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2013年9月25日(水)

小島秀夫監督インタビューの模様を全編掲載! 『METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN』はどのような作品に?【TGS2013】

文:皐月誠

 9月20日、“東京ゲームショウ2013”会場において、PS4/PS3/Xbox One/Xbox 360用ソフト『METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN』を手がける小島秀夫監督への質疑応答の場が設けられた。本記事では、その模様を可能な限りノーカットにて掲載する。

 また、“東京ゲームショウ2013”内にて行われたステージイベントの模様は、こちらの記事(1日目/3日目)や動画(“GROUND ZEROES”プレイデモ/“サイドオプス”プレイデモ)を参照してほしい。

『METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN』
▲東京ゲームショウ2013のSCEブースにてプレゼンを行った小島監督(中央)。

※小島監督の発言中、『メタルギア ソリッド』シリーズを指す語は監督自身の呼称から『メタル』と表記。
※『METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN』は『MGSV』と表記。
※『メタルギア ソリッド』シリーズタイトルは、『MGS』、『MGS2』、『ピースウォーカー』などと略記。

――『MGSV』ではワンショット演出が採用されていますが、具体的にはどの程度までワンショットなのでしょうか?

『METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN』
▲小島秀夫監督

 ゲームプレイ中の肩越しのカメラはプレイヤーが操れますが、カットシーンまでそのまま繋がってワンカメでやります。終わるとまたプレイヤーのカメラに戻るので、どうしても演出的にカット割りをしているところはありますが、それでもほとんどがワンカメです。

――昨日のステージでは「ぐっとこらえて」ワンカメでやっているとのことでしたが。

 演出には余分があります。例えば、ここにいる全員の表情をとらえようとすると、こう(集まった各媒体取材陣をパンで撮影するような身振り)なりますよね。1カットではなく映画的にカットバックで入るとやりやすいのですが、ユーザーの視点から見たカメラは1つということで、徹底しています。挑戦というほど大したものじゃないんですが、やってみるとしんどいですね。

※パン……カメラの角度を横方向に移動させる手法。
※カットバック……2つ以上のシーンを交互につなぐ手法。

 1カットのつなぎによる撮影といえば、『ゼロ・グラビティ』ってキュアロン監督の映画があって、あれは約1時間半で9カットぐらいしかないらしいんですけど、早く観たいですね。あの人は天才ですから。

※キュアロン……メキシコ出身の映画監督、アルフォンソ・キュアロンさん。
※『ゼロ・グラビティ』……宇宙を舞台にしたスリラー映画。アメリカにて2013年10月4日、日本にて2013年12月13日より公開。

――今回のカットシーンがワンカメなのは、従来の『メタルギア ソリッド』シリーズと一線を画した新世代タイトルだからということでしょうか?

 新世代だからということではなく、今作がオープンワールドだからです。例えばミッション“GROUND ZEROES”のオープニングは、普通のデモシーンですと犬が吠えているところから、カットバックして兵士が歩いている足元、と移動した方がいい演出になるんですが、あの中をカメラがロードもなく進んでいく、そこから空撮でずっと上がっていってスネークが見えるというのが、最初の没入感としていいと思いました。

■動画:『MGSV THE PHANTOM PAIN』
 MISSION:GROUND ZEROES - OPENING(日本語版)

――Twitterにて、敵のAIが進化していて披露が大変だというお話がありましたが、思考が高度になっているということでしょうか?

 進化というか、リニアなゲームってFPSもみんなそうですけど、例えばお化け屋敷のレールの上に「ここを踏むと敵が出てくる」というポイントがある設計なんです。でも『メタル』ってその場所に裏側からでも行けるので、「ここを踏むと出てくる」という敵ではいけないわけです。そうなると、AIが必要なんですね。

※リニア……直線の意味。ここでは進行ルートが基本的に固定のゲームを指す。

 敵の挙動がAIに依存するので、思ったようなプレイが披露できない。かっこよく倒してほしいけれど、それはなかなかできないという意味です。高度なAIというか、まだ高度にはなっていませんが(笑)。

 『4』の時に、上からスナイパーが狙っているというシーンがありました。ああいった場面において、FPSではこちら(その場)から撃つしかないんですが、『メタル』の場合は裏通りから階段を上がっていって、後ろからホールドアップさせるということもできました。結局はリニアな状況ですけれども、建物はどこからでも入れるということです。

 かっこいいゲームプレイを演出しているレールゲームは、「建物のこの窓に入らないと物語が絶対に進まない!」となっていることが多いんです。その方が絵的には作りやすいのですが、個人的にはプレイヤーには同じミッションを何度もやってほしいじゃないですか。今度は右から行くとか、左から行くとか、ヘリで突っ切るとか……。とはいえ、AI自体はまだアホです(笑)。永遠のテーマです。

――本編の時代設定は1984年ですが、登場兵器は時代に合わせたものになるのでしょうか?

 武器に関しては、その時代風のものはあります。ですが、そのものズバリではありません。ヘリとかもオリジナルのデザインなんですよ。

 (東京ゲームショウ2013の1日目に)「フルトンはない」と言いましたが、本編ではフルトンがあります。ただ“GROUND ZEROES”のオープニングで、基地に査察団が来てどうのこうのとする場面があって、1機しかヘリを借りられない。ですので、フルトン回収用のヘリなんかないんです。

 あそこから人を連れて帰るには、1人1人担いで帰るしかありません。でも、中にはダンボールを作れるやつがいるので、本編ではダンボールが出てくるかも。

『METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN』
▲デモプレイで回収した捕虜のような兵員を集めれば、いろいろなものが開発できる……?

→従来の『メタルギア ソリッド』シリーズから変化した部分は?(2ページ目へ)

(C)Konami Digital Entertainment
※編注:一部表記の誤りを修正しました(2013/09/26)

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