2013年9月23日(月)
10月17日に発売が予定されている最新作『FIFA 14 ワールドクラス サッカー(以下、FIFA14)』(PS4版は2014年2月22日、Xbox One版は未定)。その『FIFA14』の魅力や、次世代機と現行機の違いを本作のプロデューサーに聞いてみた。
▲『FIFA14』エグゼクティブ・プロデューサーの牧田和也氏。今までの『FIFA』シリーズの開発にも携わっている。 |
――はじめに『FIFA14』の一番の見どころをお聞かせください。
大きな見どころとしては2つあります。1つは、よりシュートの感覚をリアルなものとして伝えてくれる“ピュアショット”というシューティングの部分。
もう1つは、本物のボールの動きを追求した“リアルボールフィジックス”です。とくに“ピュアショット”は、無理な体勢からでも強引にシュートを放てるなど、あらゆる体勢からシュートを打つことができます。その感覚がすごく気持ちいいんです! シュートは、サッカーゲームにおいて、爽快感と密接にかかわる要素だと思います。
また、ボールの飛び方も従来のシリーズとは全然違います。ボールに回転をかけて蹴る際、リアルだとボールの速度が落ちた瞬間に、急激にカーブするじゃないですか。『FIFA14』では、そうしたボールの軌道をどれだけリアルなものにできるかに注力しました。アディダスさんからボールの飛び方や変化のデータをいただき、それを再現したので、現実に近い動きを表現できています。
▲腕を使って相手を抑えるシールドの動きで、よりリアルな競り合いが。また、“ピュアショット”により、現実さながらの気持ちいシュートが打てる場面も増えている。 |
――『FIFA14』は、次世代機と現行機の両方で発売されます。どのような違いがありますか?
次世代機と現行機での開発は、ほぼ同時に行われていました。ハードウェアが進化しても基本的には同じ路線上にあるゲームですので、まったく違う内容にするというわけではありません。ただ、次世代機は大容量のメモリを使用でき、CPUのスピードも速いので、単純にパフォーマンスが上がっています。
メモリについては、アニメーションの部分が非常によくなりました。現行機と比較すると10倍ぐらいの差を感じますね。アニメーションが10倍増えているというわけではありませんが、プレイした感触としては、そのぐらい増えたような印象を受けてもらえると思います。
CPUについては、約4倍のスピードで処理を行えるようになりました。そのため、操作していない選手のAIの判断力が上がっています。より状況に応じた動きを披露してくれますよ。
――AIまわりの部分で次世代機と現行機を比較した際、最も違いをわかりやすく感じられる部分はどこでしょう?
空中にボールが飛んできたとき、何人の選手がそのボールに対して意識を向けているかに注目していただけると、よくわかると思います。これまでは、空中のボールに反応できる選手は、2~3人がマックスでした。ただ、次世代機になったことで、まわりの選手も空中のボールに対してリアクションをするようになっています。それは“ほかの選手がジャンプするから自分はこう動こう”であったり“ボールの近くに3人いるから全員で競り合おう”といった計算が瞬時に行われます。
――会場でプレイさせていただいた次世代機では、イブラヒモビッチのようなヘディングを得意とする選手が、ゴールキーパーの前に飛び出してヘディングを打つなど、セットプレーの動きも洗練されたという印象です。
これまでフリーキックなどのセットプレーは、ランダム要素が強くて、あまりユーザーさん自身がコントロールできてるという感覚がなかったと思います。ただ、今回は相手の選手をシールド(手で身体を抑える)できるし、相手もどんどんシールドしてきます。そうなると、ボールを持っていない選手のポジションどりが実際に起きます。どのタイミングでどの選手にボールを送るかが重要になるので、その点でもゲームの深さが出ました。
――次世代機の選手のグラフィックは、とてもリアルで、動き1つとってもなめらかです。選手のCGやアニメーションは、どのように作っていますか?
メジャーなチームの選手に関しては、キャプチャーしてそのデータを使っています。体型はいくつかのパターンを用意して、それにあてはめていく形です。
――スタジアムも非常に作り込まれている印象を受けました。
次世代機は、パフォーマンスが上がっているということもあって、スタジアムの外回りも作り込みました。あとは、観客も3Dになったことで、よりリアルになっています。ほかにもボールボーイも登場します。あと、カメラを130カ所くらいに配置したので、いろいな角度から試合を見せられるようになりました。
テレビ以上の臨場感が出せるということは、次世代機で非常に重要だと我々は考えています。これまでは、ゲーム部分を重視していたため、メモリなどで実現不可能なものはあきらめるしかありませんでしたが、今はそれができるようになりました。素晴らしいバランスになってきたと思います。
――次世代機で開発を行うにあたって、苦労された部分はありますか?
新しいことを行っているので、作り込みなどの細部のチューニングは大変でした。その部分はつちかってきた経験でカバーしています。ただ、それ以外の部分で大変だったかと言われると、そこまででもなかったです。
――次世代機の『FIFA14』の手ごたえを教えてください。
『FIFA』としてゲームの感じが変わったという印象が自分のなかであります。初めて次世代機で『FIFA』を触れた方には“えっ? こんなに変わったの!?”と感じてもらえると思います。実際に“もう現行機には戻れない”と言っていただけることも多々ありました。そこまで違いを感じられるはずです。
――ゲームモードについてお聞かせください。まずゲーム内でカードのようなアイテムを集めながら進めていく“ULTIMATE TEAM”は、どのように進化しましたか?
“ULTIMATE TEAM”は、最初の入りが難しいゲームモードですよね。ものすごくハマるユーザーさんと、まったく遊ばないというユーザーさんに分かれやすかったので、誰でもすんなりと遊べるように形を変えました。具体的には、ケミストリー(連携)で重要だった、選手ごとの適正フォーメーションの概念を取り除いています。
フォーメーションが選手選びを制限するのではなく、選手がフォーメーションに合わせるようになり、最初からどの選手も自分の好きなフォーメーションで使えるというわけです。
それに加え、もっと“ULTIMATE TEAM”をエキサイティングなモードにするため、“ケミストリースタイル”という新要素を追加しました。これは、ユーザーさん自身が理想とするプレイスタイルを選手に付けることができるシステムです。例えば同じ選手でもストライカーかウインガーで使うかによって、求める動きが違いますよね。そういったスタイルに応じて、選手の能力が変わっていったらおもしろいのでは? という発想から生まれたシステムです。
選手に“ケミストリースタイル”というアイテムを付けることで、速く走れたり、正確なクロスが供給できたりするなど、同じ選手でも起用法を変えやすくなりました。ユーザーさんが思い描く理想のサッカーを追求していただきたいというのが、導入の理由になります。
――ソーシャル要素の“EA SPORTS Football Club”にも変化はありますか?
ほかのプレイヤーと一緒に遊ぶという点では“オンラインシーズン”に、“コープシーズン”という2対2で遊べるシーズンを追加しまています。これは、ユーザーさんからの要望も強い要素でした。基本的には、みなさんがどういう遊びをしたいかを考えながら、今あるものは崩さないように調整しています。
――『FIFA14』ではブラジル代表に加え、南米のチリリーグ、アルゼンチンリーグが追加収録されました。これらを収録した経緯は?
『FIFA』シリーズはリアルなサッカーを追求しているので、ライセンスがあることで、よりオフィシャルになると考えています。また、ゲーム的にも今回、“キャリアモード”で“グローバル スカウティングネットワーク”というフィーチャーを用意しました。
これは隠れた名選手を発掘してくれるシステムです。『FIFA14』には約16,000名もの選手が収録されていますが、そのすべてを知っている人はほぼいませんよね。しかし、まだまだ有望な若手が隠れているかもしれない。そういった選手を探すときにに有効ですし、世界のサッカーをみなさんにお届けするという意味で、ライセンスは重要だと思っています。
――会場でPVを見させていただきましたが、ガレス・ベイル選手にロベルト・レバンドフスキ選手、ステファン・エル・シャーラウィ選手が出演しているなど、各国のリーグを象徴する選手が目白押しですね。
▲世界各国のリーグ、クラブ、選手が実名で登場するのも『FIFA』ならではの魅力。精力的にライセンスを獲得することで、ほかのサッカーゲームでは見られないオフィシャル感が出ている。 |
『FIFA』はいろいな国で発売しています。その国ごとのスター選手が存在するので、ブンデスリーガのスター、プレミアリーグのスターなど、各地域を代表する選手がミックスになっているPVです。
――ベイル選手といえば、今夏には移籍が決まりました。
ベイル選手はトットナム・ホットスパーのユニフォームでパッケージを作っていました。しかし、ギリギリのタイミングでレアル・マドリードに移籍し、それを反映するのは大変でした(笑)。今夏の移籍市場は動きが多かったので、まだゲーム内でも移籍情報をすべて反映できていません。その部分は、オンラインアップデートにて対応させていただきます。
――最後に『FIFA 14』を心待ちにされているユーザーさんへ向けて、メッセージをお願いします。
これまで『FIFA』を遊んでいただいた方には、本作の進化を感じていただきたいです。選手やボールの動きをはじめ、ゲームの核となる部分が変わっているので、新次元のサッカー体験を楽しんでいただけると思います。
初めて『FIFA』をプレイされる方のためは、わかりやすくゲームをプレイしてもらえるよう、ユーザーインターフェイスを一新しました。一番遊んでいるモードが最初に表示されたり、オススメのモードもすぐ選べるようにしてあるので、非常に遊びやすくなっています。
PS3、Xbox 360、PC版では体験版を配信しているので、まずはそちらを遊んでもらうのがオススメです。ぜひとも一度プレイしてみてください!
■東京ゲームショウ2013 開催概要
【開催期間】
ビジネスデイ……2013年9月19日~20日 各日10:00~17:00
一般公開日……2013年9月21日~22日 各日10:00~17:00
【会場】幕張メッセ
【入場料】一般(中学生以上)1,200円(税込)/前売1,000円(税込)
※小学生以下は無料