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2013年6月12日(水)

PS4でゲームの未来はどうなる? SCE吉田修平氏を再び直撃!【E3 2013】

文:電撃オンライン

 “Sony PlayStation E3 2013 Press Conference”から一夜明け、“E3 2013”開場直前に、再びSCEワールドワイド・スタジオのプレジデント吉田修平氏に話を伺うことができた。

 PS4でプレイヤーは、具体的にどのような形でゲームに接することができるのか、世界的なゲームのインディーズシーンへの注目など、これからのゲームの未来に対する話は多岐にわたった。

E3 2013
▲吉田修平氏

――今回のカンファレンスは、ユーザー視点に立った素晴らしいカンファレンスだったと思います。

 はい、PS4でも、さまざまな楽しみをユーザーに提供しようと考えていますが、ユーザーに“なぜこのゲーム機を買わないといけないのか?”と考えてもらうということが大事だと思っています。今やスマートフォンやタブレットがあるので、みんな手軽にゲームを遊ぶことができますよね。

 その中でゲーム機を買うということは、“このハードですごいゲームが遊べるから”ということにつきます。では、PS4は他の娯楽と比べてどんな違う楽しみを提供してくれるのか。まずはそれを伝えないと、どんな“遊び”を用意しても意味がないと思うんです。

 それらにすべて集中したのが、2月の"PlayStation Meeting 2013"ですね。そして、今回のカンファレンスとE3ではそれ以外の部分もみなさんにお伝えしていこうと。

――確かに今回のカンファレンスは、2月の"PlayStation Meeting 2013"で発表されたことを深くは掘り下げる方向でなく、PS4のまた新しい部分を伝える発表だと感じました。

 今回は、PS4本体のデザインと価格、ゲーム。これらをきちんと見せようと考えていました。例えばシステムに関することや、ユーザーインターフェイスがどうなるのかについては、今回は省略しています。

――アピールポイントを絞ったということですね。

 2月でマシンのコンセプトについてはお伝えできたと思ったので、今回はこの3つに力を注いだ形ですね。

――E3のマイクロソフトのカンファレンスで驚いたのは、2月“PlayStation Meeting 2013”で明らかになった“PS4でできること”と同じことを、XBOXONEではより具体的にこうなるという説明がされていたことでした。クラウドの使い方や、SNSでの映像のシェアの仕方、動画に対する考え方などですね。

 それに関しては、こちらのことを意識しているなどではなく、メディアやユーザーの反応を見て、伝えるべきことを伝えた形なんだと思います。

――先ほどおっしゃっていた3つの柱の1つとして、今回はPS4のデザインが発表されました。デザインやサイズについて、吉田さん自身はどうお考えですか?

 DUAL SHOCK4についてはまだ姿も形もないころから関わっていたんですよ。でも本体のほうには関わっていなくて、初めて見たのは2月の"PlayStation Meeting 2013"のあとなんです。まずは薄さに驚きましたね。比較したら、PS3の2世代目と同じか、PS4が少し薄いくらいなんですよね。デザインも変わっているなあと思いましたが、それよりも薄さ、軽さに驚きました。

 縦に置くことで、なんとなくPS2をイメージさせるところもありますよね。黄金比などを考え、全体のバランスを極限まで追求したデザインなんです。そのあたりもよく見て探してみてください。

■どういう形でタイトルが決まっていくのか?

――SCEのファーストパーティのタイトルは、PlayStationというものを背負って生まれてくるかと思います。吉田さんを中心としてワールドワイド・スタジオでは、どういうコントロールをされているのでしょうか?

 基本的には1タイトル1タイトル見ていきます。言わずもがなですが、ここはクリエイティブな世界です。ゲーム制作の中心となるゲームディレクターやクリエイティブディレクターが持っているイメージこそが大事なんです。それがどれだけ強いものなのか、新しいものなのかを見ます。ここでやる価値があるかどうかを判断するんですね。

 うちは新しいもの好きが多いのですが、新しいものって上手くいかないことのほうが多いんですよ。だから、まずはある程度やってみて判断しようということになります。そこで半分くらいは落ちます。発表するタイトルは、そういうところを潜り抜けて、「これはイケる」と手ごたえを感じたものになります。

 ただし、全体をマネジメントする立場からすると、プラットフォームの戦略や地域ごとの戦略というものがあります。単体で見るといいものでも、大局的な視点から見るとよくないこともあります。そうした点も踏まえて、個々のアイデアを判断しながら、同時に全体を見ている形ですね。個性を非常に尊重しています。そして、だいたい3年ぐらい先を見据えて、どのプラットフォームで出して、どの地域のユーザーに遊んでもらうのか考えています。

 これらの判断の基準としては、1方向に偏るのではなく、ボトムアップしつつ均等にやっていくことですね。逆に「このジャンルが流行しているからそれをやろう」ということはやりません。そういうこともあって、マーケティングの人間と衝突することもあります(笑)。マーケットのニーズを気にする人からすると、不思議でしょうがないでしょうね。

――タイトルを通じて、PS4の方向性をもっともわかりやすく示すポイントはなんでしょうか?

 ハードの性能が進化して可能になった部分については、さまざまなタイトルで発表させていただきました。もう1つ、“つながるおもしろさ”というポイントがあります。その点についてはあまり詳しくお見せしていませんが、今後はさまざまなタイトルを通じて、“つながるおもしろさ”を説明できると思います。リアルタイムでつながっているわけではないにせよ、フレンドがいるからこそ体験できるおもしろさって、あると思うんです。そうした楽しさをゲームの中に織り込めれば、と。

――“非同期の共有”というのは、今後重要になっていきそうな要素ですよね。

 ええ、重要になっていくと思います。ユーザーの皆さんもお忙しいので、どうしてもゲームを同じ時間に楽しむことは難しいと思うんです。そういう時に、〝非同期の共有”を利用して一緒に戦ったり。ことさら“クラウドコンピューティング”という言い方はしていませんけれど、今後はもっと重要になっていく部分だと思います。

→クラウドのおもしろい使い方を作っていくのは?(2ページ目へ)

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