2013年5月30日(木)
トライアングル・サービスから5月30日に発売されるXbox 360用ソフト『シューティングラブ。10周年 ~XIIZEAL & ΔZEAL(トゥエルブジール アンド デルタジール)~』。本作を、普段はニュース記事を担当している皐月誠がレビューしていく……んだけど、まあ、その前にちょっと話を聞いてくれ。
今年2013年は、タイトーの『スペースインベーダー』発売から35周年のメモリアルイヤー。そして世界初のSTGとされる『Spacewar!』が産み出されてから50+1年。ボタンを押すとプレイヤーキャラクターが弾丸を発射し、弾丸を食らうと敵機は砕け散る。そんなSTGの誕生から半世紀以上の歳月が過ぎた。
STGの1ジャンルである“縦スクロールSTG”のシステムは、旧態依然としている――まず特徴として、スタンダードな縦スクロールSTGには高低の概念がない。地面と水平に飛行する戦闘機が放った弾丸は、空中の戦闘ヘリにも、地上の戦車にも、戦艦の砲塔にも艦橋にもヒットする。
ピサの斜塔を代表としてトリック写真のフォトスポットは各地にあるが、縦スクロールSTGではトリック写真の世界こそが現実だ。ギャルゲーの世界を俗に“二次元”と言うが、もし縦スクロールSTGの自機がそこに入り込んでショットを撃てば、バストアップの大きい立ち絵も全身像の小さい立ち絵も水平面上のオブジェクトとして均一に吹っ飛ばされる(当たり判定があれば!)。
縦スクロールSTGの描写はそれほどに、ある意味で稚拙だ。ハイエンドなエアコンバットや一人称シューターは鼻で笑うだろう。しかし、縦スクロールSTGは今年も新作が出た。むしろ例年より多めに出た。溜めていたのが溢れたかのようにドバッと出た。
Xbox 360では、キュートのオリジナルタイトル『ギンガフォース』、AC逆移植も決定しているモスの『カラドリウス』、ケイブのAC移植作品『怒首領蜂 最大往生』。ACでは、ALL.Net P-ras MULTIでACに復活した『アンダーディフィートHD+』、同人作品からNESiCAxLiveに移植された『クリムゾンクローバー』……。なぜ、縦スクロールSTGという時代遅れのジャンルで、新作がいまだにリリースされるのか?
※『ギンガフォース』と『アンダーディフィートHD+』には高低差の概念があります。
それは、縦スクロールSTGでないと描けないものがあるから。そのものとは、ストイックな――いや、むしろ過剰なほど貪欲に煮詰めた、自機と敵機と弾による“ゲーム”だ。
セガサターン版『レイディアントシルバーガン』の“石のような物体”は、「私のこと、愛してる?」とプレイヤーに尋ねた。この“私”とは“ゲーム”自身であるという逸話は、レビューと関係ないことが延々書かれ続けているこんな8段落目までお付き合いいただいている読者のあなたならご存知だろう。さて、あなたは“彼女”にどれほど応えられるだろうか?
トライアングル・サービスの作るSTGは、すべての要素がゲームを演出するために存在している、非常に“ゲーム”らしいゲームだ。あなたが“ゲーム”を愛していて、もしトライアングル・サービスのゲームを遊んだことがないのなら、どこかで一度はその“ゲーム”らしさを体感してほしい。現在、ALL.Net P-ras MULTI用タイトルとして『ゲーセンラブ。~プラス ペンゴ!~』が稼動しているので、ワンコインから触れてみてはいかがだろうか。
今回紹介する『シューティングラブ。10周年 ~XIIZEAL & ΔZEAL~』は、そんなトライアングル・サービスの初期作品2タイトルを収録したパッケージだ。高純度な“ゲーム”を楽しみたいのなら……マストバイ。ナウ。
→まずは『トゥエルブスタ……』もとい『トゥエルブジール』から!(2ページ目へ)
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