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2013年10月10日(木)

本日発売される『グランド・セフト・オートV』レビューをお届け! かつてないスケールで描かれた自由度の高いオープンワールドに注目せよ

文:電撃オンライン

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『グランド・セフト・オートV』は、CERO Z(18歳以上のみ対象)のソフトです。
※18歳未満の方は購入できません。
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 ロックスター・ゲームスから本日10月10日に発売されたPS3/Xbox 360用ソフト『グランド・セフト・オートV(以下、GTAV)』。本作をプレイしたレビューを、ライター・城イドムがお届けします。

■ゲームで遊ぶ作品ではない――これは“ゲームに生きる”作品である

 従来のシリーズも傑作、大作の誉れを欲しいままにしてきたが、本作『GTAV』はそれよりもさらに別次元の域に突き抜けた超大作である。

 幸いにも筆者は本稿の執筆にあたり、発売前に国内版のソフトを手にする機会を得られた。スケールといい、各要素の細密な作り込みといい、想像をはるかに越えるレベルで驚かされてしまった。諸般の都合上、遊べたのは“ストーリーモード(オフライン)”のみの十数時間に過ぎず、作品の全容を知るには余りに短かったことは否めない。しかし、その限られた時間だけでも、これまでのゲームの概念を越えた存在であることは十分に思い知らされた。今回は、そんな超大作の片鱗を、みなさんにお伝えしたいと思う。

『グランド・セフト・オートV』
▲作中に描かれた世界は驚くほど広大で、そして描写も細かい。やり込むほどに新たな発見が次々と見い出され、プレイヤーは『GTAV』で始まる“もう1つの人生”を、つねに新鮮な気分で楽しむことができる。

 まず最初に、ゲームの概要をこのシリーズのあらましとともに振り返っておこう。本作は、近代都市・ロスサントスと雄大な自然が広がるブレイン郡の2エリアを舞台に、欲望や暴力も見え隠れする人生を体験できるオープンワールドゲームである。

『グランド・セフト・オートV』 『グランド・セフト・オートV』 『グランド・セフト・オートV』

 皆さんもご存知のようにオープンワールドゲームとは、プレイヤーが気の向くままに好きな場所を自由に探索できる、広大なフィールドを有したゲームジャンルのことだ。この世界では、特定の人物に話しかけたり、規定の場所に足を運んだりすることで、ミッション(クエスト)が発生する。ミッションにはメインストーリーに絡んだ主要なイベントだけでなく、サイドストーリーをかいま見れるものや、お金を稼げるもの、ちょっとしたミニゲームといった、サブミッションもたくさん用意されている。これらをこなしながら、この世界での生活を楽しむのが、『グランド・セフト・オート(以下、GTA)』シリーズタイプのゲーム最大の特徴だ。

 なお、このゲームジャンルが確立されたのはPS2『GTAIII』からである。

■3人の視線からひも解かれていくストーリー

 基本システムに関しては本作でもおおむねシリーズのスタイルを継承しているが、その中で大きく変わったのがプレイヤーキャラ、すなわち実際に操作できる主人公が3人になった点である。“ストーリーモード”では最初に、街のチンピラ・フランリンの立場から物語が紡がれていく。メインミションの1つでフランクリンは車を強奪する仕事を請け負い、その車の持ち主である元稼業の富豪・マイケルと知り合うことに! この後、プレイヤーは立場をマイケルに移して、中年の富豪の目線でロスサントスを探索していくことになる。さらにメインミッションを進めていくと、今度は豪胆で行動力の塊(かたまり)・トレバーが第3の主人公として登場。物語は序盤で最大の山場へと突き進んでいく。

 もう1つ押さえておきたい人物が、『GTAIV:ザ・ロスト・アンド・ダムド』の主人公・ジョニーだ。本作では彼を操作することはできないが、トレバーと深く関わるキーパーソンとして物語に絡んでくるだけに、ファンには感慨深いものがある。

『グランド・セフト・オートV』 『グランド・セフト・オートV』
▲フランクリンは、最初に使うことになるプレイヤーキャラで、サウス・ロスサントスを根城にするギャング。その境遇ゆえに悪事に手を染めてはいるが、本心ではこの生活から抜け出したいと願っている。▲裏家業からは足を洗い、現在はロックフォードヒルズ地区で豪邸暮らしをするマイケル。経済的には安定していても、心にどこか満たされないものを感じている。
▲トレバーはプレイヤーキャラ3人の中でも一番とんがった(?)粗暴な男。ただ、親友と認めた相手には優しさを見せる一面も。サンディ海岸北東のトレーラーハウスで生活を営んでいる。

 感心したのは、原則的にいつでも操作する主人公を切り替えられるという、システムのおもしろさだ。操作しているマイケルを帰宅させた後、主人公をフランクリンに切り替えてその家を訪ねれば、“登場人物”の1人としてのマイケルに会えるなど、立場の異なる3人それぞれの目線から街を探索していけるのはユニークな試みだ。

 近しいシステムはすでに他作品で採用されていた例もあるのだが、本作ではこのシステムを用いて物語をより濃密に描く技法、完成度で群を抜いている。例えば“強盗・宝石店”というミッションでのマイケルは、大金を用立てなければならなくなって強盗を計画し、協力者を必要とする。そして現状の自分からの脱却を願っていたフランクリンは、そのステップとしてマイケルを手伝うことを決意。利害の一致した2人は、大胆な計画を実行に移すことになる。

 前述のように、3人は年齢や境遇はもちろん、人間としての根幹をなす“人生観”がまったく異なる。そして、シナリオを進めていくと状況の流れ上、各自にとって譲りたくない一線が生じてくる。それらの思惑が、時には微妙にからみ、時には衝突しながら、1つの壮大なストーリーとしてつづられていく過程が実に見事だ。現在、私がプレイを進めているのは上記の3人が出そろった時点までに過ぎないが、それでもこの手法に込めた開発者の狙いは十分に伝わり、これから先に巻き起こるであろう、波乱のシナリオにこれ以上ないほどの期待感をあおられた。

 先を見てみたくなる衝動が、絶えることなく沸き起こる展開!

 物語を読み進めていくゲームを評する上で重要なこのポイントが、これほど巧みにゲームに落とし込まれた作品は、あらゆるジャンルをひっくるめて私は本作しか知らない。

『グランド・セフト・オートV』
▲主人公の3人それぞれの目には、この街はどう映っているのだろうか。各自の思惑が激しくうず巻き、人間の性(さが)を鋭くえぐる物語がこの街に刻み込まれていく。

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(C) 2013 Rockstar Games, Inc.

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