2013年8月12日(月)
どうも、猫好きなのに猫に逃げられることが多い、悲しい片思い体質の編集者のそみんです。かわいい猫を見たくって、池袋にある“ねこぶくろ”を取材してきました。記事中には3本の愛くるしい動画をご用意したので、ぜひご視聴ください。
このコーナー“俺得取材旅”は、電撃オンラインの“ほぼ毎日特集”の一環で、編集者のそみんが個人的にピンと来たものを取材してくるというもの。ある意味で職権濫用的に、自分が好きなものを気ままにインタビューしてくる“俺得”な記事となっております。
お菓子の『じゃがりこ』、知ってそうで知らない自動ドアと来て、今回は全人類の大半が大好きな猫に関する取材です。あざとい気もしますが、僕自身が好きなんだから仕方ないっしょ! てなわけで、インタビューのお相手は、“ねこぶくろ”が併設されたペットショップのペットファースト池袋店の店長である佐藤翼さん。猫に関する裏話や最新事情をお聞きしてきました。
余談ですが、3本の動画はすべて僕のお手製です。かわいい動物さんの動画を作るのは楽しいもんですね♪
・外国人がスマホを持って聞きに来る“ねこモテ●●●●シート”とは?
・猫カフェブームは2007年。では、“ねこぶくろ”ができたのは何年?
・室内で飼う家猫が増えたことで売り上げが伸びたおもちゃって何?
・猫がお風呂嫌いなのは、水ではなく●●されるのがイヤだから!
※この動画は、施設側の許可を得て特別に撮影したものです。施設内での動画撮影は禁止されていますので、ご注意ください。
▲“ねこぶくろ”が併設されたペットショップのペットファースト池袋店の店長である、ピーツー・アンド・アソシエイツ株式会社の佐藤翼さん。 |
――そもそも“ねこぶくろ”という施設ができた経緯について教えてください。
一番の目的としては、猫を飼えない方に対するサービスです。最近は猫を飼える環境が増えていますが、マンションや集合住宅に住んでいて、猫が好きで飼いたいけど飼えない方がたくさんいらっしゃいます。実家で猫を飼っていたけど、独り暮らしを始めたために猫を飼えないという方も多いです。そういった方々にも猫と触れ合えるような場所を作りたかったんです。
また、猫を飼っている方でも、珍しい猫を見るために、うちにお越しいただくケースがあります。非日常的な癒しを感じてもらえるんだと思います。
――たしかに、ヒマラヤンやアビシニアンなど、海外の珍しい猫は、なかなか飼えませんからね。
▲40匹以上もいるアイドルキャットたち。一般的な日本猫やアメリカンショートヘアだけでなく、珍しい猫と触れ合えることも! |
飼いたいけど飼えない方の欲求を満たすためや、飼ってみたらどうなるのかのシミュレーションのためにいらっしゃるお客さんも多いです。
――今では、いわゆる“猫カフェ”が一般的になりましたが、“ねこぶくろ”はその走りだった気がします。
2000年にオープンしたので、もう13年になります。
――世間的な猫カフェブームが2007年秋ぐらいだったと思うので、それよりもかなり前になりますね。
“ねこぶくろ”のオープンからずいぶんたって、猫カフェができ始めた気がします。ただ、うちはお客さんが飲食をできない施設なので、カフェではありませんけどね。猫の生態を楽しんでもらう施設になります。
――“ねこぶくろ”はペットショップであるペットファースト 東急ハンズ池袋店の中に併設されている形ですが、ペットショップと“ねこぶくろ”のどちらが先にできて、どちらがメインになるのでしょうか。
ほぼ同時で、どちらかがサブというわけでもありません。
▲日本では見られない珍しい猫も展示されている。ちょっとブサイクなところも、そこがかわいい! |
――場所として、池袋を選んだことに狙いはあったのでしょうか。
いろいろな理由があったと聞いていますが、都内を選んだ部分は狙いがあったようです。やはり、郊外には動物と触れ合える施設がありますが、都心部ではそういった場所が少ないと思いますので。
それから、池袋という街の多種多様性もあったと思います。都内には、若者が多い街や女性が多い街など、特定の層に特化した場所は多いと思いますが、池袋は老若男女の幅広い層がいらっしゃるイメージがありますから。
――個人的には、施設のある場所が東急ハンズの中だというにもポイントだと思います。東急ハンズで買い物をしたついでに、ついつい寄ってしまうことがありました。
隙間の時間を使ってお越しになる方は多いです。1時間弱くらい、40分くらいの時間が空いたから、ちょっと猫と遊んでいこうという方が多いですね。
▲“ねこぶくろ”があるのは池袋の東急ハンズの8階で、ペットショップと併設されている。 |
――なるほど。自分も映画を見るまでのちょっとした時間とか、隙間の時間にぶらりと“ねこぶくろ”に寄って、猫と遊んだ経験があります。ちなみに来場される方は、どのような世代や性別が多いのでしょうか。
季節によって分かれる部分もありますが、普段は家族やカップルが多いです。夏休みなどのシーズンは家族層がグンと増えますね。
――自分も何度か、鉄板のデートコースの1つとして使わせていただきました(笑)。特に猫カフェが話題になる前は、動物園より気軽な隠れデートスポットとして、連れてきた相手の評判も高かったです。猫だけでなく、ペットショップの部分でウサギやハムスターも見られますしね。
最初は男性の友だち同士で遊びに来て、その翌週ぐらいに異性の方と一緒に遊びに来るケースも、たまにお見受けします(笑)。
――やはり、女性は猫好きが多いですから。お客さんの性別比も、女性のほうが多いのでは?
不思議なことに、年齢も性別も、突出して何かが高いというわけではなく、ならすと平均になる感じなんですよね。お孫さんと一緒にご年配の方が来ることも多いですし、平日の夜などは、男女を問わずに仕事帰りのお客さんがお1人でふらりと寄って遊んでいく場合も多いです。
▲ペットショップでは、ウサギやハムスターといった小動物が販売されている。中には、ウーパールーパーのような珍しい生き物も! |
――人が少なくてゆっくり遊べる時間帯などはありますか?
基本的に午前中と夕方以降は、比較的空いています。お昼前は猫が活発に動く時間帯でもあるので、遊びに来る際はオススメですね。
――“ねこぶくろ”のスタッフの主なお仕事内容(1日の流れ)について教えてください。
うちの営業時間は朝10時なんですけど、9時前に出勤をして、猫にご飯をあげて、“ねこぶくろ”に放していきます。この時に猫の健康状態もチェックして、体調が悪いようなら施設に出さずに休ませたり、病院に連れていったりします。
――健康チェックはどんな形で行うんですか?
いくつものチェックリストを作って、少しでも早く体調の異常に気が付くようにしています。その中でも一番重要なのが、猫の便、つまりウンチを見ることですね。
――ウンチですか!
あとは吐き戻しがないかどうかですね。
――なるほど。それにしても、やっぱり猫の健康管理は大事なんですね。
特にうちはペットショップも併設しているので、生き物の健康管理にはすごく力を入れていますし、敏感な部分でもあります。なので、生き物のお世話を第一に考えています。
▲元気な猫たちを見られるのも、その陰にスタッフの努力があってこそ。 |
――猫は人間の言葉がしゃべれないので、ちゃんとチェックしてあげることが必要なんですね。
便がやわらかくなった時でも、継続的にチェックリストをつけていると、それが季節の変化による一過性のものなのか、病気の前兆となるものなのか、判別がついたりします。だからこそ、毎日の管理が大切なんです。
ちなみに、諸悪の根源はケージの不潔さから始まるといっても過言ではありません。部屋の掃除にはとにかく気をつかっていますし、ケージの丸洗いといった大掃除も頻繁にやっていますけど、それでもちょっとずつ汚れはたまっていきます。これはご家庭でもそうですけど、ケージやトイレなどの掃除を怠ってしまうと、臭いもそうですけど、バイ菌が繁殖してしまって大変なことになります。夏場は特に注意してほしいですね。
――猫を飼う身として、衛生状況には気をつけないといけませんね……。話を戻して、施設のオープン後の流れはいかがですか?
施設がオープンしたら、施設内の見回りスタッフと交代しながら猫の部屋の掃除をしたり、お客さんへの猫の説明をしたり、猫同士のケンカを止めたりと、施設の中や猫の部屋を管理する流れですね。
こうして、夕方ごろには順番に晩ご飯をあげて、部屋に戻す時にまた健康チェックを行い、空調などを管理して帰宅するというのが、我々の1日の流れです。
――猫とのふれあいの中で、印象に残っている出来事について教えてください。
“ひじき”という猫がいるんですけど、この子はペットショップの中が好きみたいで、ちょっとした隙を突いて“ねこぶくろ”から脱走するんですよ。他の階には行かないんですけど、雑貨コーナーのテーブルの下にもぐるのが好きみたいなんです(苦笑)。たまに、事情を知らないお客さんがひじきを見て、ビックリされていることもありますね。
▲元気でわんぱくな“ひじきちゃん”。そのはしゃぎっぷりは、この記事用に作った動画でもお楽しみいただけます。 |
――それは大変ですね(笑)。
満足すると、自分でテーブルから出てきて、“ねこぶくろ”に帰っていくんですけどね(笑)。ちなみにひじきは、とても人なつっこくて、遊ぶのも大好きなので、人気コンテストで1位に選ばれたこともある人気の猫ちゃんです。
――猫関連だと、ご飯をあげる時とかは大変そうな気がしますが、いかがですか? なんだか、奪い合いが起きそうな……。
基本的には個室で1匹ずつにご飯をあげているので、それを奪い合うケンカはないですね。ただ、相部屋の時に、食べるのが遅い子のご飯を横から食べちゃうようなタイプの猫もいます。
――お風呂なんかも、いやがる猫が多いのではありませんか? と言いますか、うちの猫はお風呂をいやがるんですが……。
たしかにシャワーやシャンプーが嫌いな猫もいるんですけど、実は水に濡れることより、身体を洗うためにがっちりと拘束されていることを嫌がる場合が多いんですよ。飼育されている猫は、自分で水浴びをする習慣がありませんので、飼い主が洗ってあげる必要があります。
一番話が早いのは、子猫のころからお風呂での拘束に慣れさせることですが、すでに成猫になっている場合は大変かもしれませんね。うちの場合は、適温のお湯をはったシンクを使って、トリマーが手早く洗ってあげています。
――シンクということは、湯船に入れてあげるのがオススメなんですか?
いえ、そういうわけではありません。皮膚の病気などで薬湯につけるようなケースを除けば、シャワーで手早く洗ってあげるのがオススメです。時間をかけるよりは、とにかく早めに洗ってあげて、早く自由にしてあげるほうがストレスが少ないと思います。
総じて、猫たちに困らされることはあまりないんですけど、たまに閉店時間を過ぎても遊び足りないのか、人の手が届かないような高い場所から降りてこなくて困ることがあります(笑)。
――施設には毎日たくさんのお客さんが来ていると思いますが、猫にとってストレスになったりはしないんですか?
人間に慣れている猫を遊ばせているので、そこは大丈夫です。それから、逆に猫のほうが“ねこぶくろ”という場所や環境を熟知しているので、トイレや水飲みなども、人の動きを見て、うまくやっている感じですね。
▲なかなかおしゃれな水飲み器。トイレはビル風に飾られており、こちらもこじゃれたデザインとなっている。 |
――たくさんの猫がいますが、猫同士でケンカすることはあるんですか?
やっぱり猫同士の相性はありますね。“ねこぶくろ”の猫は子猫のころから一緒に育てているので、普通の猫と比べると猫同士が仲よくしてはいます。でも、本来的に猫は群れではなく単独で生きる動物なので、衝突することはあります。
――“ねこぶくろ”に遊びに行った時、注目してほしいポイントについて教えてください。
最近導入した、透明のアクリル製のキャットウォークにぜひ注目してほしいです。今までのキャットウォークだと、そこを歩く猫自身は楽しかったと思うんですけど、お客さんからは猫が見えないので、楽しみにくい部分もあったかと思います。でも、透明になったことで猫の姿がしっかりと見えるようになり、写真を撮られる方がすごく増えました。
――ああいう透明のものは水族館などでも増えてきましたが、動物を下から見られるのは本当に楽しいです。意外と猫の肉球をしっかり見られることは少ないですし(笑)。
猫もけっこう気に入っているようで、昔から使っているキャットウォークよりも、透明のキャットウォークに集まっていることが多いです。
▲最近導入して大人気だという、透明なキャットウォーク。かわいい肉球が丸見え♪ |
――キャットウォークもそうですが、“ねこぶくろ”は猫がいろいろと動いたり隠れたりできるように、立体的なオブジェクトが多いことも特徴だと思います。そういった部分については、どのようなコンセプトで作られているのでしょうか。
猫たちが暮らす不思議な世界と言いますか、現実世界とはちょっと違う非日常な空間をコンセプトにしています。今は夏祭りのイベント中なので、お囃子のBGMにしていますが、普段はそういったナレーションを流しています。なので、デザインコンセプト的には、ちょっと非現実な部分を意識していますね。
――施設に入るとすぐ目に入る電車のオブジェクトは、僕が初めて遊びに来たころからずっとあるような気がしますが、いかがでしょうか?
あの電車はオープン当初からずっとあるもので、施設内を改装した時もずっと変えずに使ってきました。
▲入口付近にある電車や駅名は、“ねこぶくろ”に行ったことがある人は見覚えがあるはず。 |
――7月は七夕にちなんだ“たなばたにゃいと”というイベントを実施していましたが、こういう季節限定のイベントはよく行っているのでしょうか。
大きめの年間行事の際には、それにあわせて店内をデコレートしたり、イベントを行ったりしています。今は夏のイベント“にゃつ祭り”を開催中(8月31日まで)で、“宝つり”や“わなげ”といったミニゲームを楽しんでいただけます。
――“にゃつ祭り”の反響はいかがですか?
思っていた以上に大好評ですね。と言うのも、これまでの季節限定イベントの反省を踏まえて、店内の飾りつけに力を入れて、BGMに祭囃子を流すなど、雰囲気作りをすごく意識したんです。
テーマパークなどに遊びに行くとすごく感じるんですが、イベントの雰囲気を楽しみにして遊びに来るお客さんって多いんですよね。しっかりとした夏祭り感を出すことで、ミニゲームなどの催しへの参加率も目に見えて上がっています。
▲夏祭りの縁日をイメージして飾られた施設内。和風なお囃子のBGMが、さらに雰囲気を出してます! |
――たしかに思い出作りは大事なので、ついついミニゲームを遊んでしまう気持ちはわかります。
思い出と言う意味では、施設内の猫をモチーフにした缶バッジが想像以上に売れています。特に小さいお子さんなどは、猫と仲よくなった思い出として、その猫がデザインされたバッジをお土産にしていくことが多いんですよ。
我々としても想定外だったんですが、施設で遊んだ楽しい思い出をなんらかの形としても残したいと思うお客さんが多いようです。今後はそういったお客さんに向けた、クオリティが高いお土産を作りたいと考えています。
あとは、フォトコンテストのようなお客さんの参加型イベントも定期的に行っていますが、これも人気が高いですね。
▲施設内の猫をモチーフにした缶バッジや、“ねこぶくろ”限定のミニグッズが入ったカプセルトイは、お土産として大人気! |
――夏祭りの後も、季節限定イベントはたくさんやっていきますか?
ハロウィンやクリスマス、お正月などは、イベントをやりたいですね。今回みたいに季節感をどんどん出していって、お客さんに「また来たいな」と思っていただけるように頑張ります。
――季節限定イベントの他に、普段から行っているイベントはありますか?
1日2回の“おやつタイム(※)”を開催しています。普段はちょっと人見知りをするタイプの猫も、おやつには寄ってくることが多いので、お目当ての猫と仲よくなれるチャンスです。
※おやつタイム:平日は13時と16時、土日祝日は13時、17時30分で、各回15分ほど実施。
▲ダーツやお土産入りの自動販売機は、年中を通して楽しむことができる。 |
――やっぱり、食べ物には釣られるんですね(笑)。
体調にもよるので、あまり食欲がないこともありますけど、基本的にはおやつは大好きですね(笑)。おやつタイムは定番のイベントで、施設がオープンした初期の頃からずっと続いている人気のイベントです。
――人気が高い猫はどの子になりますか?
どの猫もそれぞれ魅力がありますが、初めて施設に来られた方へのオススメは、先ほども話に出たアメリカンショートヘアの“ひじき”ですね。本当に人なつっこいですし、おもちゃへの反応もすごいので、ほとんどの人が比較的簡単になついてもらえると思います。
それから、すごく人間が大好きなラヴィちゃんという白い日本猫もいます。最初はちょっと人見知りをしますけど、仲よくなると足にべったりとくっついてきてくれます。
▲人気投票でも上位の常連だという、ひじきとラヴィ。やっぱり、人なつっこい猫のほうが人気が高いらしい。 |
――“ねこぶくろ”はリピーターも多いと思いますが、2回目以降に遊びに行った時に楽しむコツを教えてください。
猫が遊びやすいように、いろいろな場所に仕掛けを用意しています。初めて遊びに来た際は、見つけやすい場所にいる猫を見て楽しんでいただくのがよいと思いますが、2回目以降に遊びに来られた際は、そういった仕掛けの部分も楽しんでみてください。
イスの下や天井付近など、意外な場所に猫が隠れている場合も多いので、隠れている猫を発見することも楽しんでいただければと思います。
――猫は気まぐれなので、1~2分ほど目を離すだけでも、「さっきまでソファーで寝てたのに、今は天井付近の棚の上を走り回ってる!」なんてことがありますからね(笑)。
あと、猫の名前を呼んであげるのは、意外と効果があります。“ねこぶくろ”にいる猫のほとんどは自分の名前がわかっているので、ちゃんと反応してくれることが多いです。
▲“ねこぶくろ”の入場料金は大人1人で600円。男女のペアチケットや1日フリーパスの他、公式サイトには割引券が用意されている。 |
――うちで飼っている猫は、名前を呼んでも微妙に反応が鈍いです……。
猫の本能的には、そうだと思います。ただ、“ねこぶくろ”の猫は、名前を呼んでくれた人に反応することにメリットを感じているんでしょうね。環境の問題も大きいと思います。
――すごく切実な質問なんですけど、猫に好かれるコツはあるのでしょうか。自分は猫好きなんですけど、どうも猫に避けられることが多いので……。
一番重要なのは、猫たちのペースにあわせてあげることです。犬のように群れで生活し、誰かに従って生きるわけではなく、猫は自分でどうにかするという意識が強い動物です。
長い歴史の中で猫の生態も変わってきて、昔ほどは単独生活に固執しているわけではありませんが、自分だけで生きていくという本能的な部分はまだまだ色濃く残っています。
猫が好きな人ほど、ついついやりがちなんですけど、猫のペースを無視して近づいたり、強制的にだっこしたりすることは、本当に嫌がられます。また、猫は気まぐれな動物なので、抱っこをして自由を奪うと暴れてひっかくこともあります。だから、うちでは猫のだっこは禁止させていただいていますし、いやがる猫を追いかけるのはおやめくださいと、最初にご説明をしています。
▲追えば逃げるのが猫というもの……。猫のペースにあわせるのが大事だとか。 |
――なるほど。猫好きな人ほど、つい猫を追っかけたくなっちゃいます。
むしろ逆と言いますか、猫を追いかけず、ちゃんと待つほうが、結果的に早く猫と仲よくなれると思います。特に“ねこぶくろ”の猫は人慣れしているので、嫌われるような行動を取らなければ、そのうち近寄ってきてくれるはずです。
まずは猫に匂いをかがせて、つかず離れずの距離を保っていれば、猫も少しずつ慣れてきて、頭をなでてもいやがらなくなると思います。
――たしかに、見ず知らずの相手にいきなり抱きしめられるのは人間だってイヤですからね。
“ねこぶくろ”に限って言えば、イスなどに座っているだけで、人なつっこい猫が何匹か寄ってくると思います。そういう場面を見ることで、他の猫も「この人は怖くないんだ」と警戒心を解いていくので、まずはおとなしくして猫のペースにあわせることを意識するといいと思います。
――逆に、こんなことをすると嫌われるという行動はありますか?
大声を出したり、急に動いたりと、猫のペースを乱すような行動は嫌がられますね。普通にしていればいいので、がちがちに緊張する必要はありませんが、大きな音を立てるなど、猫を驚かすような行動は控えましょう。
――基本的には、人間と接するようにある程度のマナーを意識すればいいということですか?
乱暴にせず、優しく接してあげるという意味ではそうですね。ただ、人間と違って、猫の目を見つめるのはあまりいいことではありません。逆に警戒心を与えてしまうので、ちょっと目線を外したところを見てあげてください。
――人間相手だと、なんとなく目を見て話せばわかってもらえるような気がしますが、逆なんですね。
俗に言う“メンチを切る”みたいなもので、猫にとって目を合わせることはケンカの合図のような部分があるんです。ある程度仲よくなった後だと話は別ですが、少なくとも初めて出会った動物に目線を合わせ続けることはやめたほうがいいです。警戒心や圧力を与えてしまいますから。
上から見下ろすことも圧力を与えてしまうので、しゃがんで目線を低くしたうえで、指などの匂いをかがせて警戒心を解いていくというのが、猫と仲よくなるコツになります。
▲かわいいからといって、猫の目をじっと見つめるのはNG。ついつい、じっと見続けていた人は多いのでは? |
――ありがとうございます! これで、すぐに猫と仲よくなれるんですね。
とはいえ、猫は生きているので、必ずしもすぐ仲よくなれるとは限りません。少し時間はかかるかもしれませんが、敵意がないことを見せて接していれば、ちゃんとなついてくれるはずですので、そこを含めて猫のペースにあわせてあげることが大事なんです。
――ちなみに、猫の首根っこをつかんで持つ、いわゆる“猫づかみ”ですが、昔と比べて今はほとんど見ない気がするんですが、あまりよくないんでしょうか?
あれは親猫が子猫をくわえる時と同じ持ち方で、体重が軽い子猫についてはまだいいんですけど、成猫についてはやめるべきです。体重が重いこともあり、骨や内臓にダメージを与えてしまうこともありますので。普通にだっこしてあげたほうがいいです。
――これも余談なんですが、人間の赤ちゃんがいる家庭で猫を飼うのって、どうなんでしょうか? 実は今、まさに自分の家がそうなんですけど……。
猫は動物なので、トイレなどの衛生面の問題や、毛などのアレルギーといった問題はありますが、一緒に暮らすのが絶対に悪いというわけではないと思います。
ただ、場合によっては猫が赤ちゃんをライバルだと思ってしまうことがあるので、気を付けてください。また、赤ちゃんが猫にちょっかいを出して、猫が怒ってしまうこともあります。赤ちゃんが小さいころは、特にご家族の方が目を離さないようにしてください。
※この動画は、施設側の許可を得て特別に撮影したものです。施設内での動画撮影は禁止されていますので、ご注意ください。
――猫の生態について、ここ近年で何か変化が起きている部分はあるのでしょうか。
基本的に、犬は群れ行動、猫は単独行動という本能的な部分があるのですが、飼い猫の歴史が長くなってきたこともあり、猫もある程度の仲間意識を持つようになってきた傾向があります。共生に慣れてきている感じがしますね。
――縄張り意識も、少し弱くなっているんでしょうか?
個人的な感覚としては、従来は子猫のころだけにしていたような行動を、成猫になってもしているような印象を受けます。例えば、猫同士が重なって寝るような状況は、本来は子猫の時だけのものなんですが、最近は大人になった猫も他の猫と仲よくしていたりします。
特に、うちのように小さいころから集団生活をさせていると、その傾向は強いです。もちろん、個体差はありますけど、育つ環境による影響は大きいですね。
――体格や寿命的な部分も変わってきていますか?
医療が進歩しているので、寿命については確実に伸びていますね。それに加えて、飼っている方の知識もものすごくついてきていて、何かあった時に適切な処置をできるようになったのも大きいです。玉ねぎやチョコレートなど、猫に食べさせてはいけない食べ物なども、ほぼ常識レベルの話になっていますし。
▲昔と比べて、少しずつ猫の生態も変わってきているらしい。 |
――人間用の牛乳も、そのまま猫にあげるのはよくないみたいですね。
人間用の牛乳には、犬や猫が分解できない成分が入っているので、下痢になりやすいんです。犬猫用の牛乳はペットショップで売っていて、未開封の場合は約半年と、普通の牛乳よりもかなり長持ちするので、そういったものを取り寄せるのがよいと思います。
ちなみに子猫に牛乳をあげる場合は、温度も大事です。冷たいままであげるとお腹を壊してしまうので、30度くらいのぬるい感じにしてあげるのがオススメです。
食べ物に関して言うと、今はフードの質がすごくよくなっていて、逆に選ぶのが大変なくらいです(笑)。
――猫の年齢に応じて、あげるフードの種類を変えるという流れも、一般的になった気がします。
そうですね。目的に応じて猫のフードを選べるようになってきています。でも最近は逆に、全年齢対応のフードも増えてきています。完成しているフードなので、1回にあげる分量だけを調整すればどんな年齢でも大丈夫という、クオリティの高さの現れですね。
たまに勘違いをされている方がいるのですが、缶詰食の場合は、それが“総合栄養食”なのか確認をしてください。総合栄養食は普通に食事用なのですが、そうでない場合は、おかずのようなものとなるので、それだけでは栄養不足になってしまいますので、ご注意ください。
――自分が子どものころは、猫は放し飼いにして自由に外を散歩してくることも多かったんですが、最近は完全に家の中で飼うケースが増えている気がします。実際にはどうなんでしょうか?
確実に増えていると思います。理由の1つとして、純血種の猫を飼う人が増えたので、家の中で大事に育てるケースが増えたんだと思います。これまでは野良猫がいついて、いつの間にか飼うというのが多かったと思うんですけど、最近は減ってきていると思います。
それからもちろん、事故や病気に関する危険を避けるためでしょうね。車の事故もそうですし、予防接種を受けていない野良猫から病気が感染する危険もあるわけですから、外で遊ばせる際のリスクは高いです。
――となると、基本的には家から出さずに飼うのがよいのでしょうか。
そうですね。安全面を考えると、家から出す必要はそんなにないと思います。猫は広い場所を自由に遊ぶのが好きというより、狭くても自分の縄張りをしっかりと持っているほうが安心するので。
ただ、外に出すメリットは、猫が自由に運動をできることです。家の中だけで飼う場合は、キャットタワーのように上下の運動ができるおもちゃを用意するなど、猫が運動不足にならないようなケアが大事になります。
▲猫の1人遊び(1匹遊び?)に最適なキャットタワー。疲れた時は、ぐっすりおやすみするベッドとしても役立つ。 |
――たしかにここ数年で、キャットタワーは一気に浸透したような気がします。
実際のところ、ここ10年ぐらいでキャットタワーの売り上げはものすごく上がっていますね。完全に室内で飼う家猫が増えた影響は大きいと思います。
――我が家も最近、キャットタワーを導入しました(笑)。ちなみに、猫用のオススメのおもちゃやグッズはどんなものになりますか?
おもちゃと言えば、定番の猫じゃらし系は今も昔も人気がありますが、最近は音が出るものがトレンドですね。猫じゃらしの先にセロファンなどが付いていて、振るとブンブン音やガシャガシャ音が出るようなものは、猫の食いつきもいいです。
▲猫の定番おもちゃの猫じゃらし。最近のトレンドは、音が出るものとのこと。 |
――なるほど。たしかにビニール袋のガサガサ音とかも好きですもんね。
夏ということで、弊社が発売している“どこでもクールパッド”も売れ行きがいいですね。これは小動物が涼むためのシートなんですけど、従来はジェル系やビニール素材の物が多くて、猫によっては好き嫌いが出てしまうことがあったんですけど、“どこでもクールパッド”は人間用のマクラなどにも使われている冷感生地アイスマックスを使ったことで、より多くの猫が自然に乗ってくれるようになっています。
▲犬や猫など、小動物に向けた夏用グッズ“どこでもクールパッド”。S・M・Lと3サイズありますが、猫が広々とねそべることができるMサイズが人気とのこと。 |
――いつの間にか、猫グッズもいろいろと進化しているんですね。
爪とぎなんかも、ひと昔前までは木製とか麻縄製のものが主流でしたが、今は完全にダンボールなどの紙製のものに移り変わりました。
――紙製のメリットはどんなところになるのでしょうか?
木製の時はけっこう重量があったので持ち帰りが大変でしたが、紙製のものは軽いので、一度にたくさん持って帰れてうれしいという女性のお客さんもいました。また、ゴミ捨ての際も、木の場合は分別が面倒な場合がありますが、紙だと楽ですしね。
それから、意外と大きな要因として、紙の場合はプリントができるので、多彩なデザインを楽しめるというのも支持されている理由だと思います。昔と比べて、部屋のインテリアにあわせてじっくりと爪とぎを選ぶお客さんが増えたと思います。
▲ダンボール製の爪とぎで遊ぶのに夢中の猫ちゃん。 |
――ちなみに、最近の注目グッズはなんですか?
最近だと、ターキーさんが発売している“ねこモテまたたびシート”の人気が高いです。これは、またたびを生地の内側にコーティングしているシートで、猫がゴロゴロして遊ぶ癒し系グッズなんですが、なぜか海外のお客さんを中心に大人気でして、日に何件もスマホで撮った写真などを見せて「このグッズはありませんか?」と問い合わせを受けています。
――外国人の方に人気なんですか?
もともと日本国内でも人気のグッズだったんですが、うちでは特にタイなどのアジア圏のお客さんの間で人気が高まっています。お土産用なのか、10枚くらいをまとめ買いしていく方も多いですね。全国的なブームなのかはわかりませんが、海外の方がたくさんいらっしゃる池袋という立地条件もあると思います。
▲なぜか最近、タイなどアジア圏の外国人の方を中心に大人気の“ねこモテまたたびシート”。たしかに、またたびの匂いをかいでゴロゴロする猫の姿はかわいすぎる! |
――いろいろなお話をありがとうございました! 最後に、“ねこぶくろ”に興味を持った読者にメッセージをお願いします。
猫たちはいつも気ままに生活しているので、ゆっくりのんびりしたい時は、ぜひ“ねこぶくろ”にお越しください。絶対に癒されるというほど大げさなものではありませんが、小さな癒しを感じてもらえると思います。
ちょっと気ぜわしい現実世界とは別のゆっくりとした時間が流れている場所だと思いますので、仕事帰りにふらっと寄っていただいたり、土日を使ってちょっと普段と違う1日を過ごしていただいたりしていただけるとうれしいですね。
気になった猫ちゃんに出会えましたら、うちのスタッフに聞いていただければ、どんな猫なのかご説明いたしますので、お気軽にお声掛けください。
▲かわいい猫と出会える、不思議な空間“ねこぶくろ”。池袋へ買い物やレジャーに出かけた際に、ちょっとのぞいてみてはいかが? |
※この動画は、施設側の許可を得て特別に撮影したものです。施設内での動画撮影は禁止されていますので、ご注意ください。
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