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2013年7月29日(月)

『ニーア』のエアリーな楽曲とは異なる『ドラッグ オン ドラグーン3』の音楽性とは? サウンド担当・岡部氏インタビュー【電撃DOD3】

文:タダツグ

 10月31日の発売に向けて、少しずつ詳細が明かされつつあるPS3用ARPG『ドラッグ オン ドラグーン3』。今回は、そのサウンド部分を手掛けるクリエイター・岡部啓一さんと、プロデューサーである柴貴正さんへのインタビューをお届けします。

『ドラッグ オン ドラグーン3』

 藍井エイルさんが歌う本作のテーマソング『クロイウタ』へ込めた想いや、大学時代からの盟友である岡部さんとヨコオタロウさんとの関係など、読みごたえたっぷりのロングインタビューとなりますので、どうぞ最後までお楽しみください!


【インタビュー参加者のプロフィール】

●岡部啓一 サウンドクリエイター集団・MONACAの代表を務める、本作のサウンド・ディレクター。ヨコオタロウ氏がディレクションし、ファンから高い評価を受けた『ニーア』のサウンドも、岡部氏の手によるもの。

●柴貴正 スクウェア・エニックス所属のプロデューサー。『DOD』シリーズすべてのプロデュースを務めている。その他の代表作に『ロード オブ ヴァーミリオン』シリーズなどがあり、ダークファンタジー作品に縁が深い。

●松下忠嗣(TDB) 今回のインタビューの聞き手。電撃PlayStation、電撃オンライン所属の編集。本作はもちろん、『DOD1』『DOD2』『ニーア』の記事を担当してきた、生粋の紅い瞳の信者。

■ゆるふわなスタート地点から始まった『DOD3』サウンド制作

『ドラッグ オン ドラグーン3』
▲左が岡部啓一さんで、右が柴貴正さん。赤と黒のコントラストが映える、スクウェア・エニックスの一室にて。

――本日は岡部さんと柴さんに、サウンド関連のお話をこってりお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。

:僕、電撃さんにはいろいろなことをすでにしゃべってるじゃないですか。正直、ファンの方にはもう飽きられてやしませんかね?

――いやいや、そんなわけないですよ! もっといろいろ教えてもらいたいです。

:またコイツがしゃべってるよ……とか思われている気がするんですよね、そろそろ。

――いきなりインタビュー拒否ですか? 毎回お題は変わってるわけですし、気にしすぎですってば!

岡部:いや~、すごいインタビューの入り方ですね。いつもこんな感じなんですか?

:こんな感じですよ。今日は岡部さんにも、こんな感じでたっぷり語ってもらいますよ。

岡部:お手柔らかにお願いします(笑)。

――では、そもそもこの『DOD3』の楽曲を、なぜ『ニーア』の岡部さんが担当されることになったのか? ズバリ、その経緯からお聞きしたいと思います。お2人は、お付き合い自体はけっこう長いんですよね?

:そうですね。昔から何回かお仕事をご一緒してますね。

岡部:近いところだと、PSP/PS Vitaの『ロード オブ アポカリプス』(2011年12月17日発売)で一緒に仕事をしています。それ以来になりますので、久しぶりといえば久しぶりですよね。

『ドラッグ オン ドラグーン3』
▲柴さんがプロデューサーを務めた『ロード オブ アポカリプス』のサウンドは、岡部さんが率いるサウンド集団・MONACAが手掛けている。もちろん、岡部さん担当の楽曲も!!

:真面目な話をすると、『DOD3』が動く前に『ニーア』という作品がありまして……って、このインタビュー記事をお読みの方には説明するまでもないことかもしれませんが。ヨコオさんと岡部さんがタッグを組んだこの『ニーア』が、ファンの皆さんにものすごく高い評価をいただけているんですよ。

岡部:ありがたいお話です。誰より僕がびっくりしています……。

:そんな岡部さんに『DOD』の楽曲を作ってもらいたいと、ヨコオさんから提案がありまして。僕としても、きっとすごいものになるんじゃないかなと思えたので、お仕事をお願いさせていただきました。

 実は僕、“ゲームミュージックは鼻歌で歌えないとダメだ”というのが持論なんですよ。それってつまり、メロディがすぐに覚えられるほどはっきりしているってことですからね。

――確かに、名曲と呼ばれるゲームミュージックって、すぐにメロディを鼻歌で歌えるようになる気がします。

:その点、岡部さんはキャッチーな楽曲をばっちり作ってくれますから。メロディがすごくはっきりしていて、しかもそれが『DOD』や『ニーア』の世界観にぴったりハマッている。これはもう、彼に頼むしかないじゃないですか。

岡部:光栄です。というか、そこまでほめられるとプレッシャーなんですけど(苦笑)。

:ゲームや映像は何百人というスタッフが集まって作り上げる結晶ですから、ある意味さまざまな色が混ざり合うわけですが、音楽は2~3人という規模で作るものですからね。それだけ作った人間の色が強く出ます。

 楽曲の方向性などが、ゲームとピッタリ合致する時はいいんですけど、逆にかみ合わせが悪いと、ゲームへの没入観を一気にダメにしかねないんです。そういう意味では、音楽ってゲーム自体の評価にも大きく影響するので、そこを感覚的に理解されている岡部さんとご一緒できていることは、すごくありがたいことなんです。

『ドラッグ オン ドラグーン3』
▲作品の雰囲気にぴったりマッチしていた『ニーア』の音楽。ちなみに、インタビュアーである松下のお気に入りは『イニシエノウタ』と『カイネ/救済』であります。良曲!!

――では、岡部さんが『DOD3』のオファーを受けた時の印象はいかがでしたか?

岡部:そもそも、最初に『DOD3』のお話をいただいた時は、「正式にお仕事の打ち合わせをしましょう」って形ではなかったんですよ。それこそヨコオさんとプライベートでご飯を食べている時に、「そう言えば今度さー」みたいなノリというか、なんかうっすらとした感じでお願いされたもので……。正直、僕自身も最初はふんわりとした印象しかなかったです。

――では、正式にお話が来た時の第一印象はいかがですか?

岡部:素直にうれしかったですけど、同時にプレッシャーも感じましたね。熱狂的なファンの方がたくさんいて、過去作の印象がものすごく強いことは知っていましたので。僕自身、『DOD』の音楽と言えばやはり佐野さん(※)の音楽がすごく印象に残っていますし、そこはファンの方も同様だと思うので、「恥ずかしいものは絶対に作れないぞ」ってプレッシャーはすごく感じています。現在進行形で(笑)。

(※)佐野さん:佐野信義氏。“佐野電磁”名義でも活躍するサウンドクリエイター。『DOD1』のサウンドを担当した。

――『DOD』の血統を受け継いでいるとはいえ、『ニーア』がまったく新しいシリーズであったのに対して、『DOD』はすでに2作品が作られているじゃないですか。まっさらな新作とマイルストーンが存在するシリーズ作品とでは、音楽の作り方そのものに違いがでたりするんでしょうか?

岡部:全然違いますね。シリーズ作品の場合、過去作に方向性を寄せるべきなのか、それとも全然違うものにすべきなのか、いきなり迷ったりしますから。ある意味、何も前例がない新作を手掛けるほうが気は楽です。

:わかる。すごくわかります。

岡部:『DOD3』については、ヨコオさんの意向や柴さんの意向、僕の楽曲をファンの皆さんが聴いた時に抱く印象など、いろいろなところまで想像しながら作っています。新規作品である『ニーア』の時は、比較的好き勝手にやれていましたから……うん、やっぱり全然違いますね。

――岡部さんが、そういった細かい部分までしっかりと考えてくださっていることは、イチファンとしては安心ですけどね。

→岡部さんとヨコオさんの不思議な関係とは?(2ページ目へ)

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