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2013年9月27日(金)

インディーゲームのためのコミュニティサイト“Indie Stream”を通じて、国境を超えたゲームの創造の自由を!

文:まさ

 2013年9月22日夜、東京のソニー・コンピュータエンタテインメントSSJ品川ビルにて、東京ゲームショウ2013に訪れた国内外のインディーゲーム開発者を招いての交流会イベント“Indie Stream”が開かれた。本記事では、このイベントのステージで行われたステージの模様をお届けする。

東京ゲームショウ2013

 1本目のステージに登壇したのは、本イベント主催者であり、“Indie Stream”の発起人でもあるNIGOROの楢村匠さんとNyamyamの東江亮さん。主催としてのあいさつの後、世界中のインディーデベロッパーのコミュニティの場となる“Indie Stream”立ち上げの発表が行われた。

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▲Wii/PC用ソフト『LA-MULANA』の開発者として知られる楢村さん(写真右)と、Wii U/iOS/PC/Mac用ソフトとして『TENGAMI』を開発中の東江(写真左)さん。

 両氏の説明では、予算や人員の面で厳しいインディーデベロッパーが、世界中にゲームを発信するにはどうしたらいいのか? それが1つの大きな壁になっていると言う。例えば、日本のインディーデベロッパーが、海外のプラットフォームでゲームを配信したいと考えた時、“Indie Stream”を通じて世界中から協力者を集うことができる。

 また、メディアがインディーゲームを取り上げたいと考えた時、どこにコンタクトをとればいいのか? そんな時は“Indie Stream”のサイト上に設けられる“Press Kit Archive”にアクセスすることで、素材や情報の提供を受けたり、開発者にコンタクトを取ったりといったことも可能になる。インディーゲームに注目する企業やメディアも含め、インディーデベロッパー同士の横のつながりを作っていくことで、インディーゲームの“創造の自由”を大きな流れに乗せていく。そういった環境を構築していくのが、このコミュニティサービスの趣旨になるとのこと。

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 こうした横のつながりの成果の例として、楢村さんからPS Vita版『LA-MULANA』の配信が予定されていることが、東江さんからPC版『TENGAMI』が先行独占でアクティブゲーミングメディアのPLAYISMから配信されることがサプライズ的に発表された。

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 続いて、楢村さんと東江さんと入れ替えの形で登壇したのが、PLAYISMを運営しているアクティブゲーミングメディアの水谷俊次さん。PLAYISMは、PCのインディーゲームを支援しているダウンロードサイトで、“Indie Stream”の立ち上げ、サポートにも深くかかわっている。

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▲PLAYISMの広報担当の水谷さん(写真右)。

 水谷さんは、“ローカライズ”と“クリエイティブ”という2つの言葉をあげ、この2つの掛け合わることで、国境を超えて作品を世界に届けてくことがPLAYISMの活動趣旨であると語った。また、この活動における最終目標は、PLAYISMを大きくすることだけではなく、インディーゲームの価値やインディーデベロッパー可能性をどこまで広げられるかにあるという。

 そのため、PC版『LA-MULANA』では、PLAYISMだけでの配信にはこだわらず、SteamやDesuraといった海外の主要なPCプラットフォームでの展開を行い、日本のインディーゲームが海外展開するための1つの突破口を開いたのだという。その成果もあり、プチデポットの『メゾン・ド・魔王』のSteam配信が決定したこともこの場でアナウンスされた。

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 また、PCだけでなく、PlayStationプラットフォームやコンシューマにおけるインディーゲームの展開についても言及。PlayStation Mobile向けに、オミニシステムズリミテッドの『Eufloria』や神奈川電子技術研究所の『僕は森世界(シンセカイ)の神になる』の移植を全世界に向けて展開していること。チェコ共和国のインディーデベロッパーであるアマニタデザインの『マシナリウム』を、国内のPS3/PS Vita向けにリリースすることを明らかにした。

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 さらに、これからの展開として、国内インディーズゲームをPS4で全世界に配信していくことも考えているという。目下、目論見中のタイトルの1つとして、FullPowerSideAttack.comの『Torquel』のPS4版の開発を支援しているとのこと。非法人のインディーデベロッパーであっても、PLAYISMを通すことで、PS4にチャレンジしていける体制作りを進めているので、力になれることがあればPLAYISMに一声かけていだければと、会場に集まったインディーデベロッパーに語りかけていた。

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 1本目のステージの締めとして、本イベントのソニー・コンピュータエンタテインメント側の主催者として、SCEJAの多田浩二さんより、PS4プラットフォームでインディーゲームをサポートするセクションのスタッフ紹介が行われた。多田さんが最後に、このスタッフを中心に、インディーゲーム&デベロッパーのサポートをしていきたいと考えているので、要望があれば積極的に話をしてほしいと語り、会場全員での乾杯をもって1本目のステージが終了した。

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▲SCEJA・パブリッシャーリレーション部 ディベロッパーリレーション課の多田さん。

 小休止を挟み、2本目のステージへ。先のステージで登壇した楢村さんと東江さんに、comcept代表取締役の稲船敬二さん、Creative Intelligence Arts代表取締役の由良浩明さんを加えた4人によるトークセッションで、テーマは“好きなゲームを作るために”。このテーマに沿った司会者からの質問に、各人がそれぞれ答えていくという内容であったが、ここでは印象に残った回答をいくつかピックアップして掲載する。

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▲写真左から、楢村さん、稲船さん、由良さん、東江さん。

 「ゲームを制作する際に、大事にしていること、こだわっていることは?」という質問に対して、楢村さんは「自分の欲望」と回答。自分がおもしろい、作りたい、やってみたいと一番最初に思ったものが大事だと語っていた。また、同質問に東江さんは、「心が動かされる瞬間があるかないか」と回答。理屈でわからなくても、心が動くものがあれば、東江さんはよしとするとのこと。

 「ユーザーからの声をどれぐらい取り入れてゲームを作っているのか?」。この質問に対し、世界中のいろいろな人と話してきた中で一番多かった声が「『Mega Man』を作ってくれ」だったという稲船さんは、「『Mega Man』はもう作れないが、その声には応えたいので『Mighty No.9』を作った」と回答。同質問に由良さんは、「ユーザーの中には、私たちデベロッパーよりもいい意見を持っている人もいます」と回答。由良さんが開発中の作品で、実際にユーザーからいただいたUIのアイデアを取り込む予定のものもあり、こういった意見は勉強になるとも語っていた。

 最後は、会場に集まったインディーデベロッパーに向けて、登壇した4人からそれぞれメッセージを送り、トークセッションは終了した。

 夜も深まり、最終プログラムとなる3つ目のステージへ。このステージは、ゲーム音楽の演奏とアレンジを主に活動しているミュージシャンのサカモト教授による生演奏。普段はファミコンを頭に乗せているサカモト教授だが、今回のは特別バージョンということで、初代PSを頭の上に乗せて登場した。

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▲“Play サカモト Station”となったサカモト教授。

 演奏曲は、『I.Q』、『ビートマニア』とPSプラットフォームのタイトルの曲の中から選出。また、プロモーションで参加している『僕は森世界の神になる』の曲も披露された。最後は、サカモト教授のオリジナル曲である『SAMURAI』の演奏をもって、全ステージが終了となった。

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