News

2013年7月25日(木)

【ほぼ毎日特集#23】CD16枚セットの豪華プレゼントもあり! ゲーム作曲家インタビュー「教えて!佐宗先生&細江先生!」後編(ミゲル)

文:ミゲル

 電撃オンラインのスタッフが自分の情熱の赴くままに好き勝手に紹介や取材をしていく企画“ほぼ毎日特集”。「いろいろな切り口からタイトルに触れることがあっていいはず!」――そんな思いをもって編集者・ミゲルの“ほぼ毎日特集”「教えて!○○先生!」では、さまざまなゲーム音楽作曲家の方々に突撃インタビューをしていきます。

 第2回となる今回は、『リッジレーサー』シリーズの作曲でおなじみのゲーム音楽界の重鎮、細江慎治さんと佐宗綾子さんへ突撃取材! 前後編に分けてご紹介しますので、前編を未読の方は、まずはこちらからチェックしてくださいね。

 ページの最後には、お2人からの超太っ腹読者プレゼント付きのアンケートもありますので、最後までぜひぜひお付き合いください。

「教えて!佐宗先生&細江先生!」

――細江さんは、作曲するにあたっての“儀式”みたいなものはありますか?

細江慎治さん(以下、細江):僕も“神待ち”しかないですね。ぼけーっと(笑)。

 以前に、自分が最初のモチーフを書いて、他の方がアレンジを作るという『モンスターキングダム・ジュエルサモナー』の仕事があったんですが、あの時はプレッシャーで、延々と出てこなかったですね。それはもう難産でした。でも、作った時間は一瞬でしたね。神が降りてきてからはパパッと書いて、バッと送って。

――佐宗さんも、難産で思い出に残っているアルバムや楽曲はありますか?

佐宗綾子さん(以下、佐宗):どれも結構時間はかかってはいる気がしますねぇ。同時進行で辛かったのが、『ストリートファイターEX3』と『DRIVING EMOTION TYPE-S』を作った時かなぁ。あれは、レコーディングが同じ時期で、自分的に“出涸らし”感がすごく強くて困りましたね。「もう絞っても出ないよー!」みたいな。

細江:ある程度の期間があれば、2タイトル同時進行は(タイトルで)気分を変えることができるので結構楽なんです。ただ、期間がないと厳しいですね。

佐宗:それにしても、我ながらあまり作曲家らしいことはしてないなぁと思いますねぇ。皆さんが考えるような、ギターを弾きながら作曲をするとかは全然なくて。常に目の前にパソコンを立ち上げてはおくんですが、全然進んでないねぇ~と……。たまに夢の中で仕事をしていて、「できた!」と思って目が覚めると現実では空っぽ、とかも(笑)。

細江:それを覚えていたらすごいよね(笑)。

佐宗:覚えていたらいいんですけどね~(笑)。

――きっと夢の世界でも名曲がたくさんリリースされているに違いないですね!

(一同、笑い)

「教えて!佐宗先生&細江先生!」
▲楽曲サンプルを調べて聞かせてくださるお2人。

――どこか、電車の中など変な場所で曲が浮かんでしまったらどうするんですか?

細江:あ~。忘れないように繰り返し繰り返し頭の中でリピートして、作業場に着くと忘れるっていうね。「あれ~?」ってなります(笑)

佐宗:アリカ時代に、忙しい時期があって泊まりで仕事をしていた時があったんですが、通っていた銭湯で曲が突然浮かんでしまったこともありましたね(笑)。

■得意ジャンルの違いによる支え合いで作られた音楽たち。

――お互いの好きな楽曲は何かありますか?

佐宗:私は、細江さんの楽曲だったら『UNDER DEFEAT』は結構好きですね。『ストリートファイターEX2』の時の曲も名作ぞろいかなと思います。

細江:『ストリートファイターEX2』の曲は3人で作っているけれど、どれも結構いいよね。あと、『カスタムロボ』(の佐宗が担当した曲)は名曲が多いと思います。

佐宗:あれも人のクセが出まくりな感じじゃないですか!

細江:(佐宗の作る楽曲は)いつも安定しているんですよね。「自分の手癖がイヤだ!」と自分で謙遜しているんですけど、僕から見ると「全然いいのになぁ……」と思いますね。本人はイヤがるけれど、『ロックマン エグゼ トランスミッション』も好きかな。

●『ロックマン エグゼ トランスミッション サウンドトラック』試聴動画●

佐宗:あれこそ、本当に“出涸らし”の時だったんですよ! ちょうど『カスタムロボ GX』をやった直後で、その“出涸らし”の状態で作曲をしなきゃいけなかったので、自分的にはすごく辛かったですね。

――極限状態で生まれた、真の佐宗節ですね。

佐宗:うぅん。でも、外からの評価は意外と高かったりするんですよね(照)。

――細江さんでしたら、『細江慎治WORKS』シリーズのようなアルバムがありますが、私はもっと佐宗さん推しなアルバムが欲しいです! 佐宗さんが、“縁の下の力持ち”をしている作品はとても多いですが。

●『細江慎治WORKS VOL.1~ドラゴンスピリット~』試聴動画●

佐宗:私は、本当に1人でやったタイトルが少なくて3つ、4つくらいしかないんですよね。グループで手掛けたタイトルが多いので……。

――そうすると、バラバラのタイトルを1つのアルバムにまとめるのは難しいですよね……。

佐宗:そうなんです。すごく作りにくいです。まとまっているのは、『ローリングサンダー2』か、あとは『X-DAY』『爆裂クイズ魔Q大冒険』とかですかね。

細江:時期的なものもあるよね。後期になると、複数の人間で作るものがものすごく増えてしまったので。

佐宗:物量的にも期間的にも、1人では無理になってしまって……。昔は本当に、ちゃんと1人で担当できるくらいの期間があったんです。それもあったし、今みたいにゲーム1本作るのに100人以上の規模ということがなくて、自分が最初に担当したものなんて5人くらいしかいなかったんですよ。企画が1人、プログラマーが1人、CG担当が2人、サウンド担当が1人っていう。

細江:制作期間も1年くらいありましたからね。

佐宗:今は物量もすごいし、サイクルも早いですからね。

――お2人で協力して楽曲を作られることもありますか?

佐宗:細江さんが下地を作って、私がオーケストラアレンジを作ることもあります。『BLOOD+ ~双翼のバトル輪舞曲~』のエンディング曲は、2人で作ったものですよ。

 あとは、ナムコ時代にもありましたけれど、リレー形式で曲を作ったこともありますね。『ギャラクシアン3 シアター6』は、イントロを細江さんが作って、それに続いて私が作って、また細江さんに渡して……。誰の曲かわからなくなるんですけどね(笑)。

細江:スタジオは1つしかないので、24時間交代営業で(笑)。

――また新しい何かが生まれていいですね! 逆に、佐宗さんが下地を作って、細江さんが編曲されたものはありますか?

細江:『ブシドーブレード』はそうですかね。あれ、寝ちゃったんだよね?

佐宗:え!? そうだった!? 私、そんな無責任なことしたっけ!?

細江:曲の途中までは(佐宗さんが)作っていって、後半電池切れで(笑)。

(一同、笑い)

――予期せぬお2人の共作ですね(笑)。

細江:『ブシドーブレード』は、正月を全部潰して曲を書いていましたね。すごく大変なタイトルでした。

佐宗:いまだに自分の出音(MIX)に自信がなくて気に入らない時があるので、細江さんに聞いてもらって直してもらうことはありますね。細江さんの、「こういうエフェクトを挟んでこうしてみると……」と言うのを聞くと、「その考えはなかった」って(笑)。

――オーケストラのような音は佐宗さんが強くて、シンセサイザーの音は細江さんが強くて、という支え合いなんですね。

佐宗:私は、シンセサイザーの中にあるプリセット音からエディットする程度しか音を作れないんです。細江さんは、“ゼロ”から音を作ってしまう人なので、「こんな音が欲しいんだけど……」と伝えると、クィクィッと作ってしまうんです(笑)。

細江:オーケストラ楽曲は自分で書かないわけではないんですけれど、全然わからなくて……。法則があるんですけれど、そういったものがわからないし、わかりたくもなくて……。

佐宗:そういったお約束ごとのある曲なら、私はめちゃめちゃ早く作れるんですけどね(笑)。

さくらやのTV-CMの作曲は細江さんと佐宗さんだった!?→(2ページ目へ)

(C) 2000-2013 SuperSweep co.,ltd.

1 2 3 4

関連サイト