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2013年7月16日(火)

【ほぼ毎日特集】よく自動ドアが開かない男が攻略法を聞いてきた。意外と知らない自動ドアの歴史や仕組みをインタビュー(第18回)

文:そみん

■自動ドアの事故をふせぐために

――乗り物や建築物以外では、どのような場所で自動ドアが使われているのでしょうか。

 よく知られているところでは、駅のホームドアですね。安全面的にも、これからさらに増えていくと思います。バリアフリーの流れで、改札とホームを直結するエレベータの設置が進んできましたし、次はホームドアになるのかなと思っています。

――たしかに地下鉄やモノレールなどでは、かなり増えてきたと思います。

 1つのホームに複数の種類の路線が乗り入れる場合、それぞれ停車時のドアの位置が違うため、対応が難航している部分があります。同じ路線でも、6両編成と8両編成で停車位置が異なる場合もありますしね。

 ちなみに電車や船のような乗り物用の自動ドアは、人や荷物による重みや、揺れた際の歪みも考えて作らないといけないので、建築物用よりも大変な部分があるそうです。

――自動ドアを開発する際に、もっとも意識しているポイントはどこですか?

 当たり前ですが、安全が第一です。機器の開発においてももちろんですが、利用者の方が事故を起こさないようにパンフレットなども作っています。

自動ドア取材
▲協会発行のパンフレットより。昔から子どもの衝突事故などは多いが、最近はスマホなどを見ながらの事故が増えているという。

――どのような事故が多いのでしょうか。

 かけこみによる接触や転倒がほとんどです。小さいお子様の場合は、戸袋に体や手が挟まれて大きなケガにつながってしまうこともあります。戸袋の隙間は狭いので、大人の事故はほとんどないんですけど、お子様はそういうところに指を入れてしまったり、手をついてしまったりしますから、ぜひ保護者の方は目を離さないようにしてほしいですね。

 自動ドアに接触すると、すぐにドアが開く安全機能もついていますが、それでも利用者の方自身に勢いがついていると、思わぬケガにつながりますので、気を付けてください。

――こちらのパンフレットを見ると、斜め侵入は危険なんですね。初めて知りました。

 自動ドアは原則的に正面からの使用を前提としているので、斜めや真横から侵入しようとすると、ドアの開閉のタイミングが遅れて、追突してしまうことがあるんです。

 自動ドアの開閉のタイミングや速度というのは意外と重要で、これは自動ドアが日常的になりすぎたがゆえの問題になるのですが、大半の方々は「自動ドアはこんな感じに開くだろう」という先入観を持っていることが多いんです。それゆえに、ドアが思ったよりもゆっくりと開いてぶつかってしまったり、逆に思ったより早く閉まって挟まってしまったりすることがあります。

 極端な例では、スマホをいじりながら歩いていて、普通のドアを自動ドアだと思い込んで、そのままぶつかってしまうこともあります。

――この10年、もしくは20年単位で考えた場合、自動ドアでもっとも進化したのはどの部分でしょうか。

 一番の進化は、今から25年くらい前になる1980年代に電気式に移行したことでしょうね。これにより、大型のコンプレッサーなどを設置する必要がなくなり、コンパクトになったため、設置できる場所の自由度が大きく上がりました。

 センサーの感度や機器の小型化、耐久性の高度やコスト削減、省エネルギーの部分など、細かい部分は進化を続けていますが、実は近代自動ドアは1980年代にほぼ完成形となっていて、そこまで目立った進化はありません。

 ただ、もちろん進化がないわけではありません。マイコン制御が基本となったため、速度や全開・半開といった細かな設定変更が容易になりましたし、ドアが何かを挟んだ際に素早く反転全開するセイフティリターン機能も一般的になりました。

 それから、古くからの問題点として、通行量が多い道に面した場所に自動ドアを設置すると、お店に入るつもりがない人が通っても自動ドアが開いてしまうというものがあります。これについては、タッチスイッチを押すとドアが開く仕組みのものが一般的ですが、よくよく考えると、自動ドアなのにドアを開けるためにタッチスイッチを押すのは自動じゃない気がしますよね(笑)。

――コンビニなどでよく見るタイプの自動ドアですよね。たしかに、微妙に自動ではないですね(笑)。

 そのため、人の動きを感知して、店の前を素通りするような動きの時にはドアを開けず、店に入ろうと入口に向かってきた動きだけを察知してドアを開けるような、特殊なセンサーの研究が進んでいます。

 こういったように、安全や使いやすさの部分については、日々進歩や改善を進めている形です。

→意外と知らない自動ドアのマメ知識も聞いてみました!(4ページ目へ)

(C) Japan Automatic Door Association

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