2013年5月3日(金)
まずは『ラヴニカへの回帰』に登場したアゾリウス、イゼット、ゴルガリ、ラクドス、セレズニアの各ギルドに所属するカードを見ていきましょう。
アゾリウスの注目カードは、まず《不可侵議員》です。《不可侵議員》が戦場に出るに際し、あなたは土地でもクリーチャーでもないカード名を1つ指定することができます。すると対戦相手はそのカードをプレイすることができなくなり、同時にあなたがプレイするそのカードのコストが(2)少なくなります。
(03-04)スタンダードでよく使われている《スフィンクスの啓示》を指定すれば、相手は禁止、こっちはコスト軽減で2度おいしいわ。
またコスト軽減能力だけを見ても、いろいろと使い道がありそうね。フラッシュバックを持つ呪文と組み合わせれば《未練ある魂》は(白)(黒)の2マナで4体の1/1“飛行”トークンを生み出すことができるようになるし、《掘葬の儀式》も(黒)2(白)1の合計5マナでプレイ即フラッシュバックが可能になりますね。
(05-06) ▲フラッシュバック・コストも少なくなるので、フラッシュバック呪文との相性はとてもいいカードです。3ターン目に《禁忌の錬金術》、4ターン目《不可侵議員》、5ターン目《掘葬の儀式》2連発なんてやれたら投了ものかもしれませんね。コントロールデッキの新戦力としての活躍はもちろん、何かおもしろいコンボも見つかりそうで、これからがとっても楽しみな1枚ではないでしょうか。続いての注目カードは《第10管区のラヴィニア》です。
(07-07)4マナまでのパーマネントをすべて“留置”できるので、相手によっては1ターン完全に動きを封じられるかもしれないわ。《妖術師の衣裳部屋》のような、クリーチャーを戦場に出しなおせるカードとの相性も非常にいいわね。また、プロテクション(赤)が《ボロスの反攻者》などに強いのもうれしいところじゃないかしら。ただし“留置”できるのはこのカードが戦場に出た時に、相手がコントロールしていたパーマネントだけ。次のターンに出された“速攻”クリーチャーには効果がないということは忘れてはいけないわね。こちらもコントロールのサイドボードなどに見られるカードになるんじゃないかしら。
続いて、イゼットの新カードを見てみましょう。まずは何と言っても新プレインズウォーカー《ラル・ザレック》でしょう。
(08-08)パーマネントをタップ/アンタップさせる青らしいトリッキーな能力と、赤の除去、そして追加ターン大量獲得も夢じゃない奥義を持った、ロマンと強さをあわせ持つプレインズウォーカーね。1つ目の能力はクリーチャーをタップしてブロッカーをどかしたり、土地をアンタップしてマナ加速をしたり、いろいろと小回りが利きそうだわ。
単純な使い方としては《聖トラフトの霊》から続けて展開し、《トラフト》の攻撃をサポートするのがわかりやすいかしら。その場合、相手は《トラフト》へのブロッカーを用意しつつ、忠誠度5になった《ラル・ザレック》にも対応しなくてはならないので、とっても大変そうですね。
(09-10) ▲かつて《聖トラフトの霊》の攻撃を通しつつ、相手の攻撃を妨害するため《戦慄の感覚》を投入したデッキがありましたが、この《ラル・ザレック》もブロッカーの排除と除去ができるので、同じ役割を果たせそうです。2つ目の能力はシンプルなダメージ能力ですが、忠誠度2の《ラル・ザレック》でこれを使ってダメージを与えた後に、2枚目の《ラル・ザレック》を出すことでタフネス6までのクリーチャーに対処できるのは覚えておきたいテクニックね。
最後の能力は……。“どうか楽しんでください”という感じかしら(笑)。期待値としては2ターンくらいだけど、うっかり4ターンとか獲得しちゃったら、もうそのゲームは勝ったも同然ね。イゼットのもう1枚の注目カードは《変化/点火》です。
(11-11)《変化》は対象のクリーチャーを能力のない0/1にし、《点火》は好きな対象に2点のダメージを与えられます。“融合”させてプレイすれば、5マナと多少マナはかかりますがほぼすべてのクリーチャーに対処できます。赤青では対処しにくかった《スラーグ牙》のようなカードを1枚で片付けられるのはうれしいわね。
使い終わった後も《瞬唱の魔道士》で《変化》をフラッシュバックすればブロックして簡単にクリーチャーを討ち取れるし、《点火》の2点ダメージも序盤をしのぐには十分と言えそうね。《イゼットの魔除け》に続く汎用性の高いカードとして、赤青のデッキでは今後よく採用されるんじゃないかしら。
続いてゴルガリの新カード。1枚目は《死橋の詠唱》ね。毎ターン、墓地のカードをランダムに再利用できるエンチャントで、クリーチャーなら直接戦場に、それ以外なら手札に戻すことができるわ。
(12-12)とりあえず出すだけアドバンテージを稼いでくれるけれど《死儀礼のシャーマン》のようなカードで墓地にあるカードを減らせば、より大きな利益を得られるわ。墓地のカードが増えるので《迫り来る復興》でたくさんカードを回収するのも有効そうね。
(13-14) ▲《死儀礼のシャーマン》で墓地を減らしたり、《迫り来る復興》で墓地から土地やインスタントなどのカードを回収して《死橋の詠唱》の“当たり”を増やしましょう。《迫り来る復興》はフラッシュバックを持つので《死橋の詠唱》で墓地に置かれても唱えることができるのがいいですね。ゴルガリからはもう1枚、《化膿》です。最近はやや珍しくなった“再生できない破壊”の効果を持つインスタントで、これまでの環境では対処しにくかった《幽霊議員オブゼダート》や《実験体》、《ロッテスのトロール》のようなやっかいクリーチャーを除去できるようになります。
(15-15)シンプルイズベストって感じの強さね。《変化/点火》もそうだけれど『ドラゴンの迷路』では除去呪文が強化されている印象を受けるわ。
次はラクドスのカード。まずは《残虐の達人》に注目してみましょう。攻撃してブロックされないと、相手のライフを1にできるというものすごい能力を持っていて、ライフが20あろうと50あろうと、一撃で瀕死に追い込むことができるわ。相手のブロックを封じるカードと、1点でも相手にダメージを与える手段があれば、それだけで勝利することができます。
(16-16) (17-18) ▲クリーチャーをブロックされなくするカードたち。《ならず者の道》は土地なので、専用のカードを入れなくてもいいのが便利です。《派手な灯光》はブロック不可の能力と共に“呪禁”も与えてくれるので除去耐性もつくようになります。またブロックされた場合でも“先制攻撃”と“接死”を持つため、戦闘ではほとんど負けることがないわね。アタッカーとしてはもちろん、ブロッカーとしてもとても頼りになるクリーチャーよ。過去に例のないカードなので、どう活躍するのかはまだわかりませんが、このカードが戦場に出たら一気にドキドキ、緊迫感が増しそうね。ラクドスからはもう1枚、《狂気の種父》も見逃せないわね。
(19-19)各終了ステップの開始時にお互いの手札が0になるという、まさに狂気の名にふさわしい、とんでもない能力を持っているわ。お互いに手札をなくした後は6/4というサイズで攻撃に行けるので、1枚でゲームを支配することも不可能ではないスペックの持ち主ね。可能性をヒシヒシと感じるわ。
《心なき召喚》でマナ・コストを少なくしたり、序盤はひたすら青のバウンスで自分を守りつつ、相手の手札を多くしておいてこれを出す、なんて使い方が有効そうね。
次はセレズニア。小さくて大きい《復活の声》に注目です。《復活の声》が死亡するか、対戦相手がこちらのターン中に呪文を唱えるたび“パワーとタフネスがあなたのコントロールしているクリーチャーの数にひとしい”エレメンタル・トークンが生み出されます。
(20-20) (21-22) ▲色こそ少し違うけれど、基本のサイズが《銀毛のライオン》、出るトークンは《オドリックの十字軍》相当なので、2マナ+3マナ=2マナという謎の計算が成立するわね……。恐ろしいコストパフォーマンスだわ。また、単純に除去耐性のあるクリーチャーというだけでなく、自ターン中の対戦相手の行動を大きく制限できるので、コントロールデッキに対しても有効なクリーチャーです。これから、スタンダードのビートダウンデッキには多く見かけるカードになりそうですね。《火柱》のような対策カードをしっかり準備しておきたいところです。続いてこちらも実にセレズニアらしい《ワームの到来》。
(23-23)書いてあることはとってもシンプル。巨大なワーム・トークンを1体出すことができます。4マナ5/5“瞬速”で“トランプル”持ちのクリーチャーと考えると、その強さがよりわかりやすいわね。通常、トークンであることは《修復の天使》で“明滅”できなかったり、《送還》のようなカードに弱かったりとデメリットになることも多いけれど、セレズニアには“居住”があるので、メリットにもなっているのがニクいわね。
それ以外にも《瞬唱の魔道士》で再利用したり、《炬火のチャンドラ》でコピーしたりと、インスタント呪文であることをより活かしたデッキ構築も面白そうね。これからは《修復の天使》なら出てきても倒せる! と思って攻撃したら5/5に打ち取られました、なんていうシーンも増えるかもしれないわ。
→続いて『ギルド門侵犯』に登場した5つのギルド
に属するカードから見ていくわねっ!(3ページ目へ)
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記事内イラスト:うさ城まに
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