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2013年9月12日(木)

『龍が如く 維新!』プロデューサーの横山昌義氏に独占インタビュー! キャラクターの魅力を最大限に引き出した新たな方向性とは!?

文:チョロ松

■RPGらしさを取り入れた新しいゲームスタイル

――今作はでキャラクターの成長など、RPG的な要素が詰め込まれているとお聞きしています。どのような点が“RPGらしさ”のポイントになりますか?

 皆さんが考えるような“RPG”であると言い切るつもりもないのですが、これまでの『龍が如く』って、ストーリーを追っていくだけで終わっちゃうという側面もあると思うんです。それはそれで、そういう楽しみ方もあると思いますし、今回もそういう楽しみ方ができます。ですが今作では、RPG的なやり込みのおもしろさも感じていただきたいと考えています。

 これまで8年間、『龍が如く』シリーズを作ってきて感じることは、プレイヤーの皆さんの自由に使える時間が少なくなってきているということ。家に帰ってきて、何時間もゲームを遊ぶという余裕が、世の中からなくなってきてしまっている。携帯ゲームがなぜ受け入れられたかと言うと、移動の最中などのちょっとした空き時間に遊べるからですよね。

 何をもって“RPGと言えるのか”の定義はさまざまあると思いますが、単純に“闘う”→“育てる”というサイクルと、その内容の深さを、これまで以上にトコトンこだわって作っています。これまでの『龍が如く』って、ストーリーを追いかけることがメインになってしまって、主人公キャラの成長などはあくまで話を進めるためのサブ的要素の1つとして扱っていたところもあります。

 今回我々がチャレンジしたRPGとは、まず純粋に“闘うこと”を面白く。そして、武器を強くしたり、能力を上げたり、レベルを上げるというルーティンワーク的な行動そのものが、ゲームプレイの目的になり得るようなゲームデザインに取り組んでいます。

 少し話がズレますが、コンソールに関わる人間としてここ数年ずっと考えているのは、どうやったらユーザーの方の“家でゲームをする時間”を取り戻せるかということです。家に帰ってきて、何時間もゲームを遊ぶという習慣と環境自体が、世の中からなくなってきています。我々、家庭用のゲーム開発者は、これに抗わなければならないと思っています。

 時代とニーズに合わせて遊びやすい環境を用意したり、サービスを提供することは、言い方が悪いですが他の人でもできます。当然、それはそれで容易なことではないんですが、一度失った時間や環境を取り戻し、エンタメビジネスとして成立させるというのは、リスクも高く非常に困難な道なのだと思います。ですが、だったら俺らがその棘(いばら)の道を進んでやろうじゃないかと。

 方法は至ってシンプルです。発売前から気になって仕方ない。一度プレイを始めたら続きが気になって気になって仕方ない。クリアした後は楽しい思い出として心に残る……。そういったように“発売前から発売後”まで“長期間ユーザーの心を揺さぶる”ことができるエンタテインメントを作りだし、正しく訴求し、正しく売るだけなんです。

 今作では、主人公と時代が変わったことで、バトルやそれにまつわる世界観を変えることができました。そこで、そのチャンスを最大限に生かし、これまでのどのシリーズ作品以上に、ユーザーの方が“長くつきあえる”仕立てに、システムを変えてみようと。その結果がRPGという言葉につながったというわけです。

『龍が如く 維新!』

 具体的にはまだ話せませんが、今作ではいわゆる“ダンジョン”的なものが存在したり、そこでの遊び方がこれまでにまったくないアクションだったりと、かなり気合をいれて作っています。ダンジョン以外にも新規搭載する大きな遊びがありますが、それらの要素がすべて“己を強くする”ということにつながるよう設計しています。

――プレイヤーを強くするためのやり込み要素が、新たに追加されているというわけですね。

 そうです。武器の種類も非常にたくさんありますし、成長の仕組み自体も大きく変えています。さまざまな能力の中から、自分の好きなものを選んで装着していくというか、プレイヤーごとに違う十人十色の坂本龍馬が作れると思います。戦い方のスタイルも、決まり決まったプレイスタイルにはならないと思いますよ。

――『龍が如く 見参!』でのアクションは非常に好評だったように思います。今作ではどんなアクションに進化するのでしょう? 剣と銃の対決といった場面もあるのでしょうか。

 アクションについては、1作ごとに常に進化させているつもりですが、『龍が如く 見参!』のころの剣戟アクションとは段違いに向上していますよ。もちろん爽快感は損なわれていないし、より上質になっていると思ってもらってかまわないです。さらに、銃という要素も存在します。「銃も素手も、刀もある!」となった時、1人の敵に対するアプローチも切り替えることが可能です。

『龍が如く 維新!』

 アクション要素に関しては、歴代シリーズの中でもっとも深くて、もっとも極めたくなるような要素がたくさんあると思います。そこは育成の要素含め、ぜひとも期待していただきたいですね。アクションゲームとしての完成度は過去作と比べても、もっとも自信があるポイントと言ってもいい。

 育成とアクション、この2つが今までのシリーズと大きく違う点です。これは、坂本龍馬という人物を取り上げた副産物ですね。「この副産物は使わない手はない!」ということで、手に入れたお宝を使い倒そうと(笑)。

――スタッフの皆さんも、この部分には相当な力を入れて開発をしているということですね。

 開発スタッフは毎作のリリース後、「やりきった」という思いと、「やり残したものがあるのでは?」という感情が同時にわくものです。『龍が如く 見参!』の剣戟アクション然り、『龍が如く OF THE END』の銃撃戦然りです。そういったものが、今作で結実しているんじゃないかなと思います。「ヒートアクションが長すぎたよね」とか「プレイを止める時間が長いよね」とか、1秒にも満たない程度の感覚の修正なども、すごく大事な作業ですし、そういうバージョンアップの積み重ねがクオリティを上げるのは間違いないことですからね。

――過去作を遊んだ人なら、すぐに「あ、これよくなってる」とわかる感じですか。

 手触りもそうですが、今作に至っては、映像を観ていただくだけで分かるレベルのものになっているんじゃないかと思いますね。ご期待ください。

→『龍が如く』オールスターが総出演!(5ページ目へ)

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