PS4の日本での今後の展開と戦略についてSCE河野弘氏に聞く！【E3 2013】

文：電撃オンライン

■今後の展開はPlayStation Plusがカギを握る！

――日本ではPS3がまだまだ人気で、PS Vitaもまだ2年目という状況の中で、新たにPS4が登場することになります。どれも重要だと思いますが、それぞれどうやって展開していくのかが気になります。

河野：PS3は発売から7年目を迎えようとしていますが、今なお安定して売れ続けています。今年は年末に向けて、とにかくたくさんのタイトルが発売になります。開発自体は何年か前からスタートしていると思いますが、ソフトの盛り上がりという点でPS3は非常に重要です。

　PS Vitaに関しては、2013年度内に、およそ150タイトルが日本のマーケットで発売されます。PS Vitaは“完成度の高いポータブルゲーム機”として立ち上げていかないといけないので、価格改定もしましたし、今年はいろんなアクションを取っていきます。

　ただ共通して言えることは、“PlayStation Plus”に力を入れていくということです。PS Plusのメニューをもっと充実させていくようなアクションを現在考えていますし、PS3でもPS4でも、PS Vitaでも、オンラインでのサービスというものを広めていこうと思います。新しいタイトルを楽しんでいただくことも重要ですが、それがPS Plusのメニューに入ってくれば、スポットを当てるチャンスになると思うんです。過去の名作と言われるタイトルを含めてですが。プレイステーションの持っているカタログとしての魅力を、アグレッシブに打ち出していく予定です。

――PS4のマルチプレイはPS Plusを介して、というお話がありましたから、興味を持つ人がかなり増えそうですね。

河野：PS3やPS Vitaのユーザーさまも、早めにPS Plusの会員になっていただければ、PS4でもスムーズに移行できると思いますよ。そのためにも、PS Plusのプログラムをもっと充実させていくつもりです。

――PS Plusの普及については、かなり地域性が出てくる部分かと思います。日本では、北米やヨーロッパとは違った戦略で臨むということになりますか？　日本のユーザーが利用したくなるようなサービスや、興味を持ってもらえるタイトルをそろえるなど……。

河野：タイトルに関しては、当然そうなります。その他には、PS Plusの魅力をハードウェアの販売戦略に融合させていくようなことをやります。ハードを買う時に安心感を持ってもらえるような施策を、これから展開してきます。日本ではこれまで、ソフトがハードをけん引するという構図でしたが、それも含めつつ、サービスというところを前面に押し出していくつもりです。

――これまでのPS Plusから、どのように変わっていくイメージでしょうか？

河野：対象のユーザー層がさらに広くなるイメージですね。もちろん、コアなファンにとってオトクということは間違いないんですが、新しいタイトルを頻繁に買わないライトな方でも、いろいろなタイトルが遊び放題で楽しめるという、ある意味での安心感が生まれるような方向性と考えてください。

――これだけ長いゲームの歴史があると、現在のプレイヤーが意外と知らない名作もたくさんあると思います。そういったタイトルに触れてもらいたいというのが、1つの回答なわけですね？

河野：面白いタイトルを眠らせたままにしておくのは、もったいないですからね。たしか昨年の9月くらいに、『クラッシュ・バンディクー』をプレイしてお見せしたことがありましたが、全然古く感じないですし、めちゃくちゃおもしろいんですよね。そういうタイトルも、『ファイナルファンタジー』のような人気作も、ぜひ遊んでいただきたいです。全部で1,500タイトル近くをオンラインで配信していますが、そのうちの120タイトルくらいがPS Plusで遊べるわけですから。

　日本でのPS Plusの戦略というのは、カタログの魅力や、プレイステーションの中にあるコンテンツパワーというものを、もう1度見直してもらうというものです。新しいものだけで商売をするだけでなく、お父さんが昔遊んだタイトルをお子さんが初めてプレイするといったことからも、新しい発見を楽しんでいただきたいですね。

　PS4に関しても、PS Plusの会員であるということは非常に重要な意味を持つので、フリープレイ版の『DRIVECLUB PS Plus エディション』の提供などの展開も積極的に進めていきます。

――30日で500円（税込）というような安い会費であれば、無料でもよかったのではないかと思ってしまうのですが、とはいえ必要な金額ではあるのかなという気持ちもあります。普及という面において、無料で運営するという可能性はあったのでしょうか？

河野：そうですね。やはりサービスを提供する限り、それをきちんと運営していく責任がありますし、加わってもらえるコンテンツに対しては対価を用意したいと考えます。ワンコインでOKということであれば、決して高くはないと思いますので、皆が少しずつ得をする形になればと思います。

――今後のPS4のプロモーションを含めたプレイステーションフォーマットとしての施策を教えてください。

　私たちがこれから進めていかなければならないのは、プレコミュとかPlayStationの公式Facebookページなどのユーザー様とのコミュニケーションをとっていく施策です。PlayStationの公式Facebookページは、「いいね！」がようやく10万人くらいまで来ているのですが、そういう活動が本当に重要になってくると思います。プレイステーションのユーザーコミュニティに対して、どんな情報を出していくのか、どんな提案をしていくかが大切なんです。いろんな意味で試行錯誤しながら、イベントを行ったり、ユーザー様に意見を発信してもらったりといったことを、これからも力を入れてやっていくつもりです。

　この間、『ゴッドイーター2』のイベントをやったところ、約600人の方に参加していただけたんですよ。ユーザーさまに直接働きかけるようなマーケティングも、これから強化していきます。電撃さんとご一緒することなど、いろんなことができるのではないでしょうか。一緒に盛り上がることを考えていきましょうよ。

――本日はありがとうございました。

関連サイト

• PlayStation.com
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