者であるプロモデラー・角田勝成さんにガンダム愛を聞く!

文:さくたろう

 こんにちは、さくたろうです。バンダイナムコゲームスが6月27日に発売する、PS3用創壊共闘ACT『ガンダムブレイカー』(※PS Vita版は2013年内発売予定)。その体験版は現在配信中ですが、もうプレイしている人がほとんどですよね? もちろん、今から体験版を始めるのも全然アリなので、まだプレイしていないという人は、まずは『ガンダムブレイカー』の特集記事をチェックしてもらえればと思います。

 そんな盛り上がりを見せる本作ですが、『電撃ホビーマガジン 6月号』では、本作のゲームイメージビジュアルを再現したジオラマを制作して掲載しています! 今回は、そのジオラマ写真をお届けするとともに、ジオラマの制作者であるプロモデラーの角田勝成さんにお話を伺うことができましたので、その内容をお届けします。

 お話を伺うと言えば、本作の制作に携わっている薄井プロデューサーにも先日お話を伺うことができました。体験版の感想から吸い上げた反省点を、どう製品版に盛り込むのかなどを聞かせてもらいました! こちらも近日掲載する予定なのでお楽しみに。

 おっと、いくつかコーフンする事実を聞いたもので、話がそれてしまいました。スミマセン……。それでは、角田さんへのインタビューをご覧くださいませ!

『ガンダムブレイカー』
▲今回のジオラマがこちら。制作は、これまでも『電撃ホビーマガジン』などで数々のジオラマを手がけてきたプロモデラーの角田克典さんが担当している。

――今回『ガンダムブレイカー』をイメージしたジオラマを手がけたとのことですが、これまではどのようなジオラマを作られてきたのでしょうか?

 ガンプラを使ったジオラマが圧倒的に多いですね。プライベートでもそうですが、お仕事として作ってきたものもガンプラが多いかなと。それと、怪獣も好きなので、たまに怪獣のジオラマを作ることもあります。

――いつごろからプロモデラーとして活動を始めたのでしょうか。

 『電撃ホビーマガジン』からお仕事をいただくようになって、だいたい13年目になると思います。『電撃ホビーマガジン』の創刊2年目からお仕事を始めました。

――仕事として模型を作るようになった経緯というのは?

 かつて“JAF-CON(ジャフコン)”というガレージキットがメインのイベントがあって、実際に一般の人が作品を持ち込み、その場で作品を審査してもらうということをやっていたんです。それに5年間出し続けて、入選したのがきっかけです。

 ちょうどその時、『電撃ホビーマガジン』は創刊から間もなかったころで、モデラー募集の告知が掲載されていたんですね。その時はモデラーをやってみたいという気持ちが強くあって、編集部におじゃまさせていただいて、何かお手伝いできることがあれば……とお話をさせていただきました。そこからモデラーとして仕事をするようになりました。

――今回はジオラマを制作されましたが、他にはどのような作品を?

 実は、これまでジオラマしか作ってないんです。

――そうなんですか! そこまでジオラマにこだわる理由とは、どういったものなのでしょうか?

 模型単体だと、そこから“ドラマ”を見つけるというのが難しいんですよね。他のプロモデラーさんが作る作品は、そこから激戦の場面が感じられたりするものもたくさんありますが、普通に模型を作ると、素組みに色を塗っただけくらいじゃないですか。それだけだと活躍の場面が想像しづらいんです。でも、ジオラマにすることで、スッとあの場面だって頭に思い浮かんでくるんです。

――角田さん自身は、どういうジオラマが好きなんですか?

 アニメーションで“名場面”と呼ばれるものをジオラマで再現するのが好きなんです。もちろんジオラマですから、想像力をふくらませて「こんな場面もあったかもな」というものや、徹底的に汚し込んでリアルに作り、本物っぽく見せたりとか、ジオラマにもいろいろな作り方があります。

 でも私が作るのは、爆炎があったり、ヘリコプターのローターが回っているように見えるエフェクトがあったり、そういう形のジオラマにするのが好きなんですよ。リアルというよりは、“マンガチック”なものを作ってしまいますね。こういったジオラマは、マニアの人には失笑されてしまうかもしれませんが、一般の人が何かのタイミングで私の作品を見た時に、作品の詳細はわからなくても「ああ、こんな場面なんだな」と、スッと伝わるような作品を作れるようになりたいと思っています。

――そのためにこだわっている部分はありますか?

 例えば綿を使って煙や爆炎を表現するのって、ともするとバカっぽく見えてしまって興ざめしてしまうことがあるかもしれません。でも、見ている人が「バカだねぇ~」って指さしながら、「でもおもしろいじゃん」って思っていただければいいなと。徹底的に作り込んで、「これは俺には作れないな、さすがプロだな」と思えるような作品にするのもいいですが、私個人としては、これはバカっぽいけど俺も作ってみようかなと、そんな気持ちになってくれるような作品を作り続けていきたいですね。

 今は模型店というのは少なくなりましたが、私が子どものころはよく模型店でコンテストが開かれていて、そのお店のショーケースに作品が並んでいたんですね。もちろん1位や2位は上手に作った大人の作品なんです。でも敢闘賞には子どもたちが作ったジオラマが並ぶんですよ。子どもたちが作るジオラマって技術よりも気持ちが先行して、ごちゃごちゃになっちゃうことが多いんですが、想像力がみなぎっているんです。今でも子どもたちが作ったそういう作品を見るのが大好きなんです。

 でも、今の子どもたちは、模型を作ることよりもゲームをプレイしていることのほうが多いですよね。ちょっとそれは残念かなって。もし今回作らせていただいた私の作品を見て、ちょっと模型作りに挑戦してみようかなと思っていただけたら、うれしいですね。

――僕自身、昔はよくガンプラを作っていて、この『ガンダムブレイカー』のように、ガンダムのボディにザクの頭をつけたりとか、そういうことはよくしていました。けれど今はガンプラを作ることがあっても、スミ入れだけで終わらせたりとか、設定通りにきちんと組み立てて終わりということが多いんですよね。

 そうなんですよね。子どものころの想像力というのは今でも多くの人は持っていると思うんですが、でもそれを抑えてしまう力というのが、大人になるにつれて強くなってしまうんだと思います。

 子どものころってやりたいことがどんどんと溢れてきて、それを形にする技術は追いついていないんだけど、とにかく手は動かしていたじゃないですか。私の場合は、技術がある今だから思いっきり形にしているんですよね(笑)。それに今はガンプラの技術も進化していて、昔は改造しなければいけなかった部分も、元からできるようになってるのもいいですよね。

――それでは今回の作品についてお伺いしたいと思います。今回はゲームのジオラマを制作することになった経緯について教えてください。

 ある作品を編集部に納品しに行った時に、お話をいただきました。ゲームの説明を受けて、「そのゲームをジオラマにできないか?」と話をされて……。目の前にそういうものをぶら下げられると、モデラーとして食いつかないわけにはいかないじゃないですか(笑)。それで、ぜひやらせてくださいと。

――“ガンプラをメインしたゲーム”と聞いた時、どんなゲームが思い浮かびましたか?

 プレイヤーが動かすものが、アニメを基準にした“モビルスーツ”ではなく、あくまで“ガンプラ”だということで、ガンプラならではのスケールの違いが再現されるのかな? くらいでした。そのあと資料でガンプラのカスタマイズ部分を見せていただいて、「なるほど! こういうゲームなんだ!」と納得しつつビックリしました(笑)。

 その資料には、最初に歴代のMSがスケールごとに並んでいるという感じのイメージが描かれていて、ガンプラだからこんな感じだよねって思っていたんです。でもページをめくってみると、今度は全然違うものが載っていたんです。頭は○○で胴体は△△で~って、これまでのゲームで見たことのないMSが出ていて(笑)。ガンプラを作っている時に、気分転換にガンダムの頭をザクにしたりとか、そういうことをして遊ぶことはあったのですが、まさかそれがゲームになるとは……という感じでした。

『ガンダムブレイカー』

――ジオラマに登場するMSはガンダムやストライクフリーダムガンダムなどの通常のMSの他にも、カスタマイズしたものもありますが、これは角田さんが考えられたのでしょうか。

 パーツの組み合わせやカラーリングは、バンダイナムコゲームスさんが考えられたものですね。例えば悪役っぽいイメージのMSは黒系の塗装になっていますが、それは多分、開発の方がそういうMSをイメージしたからじゃないでしょうか。

 最初にそれを見た時はできるわけないじゃんって思いました(笑)。いくらジオラマだからといってもHGUCの手にMGのライフルを構えてとか、サイズが違って無理じゃないかと。それにMGのシールドをHGUCのMSに持たせても、地面にシールドが食い込んじゃうんですよ。これはどうすればいいんだろうと。でも実際には形になったわけで(笑)、しかも実物を見てみると想像以上にカッコイイんですよね。

『ガンダムブレイカー』
▲機体のほとんどを隠してしまうかのような大きなシールド。ゲームでもこのようなスケールの違いによるカスタマイズの妙を、きっと楽しめるに違いない!?

――サイズが違うものでも、ハッタリが効いたりしてハマる時はピッタリとハマりますよね。

 そうなんですよ。特にシールドやライフルといったものだと、同スケールのものだと小さく感じることもあったのですが、MGのものを持ってくるとしっくりきたりして、新しい発見もありました。もしゲームでも同じようなことができるのであれば、まずはゲームの世界でそれを試してみて、気に入ったものがあれば実際のガンプラを作ってみて試してみる、ということもできそうですよね。

→大変だけどおもしろ楽しい!? 今回のジオラマ作りについて
いろいろと聞いてみた(2ページ目へ)

(C)創通・サンライズ (C)創通・サンライズ・MBS.
※画面は開発中のものです。

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データ

▼『電撃ホビーマガジン 6月号』
■発売日:2013年4月25日
■特別定価:880円(税込)
 
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