News

2013年9月23日(月)

レースゲームのマルチプレイが変わる!? 『ニード・フォー・スピード ライバルズ』プロデューサーのマーカス氏に聞く【TGS2013】

文:電撃オンライン

 エレクトロニック・アーツのレーシングゲーム『ニード・フォー・スピード』シリーズ最新作、『ニード・フォー・スピード ライバルズ(以下、ライバルズ)』。

 レーサーと警察に分かれて行われる激しいカーバトル『ライバルズ』の魅力を、東京ゲームショウ2013にて本作の開発を担当したGhost Gamesのプロデューサーに語ってもらった。

『ニード・フォー・スピード ライバルズ』
▲開発元のGhost Gamesのエグゼクティブ・プロデューサー、マーカス・二ルソン氏。過去に『NFS』シリーズを手がけたキャリアを持つ。ユニークなTシャツにも注目。

――本作を開発するにあたり、最も注力した部分はどこですか?

 これからの1年、次世代機への移行が始まっていくと思いますが、その中でゲームの楽しみ方自体も変わってほしいと思っています。その考えのもとで、本作には“オールドライブ”というシステムを搭載しました。

――“オールドライブ”は、シングルプレイとマルチプレイをシームレスに移行する機能ですよね。それが新たな楽しみ方になるという理由は?

 これまでのシリーズでシングルプレイとマルチプレイは、ゲーム内の別の世界で行われていましたが、本作では“オールドライブ”によって、シングルプレイとマルチプレイの境界をなくしています。

 例えば、別の地域に住む2人のプレイヤーがゲームを始めたとしましょう。すると、その2人が自動的にマッチングされ、同じ世界に配置されます。両者は別々の場所で自分の目的を果たすためにゲームを進めますが、その中で両者が接近すると、相手のイベントへの参加権が発生したり、オリジナルイベントが発生したりすることがあります。

 これがシームレスで行われるのが“オールドライブ”です。もちろん、相手のイベントに参加せずに自分の目的を進めることも可能で、ほかのプレイヤーのイベントを遠くからながめることもできます。

――“オールドライブ”を実現するにあたって苦労された点は?

 今まではシングルプレイとマルチプレイの世界が別だったので、シングルプレイでの進行度が離れているプレイヤー同士でマルチプレイを行う場合は、シングルプレイの進行度が遅いプレイヤーに合わせてイベントを進める形が基本でした。

 そのため、自分の目的を進めたいのに、他のプレイヤーに合わせて一度クリアしたものをまたやらなければ……。と考える人も多かったようです。しかし“オールドライブ”によって、シングルプレイとマルチプレイを同じ世界で行えるので、自分のイベントを進めつつ相手のイベントも手伝えるようになり、マルチプレイのわずらわしさを解消できたと思っています。

 とはいえ、マルチプレイをやりたくない、自身のプライバシーを守りたいと考える人もいるので、シングルプレイだけでゲームを進めることもできるようにしました。

――『ニード・フォー・スピード』といえば、ソーシャル的な機能の“オートログ”も印象的ですが、こちらもパワーアップしているのですか?

 “オートログ”は2010年に発売された『ニード・フォー・スピード ホット・パースート』から導入されたシステムです。全世界のプレイヤーのレコードがランキングで表示されるなど、一緒にプレイしていなくても競争できる機能です。本作では“オートログ”に保存される項目を増やし、さまざまなレコードを競えるようになっています。

――前作ではレーサー対レーサーという図式がメインでしたが、レーサー対警察という図式に戻した理由をお聞かせください。

 『ニード・フォー・スピード ライバルズ』というタイトルからもわかるとおり、本作のテーマはライバル関係です。プレイヤー間でのライバル関係はもちろん、“オールドライブ”や“オートログ”でも競い合えますが、やはりシリーズとしてはレーサー対警察というライバル関係は外せないと思い、今回のような図式にしました。

『ニード・フォー・スピード ライバルズ』 『ニード・フォー・スピード ライバルズ』
▲レースはさまざまなシチュエーションで発生する。レーサーは警察から逃げるように走り、警察はレーサーを追い詰めていく。それぞれのスタイルごとの楽しみ方を追求しよう。

 また、現在“ニード・フォー・スピード・ネットワーク”というウェブサイトを準備しており、SNSのような形でほかのプレイヤーとの交流を楽しめるようにもしています。ランキングなども表示されるので、順位を競っていただくことも可能です。さらには、グループを作ってグループ間で競争することもできます。このように、すべての面において“ライバル”というものを中心にすえているのが本作の特徴です。

――レーサーと警察の両方でプレイできますが、それぞれの楽しみ方を教えてください。

 カスタマイズの面では、警察はナンバプレートの変更ぐらいですが、レーサーは車の色やデザインなどを変更できます。自分好みの外観を持つ車でプレイしたい人は、レーサーがオススメでしょう。ゲームの目標としては、警察側はレーサーを捕まえるのが目的で、レーサーは街中でのレースやジャンプなどの違法行為でポイントをためていくのが目的となります。

 違法行為を続けることでコンボが発生し、ポイントがどんどん増えていくのですが、警察に捕まってしまうと、そのポイントをすべて没収されてしまいます。警察側はレーサーの所持ポイントを見つつ、どのレーサーを狙うかが重要です。

『ニード・フォー・スピード ライバルズ』 『ニード・フォー・スピード ライバルズ』
▲左のFerrari F12 berlinettaをはじめとした、世界各国の有名な車が多数登場。また、右の警察仕様のKoenigsegg Agera Rなど、現実ではありえない車種にも注目だ。

 逆にレーサーは、違法行為でポイントをためつつ、安全に少ないポイントで満足するか、警察に狙われるリスクを承知で高ポイントを狙うといった駆け引きを楽しんでください。

――PS4など、次世代機での発売も予定されていますが、PS3などの現行機との違いは?

 まずはグラフィックですね。次世代機のほうが、より高密度なグラフィックでゲームを楽しんでいただけます。もう1つはマルチプレイの参加人数です。現行機は最大6人までプレイ可能ですが、次世代機では10~12人ぐらいで遊べるようになる予定です。

 ちなみに、人数的にはそれ以上にもできるのですが、テストプレイで参加人数を多くしたみたところ、あまり数が多いとレース中に混乱することが多かったです(汗)。その結果、6~12人が最も楽しめる人数だと感じましたね。

――次世代機での開発を進めるなかで、もっとすごいことができそうと感じた部分はありますか?

 新しいハードに慣れるのは難しく時間がかかるものですが、我々には次世代機でも使えるように作られた“Frostbite 3”というゲームエンジンが、開発時から存在していたのが大きい部分でした。本来は、まずゲームエンジンを作るところから始めるのですが、我々はそのステップに時間をとられなかったぶん、1つ先を行けました。まだ、次はどのようなことができるといった部分は見えていませんが、“Frostbite 3”を活用し、より進化した『ニード・フォー・スピード』を作っていきたいと考えています。

――最後に、日本のプレイヤーに向けて本作の魅力を伝えてください

 シリーズの基本として、車やレースが好きな人に楽しんでもらえることを一番に考えて作っています。その部分は本作においても変わりません。この基本に加えて、本作では“オールドライブ”により、これまでにないマルチプレイを体験していただけます。

 一度味わうと、通常のマルチプレイの形式には戻れないと思いますよ。シリーズだけではなく、レースゲームというジャンル自体のマルチプレイの基本システムとなる可能性を秘めていますので、ぜひ本作をプレイして、レースゲームの次のステップを感じていただけるとうれしいです。

■東京ゲームショウ2013 開催概要
【開催期間】
 ビジネスデイ……2013年9月19日~20日 各日10:00~17:00
 一般公開日……2013年9月21日~22日 各日10:00~17:00
【会場】幕張メッセ
【入場料】一般(中学生以上)1,200円(税込)/前売1,000円(税込)
※小学生以下は無料

関連サイト