2013年9月14日(土)
祭に第2弾は間に合いませんでしたが、三省堂書店 札幌店さんのご協力で、会期中は『続・悩むだけ損!』の告知チラシをまいてもらえることになりました。もちろんブースにはすでに発売中の『悩むだけ損!』第1弾も置いていただきました。第1弾発売時のD陣サイン会に引き続き、担当編集は三省堂書店さんに足を向けては寝られない日々でございます。
そして迎えた、9月6日、7日、8日。いよいよ祭が始まりました。3日間のうち、私は幸いにも最終日に滑り込みで参加することができました。初日と2日目には、Twitterで「『続・悩むだけ損!』のチラシを三省堂書店ブース前でいただきましたよー」とお知らせしてくださる方もいらっしゃいました。たくさんの方にチラシを手にしていただけたようで、本当にありがとうございました。改めて御礼申し上げます。
祭の現場は、とにかく笑顔にあふれていました。参加しているどうバカのみなさんの、楽しそうな顔、顔、顔。みんなとにかく、軒並み笑顔なのです。祭は決して、東京の大きなイベントのように整然としたものではありませんでした。雑然としたところもあり、ざっくりとしすぎているなぁと思うようなところもあり、手際が悪いなぁと思うところも正直あったように思います。
でも、みんなとにかく、笑っているのです。
私にはまるで大きな文化祭のように思われました。「あんだけちゃんとお金取っといて、チケット争奪戦までやって、文化祭レベルかい?」という意見だってなきにしもあらずかもしれませんが、どうあれ前もって言われていた通りの、あれは文字通り“祭”だったと思います。地元の有志が集まり、みんなでなんとか作ったから遊びに来てね、という見事なまでのざっくり感。「どうせ話が長くなるから、タイムスケジュールより30分早く始めます!」ってことで、急遽はじまっちゃうトークステージ。あげくの果てにそれでも最後は、終了時間が押すというトークの長引きようもすごかった。
2005年の祭から8年たっても、大泉さんが全国区の活躍ぶりであっても、誰もが等しく年を重ねて変化をしても、そこには確かに「何も変わらない」という理想を持ち続ける『水曜どうでしょう』ならでは強さが、いまだにはっきりと“祭”という姿を得て立ち現れたのでした。それは最初から柔軟に変化することを楽しんできた彼らだからこそ為せる荒技なのかもしれません。
ちなみに祭りの現場では、10月から放送がスタートする最新作の第1夜~第3夜までが、大きなスクリーンで先行放映されました。8年前にも同じようなことをやったわけですが、時代はとっくに8年分、信じられない速度で進化していて、誰もが手軽に動画を撮ったり、それをネットに流すことをやろうと思えばすぐにできてしまうわけです。けれども、彼らは朗らかに、新作を大きなスクリーンで放映しました。あの頃と同じように。
「信じてるぞ」
ステージ上のD陣にそう言われました。それがすべてでした。会場にいる私たちは厳しい監視下に置かれることもなく、ただ当たり前の注意事項を耳に入れ、皆で新作を楽しみました。しかし一方では上映されている新作を見ずに射的に興じる人もあり、子どもたちが楽しそうに輪投げに熱中していたりもするのです。「テレビで、1人で、ちゃんと見たいんだよね」と言って、あえて見ないという人もいたようでした。だけど、誰もそれを責めるようなことはしない。盆踊りの曲は勝手にやってるから、踊りたい人は輪に入って踊ればよし、太鼓の音が苦手というなら遠くで飯を食っていればよし……そういう昔懐かしい祭りのゆるーい心意気のようなものが、会場全体を包んでいました。
他にも、いろんな驚きがありました。公式グッズ売場の大混雑と、売り切れるスピードの速さ。赤ちゃんからおじいちゃんおばあちゃんまで、幅広い年齢層の来場者の顔ぶれ。ニンテンドー3DSのすれ違い通信を持っていったのですが、続々と塗りつぶされる全国地図を見れば、本当に日本全国からどうでしょう藩士(ファンのことを番組では“藩士”と呼ぶことがあります。同義語に“どうバカ”など)が集結しているのだと知ることができました。
そして何より驚いたのは、巨大ビジョンで名シーンが流れれば、寸分違わぬタイミングで長ゼリフを斉唱できてしまうという、会場のおかしなほどの一体感! あれはいったいなんなんでしょう。
1万人以上で
「ギアいじったっけ
ロー入っちゃって
もうウィリーさ」
をそろって言えるんですよ? 誰も言えとも、せーのとも言ってないのに!!
「君たちは、おかしい」
ステージからの大泉さんの言葉にも、誰もが笑ってうなずいていました。
またD陣やタレント陣のおしゃべりはもちろん、ステージに登場する人々がそれぞれに語る何気ないトークの端々から、「水曜どうでしょうがおもしろい理由」も知ることができ、感心するように聞き入る人が多かったことも強く印象に残りました。
そして、祭りのラスト。
最後にミスターどうでしょうこと鈴井さんが、おばちゃんの格好で聖火を吹き消します。いよいよオーラスは、シンガーソングライター樋口了一さんによる番組テーマソング『1/6の夢旅人2002』です。当然のように大合唱。みんなが心を1つにして歌います。見渡せば、右でも左でも泣いている人ばかり。無論、私もイントロから号泣して、歌うことすら難しいような有様でした。
▲泣きすぎてて、もうピントも合わせられなかったのでした……。 |
「彼らの無意味な旅が、僕たちに意味をくれる」
樋口さんの言葉。番組を愛する人なら、誰もが納得せざるを得ない言葉。
あんなに笑わせてくれるのに、何度見ても笑わせてくれるのに、最後にはどうしてだか涙が出そうになってしまう。
好きになる人があとを絶たない不思議な番組『水曜どうでしょう』。また何年後かに祭りがあるのかないのか、それは誰にもわかりません。
「これで最後かもしれないと思って」
藤村さんはそう言いました。それでも、全員が最後は口をそろえてこう言いました。
「僕たちは、一生どうでしょうします!」
盛大に打ち上がる花火とスタジアムを埋め尽くす涙混じりの歌声に包まれて、大きな大きな祭はついに幕を下ろしたのです。
こうして大盛り上がりの“どうでしょう祭”は終了したわけですが、来月からはいよいよ待望の新作もオンエアがスタート。まだまだ“どうでしょう熱”が北海道を、そして日本中を、海を越えて世界を席巻することでしょう。
もちろん、新作があろうとなかろうと、なおもゆるゆると連載『悩むだけ損!』は続いていくわけですが、第2弾の発売を記念して、以下のようなイベントが決定いたしました!!
東京ゲームショウ2013の一般公開日2日目となる9月22日に、『藤やん・うれしーの悩むだけ損!』のスペシャルステージを実施いたします!!
■『藤やん・うれしーの悩むだけ損!』スペシャルステージ
【日時】9月22日(日)11時30分~
【主催】電撃オンライン
【出演】藤村忠寿(水曜どうでしょう ディレクター)、嬉野雅道(水曜どうでしょう ディレクター)
当日はニコニコ生放送でのステージ中継も予定しております。遠方のかたはニコ生でお楽しみいただけますのでご安心くださいね。
そして東京ゲームショウでのステージが終わり、しばらくしますとついについに!! 『続・悩むだけ損!』が発売となります! 書き下ろしのお悩み、大分竹田市での炭焼き風景のプチアルバムなど、書籍だけでしか読めないコンテンツもございますので、ぜひお買い求めくださいませ。
『悩むだけ損!』についての更新情報などは、公式アカウントをぜひフォローしてゲットしてください。おおむね担当編集が、リアルタイムで「う、嬉野先生の原稿が来ないよ!?」ということを呟いたりしております(笑)。打ち合わせの裏話などもちょろっと書いたりしますので、よろしければぜひフォローしてくださいね。そして『悩むだけ損!』のこと、ぜひリツイートで広めてくださいっ。ずっとずっと、D陣の言葉に共鳴するみなさんのお力に支えられています、はい。
いつもいつでも、夏野菜の収穫気分で進めているまったりコラムです。
どうか今後ともよろしくお願いいたします。
それではまた続報と、第2弾の発売とにご期待くださいー!!
え?
9月の連載分は、どうしたんだよって?
えーと……。
す、スケジュール相談してきますね!!
(担当編集)
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