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2013年4月24日(水)

『ドラッグ オン ドラグーン』シリーズ座談会は終始ヨコオタロウ節が炸裂。ラストオーダー直前に語られる『DOD3』のボツネタとは

文:タダツグ

■ヨコオタロウですら御しがたいイラストレーター・藤坂公彦さんの魅力

松下:ちょっとキャラのデザインについてもお聞きしていいですか?

ヨコオ:いいですけど、どうだろう。藤坂さんがいつも勝手にやってるので、僕に答えられるかどうか。

松下:たとえばゼロの服、すごく封印の杭っぽいディテールとか入ってるじゃないですか。

ヨコオ:ほんとだー。

松下:ほんとだーって!! あれー!?

ヨコオ:これ、最後の絵になって初めて入ってきたデザインですよ。僕は知らないですけど、きっと何か意味があるんじゃないですかね。

松下:それはストーリー的な意味で?

ヨコオ:いや、デザイン的な意味です。僕はいつも出てきたものに意味をつける仕事なので、少なくとも発注の段階でそんなお願いをしたわけではないですね。将来、何かの設定はつくかもしれませんけど。そもそも、藤坂さんはそんなコントロールが効く人じゃないんで。どこかあきらめてしまっている自分を感じます(遠い目)。

『ドラッグ オン ドラグーン3』
▲ゼロの衣服を拡大してみた画像がこちら。編集部ではこの細やかな装飾をめぐり、やれ「封印騎士団の紋章に似ている」だの、「新しいプロジェクト・ドラゴンスフィアのロゴではないか」だのといった妄想トークを繰り広げていた。繰り広げていたのに……。

松下:じゃあ、次はちょっと藤坂さんもぜひお呼びしていただいて、お話を聞いてみたいですね。

ヨコオ:え、次?

松下:次の座談会ですよ。ヨコオさんだけでも、もちろんいいですけど。

ヨコオ:あーなるほど。いや、電撃さん経由か宣伝さん経由で呼んでいただければ。まぁ、普通に呼べますけどね。

松下:お忙しい方ですからね。

ヨコオ:僕は今回、安井さんをいきなり呼んだのもどうかなと今では思っているんですけど、安井さんはいてもまぁ、害にはならないだろうと。

松下:藤坂さんが害になるみたいな言い方はやめてくださいよ(笑)。

安井:あと、僕がどうでもいいみたいな言い方も慎んでください。

ヨコオ:でもね。藤坂さんはたぶん、害になるというか、スクエニさんの許可なく勝手に呼んだり動かしたりすると、怒られそうだなという予感がするんですけど。その点、安井さんは別に怒られないから。

安井:まぁそうだろうけども。

ヨコオ:僕が呼ばないかぎり来ないし。

安井:まぁそうですね。

ヨコオ:そこはね、宣伝部さんをとおしてぜひ。

佐々木:僕としては、電撃さんと『ブレイブリーデフォルト』の時に一度やったようなイメージを今回も持ってるんですよ。いわゆるこのゲームのお話っていうのはどうなの、世界観ってどうなのっていうのは、ユーザーさんはすごく喜んでくださるんですね。あと、音楽も世界観を作る重要なファクターだと思うし、キャラクターデザインっていうのもすごく重要なファクターじゃないですか。そういう意味で言えば、藤坂さんや岡部さんにもぜひご登場いただけるよう努力したいですね。ヨコオさんは心配されているようですけど。

ヨコオ:いや、あの2人へのインタビューは別に僕は心配してないです。僕は単に、自分がインタビューが嫌いだっていうか、そこに担ぎ出されたら嫌なだけで。

佐々木:すみませんヨコオさん。今回、僕は電撃さんと他のメディアさんで、インタビューの見せ方は明確に分けちゃってますよ。

ヨコオ:それでいいと思います。

佐々木:電撃さんには電撃さんの、他誌さんには他誌さんの見せ方というか、担っていただきたい役割みたいなものがありますからね。で、僕たちがインタビュー記事を校正するんですけど、校正して、削って、僕らが書き直してもユーザーさんにとっておもしろくはならないと思うので、ぶっちゃけ僕はあまり手を入れない。スクウェア・エニックスから出すゲームなんだから、こういう視点でユーザーさんと接しなきゃいけないかとか、そういったセオリーなんて全然ないんです。形式的なインタビューで全部同じことをしゃべってもらうのとか、ぶっちゃけおもしろくないと思うし。ヨコオさんとお仕事させてもらう中であらためて確認できましたね、ここは。

野村:もう7~8年、佐々木さんとお仕事させてもらってますけど、そういう“戦いを許容してくれるところ”が好きなんですよね。

ヨコオ:ああ、だから癒着が。

松下:オトナの癒着ね!

佐々木:だからないって!(笑)

野村:(苦笑して)メディアとしてのおもしろさとか、役割を踏まえたうえで、どれだけこちらが戦う文章を投げられるかってことなんですよ。それを佐々木さんはいつも許容してくれるんで、こうして長年ずっと一緒に仕事をさせていただいています。ぶっちゃけ、電撃は業界二番手ですけどね。

ヨコオ:ああ、そんなこと言っちゃうんですね!

野村:二番手だからこそ、隙間を縫って、攻撃的なことを投げて、佐々木さんがどこまで許してくれるかな……と探りながら、今回の『DOD3』の一連の記事を投下していく。それでおもしろいものを作れれば、それでOK。

ヨコオ:僕は前から松下さんやみなさんとお話してますけど、メディアさんでの展開も含めて1つの作品だと思っていて。それが総合的におもしろくないとダメだと思ってるんです。だから『ニーア』の資料集でゲームのエンディング後の話が語られたりとか、そういう仕掛けがある種のエンターテイメントとなるよう、開発していかなければならない。僕らだけでなく、作品にかかわる多くのみなさんの力で、お客さんの目に届くものをなるべく楽しいものにしてもらいたいという気持ちがすごくあって。だから今回のこの座談会企画なんかが、そのスタート地点としてうまく機能してくれれば、すごくうれしいんですけど。

『ドラッグ オン ドラグーン3』
▲この座談会でも話にのぼった『ニーア』の設定資料集では、ゲームのエンディングの後日談が語られるという、かつてない試みが盛り込まれていた。

松下:そうですね。このタイトルは、そういった見せ方が絶対にできるタイトルだと思います。

野村:本当は、タイトルを問わずにそういう見せ方をしていくべきなんだけどね。メディアというものの役割として。

ヨコオ:今回、本来であれば前に出てくる必要がない佐々木さんとか、まぁ、いてもいなくてもいい安井さんまで座に加わってくれているわけじゃないですか。

安井:何気にディスることを忘れないね、僕のこと。

ヨコオ:だから、電撃さんらしい見せ方での企画記事に期待していますよ。個人的には、柴さんと岩崎さんと安井さんの話だけしか載っていない記事だったら最高なんですけど。

松下:それはさすがにアレですが。

ヨコオ:次は岩崎さんと柴さんの会を催しますか。

野村:ああ、それ興味深いですね!

松下:サプライズ感はありますね、たしかに。

佐々木:じゃあ、どこかのタイミングで考えますか?

松下:どなたか助けてくれますか、それ。

ヨコオ:横から見てますよ。お酒を飲みながら。

野村:飲み代は出すよ。

松下:いやいや、心配しているのはそういうことじゃあないっていうか……。

野村:お前のその適当なトークで、いくらでも聞き出せるだろ。

松下:ちっともほめられてませんね……。

ヨコオ:でも、やっぱり電撃さんには『ニーア』の時に一緒にやらせていただいて、ある種クリエイティブな部分に踏み込んでやっていただけたことは、すごくよかったなと思っています。ああいうのをぜひ『DOD3』でもやっていただければなと思っています。

野村:な、わかったでしょ。これでわかったでしょ? やる路線。とりあえず、ひよった記事を書いたら殺すからな。

松下:じゃあ、『DOD3』でしかできないことを!

ヨコオ:しかも、電撃さんでしかできないことを、ぜひお願いします。結局、僕はゲーム畑の人間なんで、ゲームでできることは自分の領域でやれるんですが、紙やWebでしかできないこともいっぱいあると思うんですよね。そういうことに挑戦してほしい。横並びじゃない、独自性を打ち出してもらいたいんですよね。

野村:実は先日、編集部員に対して、今後何をしたいですかっていう謎のアンケートがばーって配られたんですよ。それに対する松下の回答を見たわけです。彼が何をやりたいのかってね。そうしたら、“●ァ●通と手を組んじゃいたい”みたいなことが書いてあった(笑)。

ヨコオ:いや、いいんじゃないですか、かつて誰もしていないことですし。

野村:ええ、これは側面的におもしろいなーと。

松下:あ、そうですか? てっきり怒られるのかと思った。

野村:もっとおもしろいのは、戦い合うVSトークなんだけどね。荒れるんだろうなー。●ァ●通の人を座談会に呼んだりしてさ。

ヨコオ:ずっとなんか取っ組み合いしてるだけとかいいですね。僕や佐々木さんはただひたすら飲んでて、2つの雑誌社は取っ組み合いだけして帰ったみたいな。

佐々木:仕込みなしでやってもらいたいですね。電撃と●ァ●通の人が取っ組み合いしてるってだけで、もうコンテンツ力がありますよ。

野村:『DOD』をどれだけ愛しているかみたいな話を、うちと●ァ●通の担当編集でやり合いますか。

松下:ちょっと僕がそこに意見をさせてもらうと、バトルをしたいわけじゃないんです、僕は。

野村:違う違う、必然的に、自然にバトルになるのならいいじゃん。別に手を握ってもいい。終わった後に意気投合して、カラオケに行ってもいいんだよ。

佐々木:『DOD』がこう好きだ、ああ好きだっていう感じで、好き勝手にやってもらうぶんには、うち的にはまったく問題ありませんよ。公式ではできませんからね、そういった企画って。やってやれないことはないんでしょうけど、それよりはメディアの人たちが勝手にやって、勝手に盛り上がってくれたほうがファンの方に伝わるだろうし。実は、ヨコオさんから『DOD』の10周年記念として、こういうことをやったらおもしろいですよってリストをいただいて、その中にもあったんです。電撃と●ァ●通の対談(笑)。

松下:そうなんですか?

ヨコオ:電撃と●ァ●通さんの対談とか見たことないから、お互いのメディアの特性をけなし合うみたいな。

松下:ちょっとそれ違うでしょ?

安井:おもしろそう。

佐々木:超おもしろそうじゃん。

ヨコオ:最初はたぶん、ほめ殺しから始まる。そこから「部数が~」「御社は~」みたいな話からどろどろした話に流れていく。

松下:『DOD』のことを話し合うんじゃなくて?

ヨコオ:そんなん、おもしろくもなんともないじゃないですか!!

松下:本末転倒だよ……この酔っ払いども……。

野村:調整が面倒くさいから、たぶんやらないな、俺(笑)。

『ドラッグ オン ドラグーン3』
▲居酒屋座談会も終盤にさしかかり、ドラゴンのブレスばりに炎上しそうで危険な話題もちらほら。

→「クソ」と「死ね」と「焼肉」と……
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データ

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