2013年8月17日(土)
電撃文庫で活躍する作家陣のメールインタビューをお届けする“Spot the 電撃文庫”。第88回となる今回は、『バベルスターズ』でデビューした奈坂秋吾先生のインタビューを掲載する。
▲コバシコ先生が描く『バベルスターズ』の表紙イラスト。 |
本作は、人間が“ヒュマ”、動物が“アニマ”と呼ばれ、ともに知恵を持つ世界を舞台に描かれる“学園アニマルファンタジー”。両種族の間に生まれた獣人“ミクス”は差別と羨望(せんぼう)の対象となっていたが、そんなミクスとヒュマが通う世界最後の共学校“塔城共学”に廃校の危機が迫る。
学園のピンチに、謎を秘めたヒュマの新入生・獅子山竜巳と、ハムスターのミクス・星野小葉夢の2人が立ち上がるのだが……。!
奈坂先生には、本作のセールスポイントや小説を書く時にこだわっているところなどを語っていただいた。また、電撃文庫 新作紹介ページでは、本作の内容を少しだけ立ち読みできるようになっている。まだ読んでいない人はこちらもあわせてご覧あれ。
――この作品を書いたキッカケを教えてください。
初めて小説の新人賞に応募して、その惨憺(さんたん)たる結果にショックを受けたのがきっかけだったと思います。複数の作品を応募してすべてがよくない結果だったので、それまで書いてきたものとはまったく別のタイプのものを書こうと思い、この作品が生まれました。
――作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?
猫耳もいればハムスター娘もいる、そんな世界です。しかし獣人たち――作中ではミクスと呼ばれる彼ら彼女らは社会の中で異端扱いされ、苦労しながら生きています。そういった世界で人間と獣人の共学校を舞台に、ぎこちないクラスメイトたちを取り持つために主人公がヒロインとともに奮闘する、というような物語になっています。ドタバタなストーリーですが、ヒロインの主人公に対する思いや葛藤などにも注目していただければ、と思っています。
――作品を書くうえで悩んだところは?
書き始めた当初は徹底したギャグで書くつもりだったのですが書けなくて、路線を変更してシリアスな部分も多めに突っ込みました。そのせいでギャグなのかシリアスなのか自分ですらわからなくなり、とっ散らかっていたそれぞれの要素をどうまとめるのか悩みました。結局まとまったのは担当編集さんとともに改稿を進めた後なので、自分の頭の中で整理がついたのはごく最近のことです。
――執筆にかかった期間はどれくらいですか?
書き始めていろいろ思うところがあってすぐにボツにして、やっぱりもったいないと引っ張り出してはまたボツにして、そしてまた書き始めて「やっぱ全編通してギャグは無理」と書き直し……お蔵入り期間を除けば半年ぐらいかけて応募原稿を書き上げました。
――主人公やヒロインについて、生まれた経緯や思うところをお聞かせください。
ヒロインについては、獣耳つけたいけど猫耳キャラは世の中一杯いるしなぁと考えた結果、猫の対極というか天敵であるネズミはどうだろうかと思いつき、でもネズミって良いイメージないからハムスターにしよう、という流れでハムスターの獣人(ミクス)になりました。
――小説を書く時に、特にこだわっているところはどこですか?
作品の雰囲気や、キャラクターの性格とか取り巻く環境によって一人称と三人称のどちらで書くか決めています。
――アイデアを出したり、集中力を高めたりするためにやっていることは?
眠気覚ましが目的ですが、コーヒーを飲むと頭がすっきりして集中力が高まっている気がします。あとは音楽を聴くことなど。
――高校生くらいのころに影響を受けた人物・作品は?
友人ですね。高校2年生の終わりぐらいに某アニメを勧められて見たところ、すっかりアニメというものにハマってしまい、それからライトノベルというものを知りました。間違いなく今の自分があるのは、彼らのおかげ(ある意味“せい”)です。
――現在注目している作家・作品は?
伊坂幸太郎さんの作品が好きで、よく読んでいます。それと大沢在昌さんの『新宿鮫』シリーズをちょくちょく集めています。
――ゲームで熱中しているものがあれば教えてください。
格ゲーが好きで、『ブレイブルー』をたまにゲームセンターでプレイしています。ちなみにテイガー使いです。
あと観戦だけですが、『ストリートファイター4』も好きです。ウメハラ選手、ときど選手、マゴ選手などの名だたるプロゲーマーたちの世界大会での試合をネット上で観て、部屋で1人さびしくガッツポーズ上げたりしています。
――小説を書こうと思ったキッカケは?
精神的にまいっている時、ひたすら現実逃避として様々な小説を読んでいました。それである日、あとがきの更にうしろに載せられていた小説賞の広告を見て、なぜかそこで小説は人が書いているのだなとはっとし、「自分にもできるかもしれない」と現実逃避ばかりの毎日から抜け出すきっかけとして小説を書き始めました。
――初の商業作品というところで、その感想は?
うれしさよりも、これから自分はどうなっていくのかとプレッシャーで胃がどうにかなりそうです……!
――今後、どういった作品を発表していきたいですか?
ジャンル問わず、なんでも。頭の中にはバトルものや恋愛ものなど、書きたいものは一杯あります。
――それでは最後に、電撃オンライン読者へメッセージをお願いします。
コメディありシリアスありで、個性的なキャラクターが動き回ります! 挿絵を担当してくださったコバシコさんの可愛くて格好良いキャラたちのイラストを見ながら、各シーンを想像していただいて楽しんで頂ければと思います! よろしくお願いいたします!
(C)奈坂秋吾/アスキー・メディアワークス
イラスト:コバシコ
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