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2013年11月16日(土)

竜騎士や『FFVI』のロックをイメージしたウェアもデザイン! 『ライトニング リターンズ FFXIII』開発スタッフインタビュー第5回(アート編)

文:電撃オンライン

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■新キャラクターのルミナは鼻先のモデルにこだわってデザイン

――ルミナは、板鼻さんデザインのキャラクターですね。

『ライトニング リターンズ FF13』

板鼻:開発初期に新キャラをデザインしてほしいというオーダーを受けたのですが、当時はまだシナリオも深く掘り下げたものがない状態で、まさに謎の少女という印象で描き始めた記憶があります。白を基調にしたデザインにしてくれと言われていたのですが、結果選ばれたのはバリエーションとして用意した黒い衣装のほうでした(笑)。あとになってみたら、ストーリー的にも黒がしっくりくるので、それは結果的によかったなと思っています。

 あとは、トリックスター的なキャラという要素もあったので、少し道化のような雰囲気を入れられないかなと。トリックスターというよりかは手品師のような、そういう要素を入れたキャラクターですね。

――ルミナのデザインのポイントは?

板鼻:顔だと、鼻先のモデルに関してはこだわらせてもらいましたね。すっと通った鼻というよりは、少し幼いキャラなので、鼻先がちょこんとしているような。その雰囲気を出したくて、写真なども用意してモデリングの担当者とはしつこくやり取りをしました。あとはコートの形にも時間がかかりましたね。上国料とシルエットなどについて相談しつつ、飾りなどもつけて、他と差別化を図るようにしています。

『ライトニング リターンズ FF13』

――コートもこだわりのポイントなんですね。

板鼻:わかりづらいですが、高いところに立ちそうなイメージといいますか(笑)。一枚布にするとブワっとふくれてしまうので、切れ目を入れて左右に広がるようにしました。

『ライトニング リターンズ FF13』

――デザインを決めたのち、CGに落とし込んでいく作業も確認されているんですよね?

板鼻:そうですね。スタッフが汲み取ってくれた部分も大きかったので感謝しています。ただ、完成に向けては細部への意思疎通をしっかりしないといけないので、話合いはかなりしましたね。

上国料:最初にイメージしていたゲームの規模と比べると、結構ふくらみましたね。ルクセリオの街などは、僕が持っていたイメージと上がってきた映像とにかなりズレがあったんです。そういうズレを参考写真を見せるなどして修正しつつ、イメージをすり合わせていきました。

――『ライトニング リターンズ FFXIII』の制作中、印象に残った出来事などはありますか?

松田:制作初期にゲームデザインディレクターの阿部雄仁がライトニングの剣を短くしたいと言ったことがありまして、その時はかなりもめましたね。ライトニングの持つイメージを生かしたかったということもありますし、ライトニングを立てるプロジェクトであるからこそ、彼女のよさを1つ消してしまうのはイヤですと。

 その打開策として、阿部のほうから剣が折れるというのはどうかと。打開策を出してもらえて、クリエイティブな話し合いができたと、今振り返ってもいい出来事でしたね。全編を通して、そういうエピソードがあったからこそ、短い期間の中でも密度の濃い制作ができたと思っています。

上国料:『ライトニング リターンズ FFXIII』では制作期間中、毎月1回スタッフ全員が集まって、ゲームの進行を確認したり、発表し合う場を設けていたんです。仕事の観点から見ると確認作業なんですが、なかなか楽しかったですね。限られた期間の開発ですと、コミュニケーションやチームの一体感を作り出すのは難しいんですが、このイベントのお陰で雰囲気もよくなったのではないかと。作品にもいい影響を与えたと思います。

板鼻:松田の話した剣のエピソードは、今初めて聞かされました(笑)。剣のデザインをあげたら、今度は剣を折ってくれと言われたので、当時はびっくりしたのを覚えています。現在はデザインがひと段落したので、ゲームをテストプレイしているのですが、自分が作った衣装よりも、他の人が作った衣装のほうが、遊んでいて楽しいなと思いながらプレイしています。気づくと他の人の衣装ばかり使ってますね。

 他には、ルミナのモデルが上がってきた時に、すごくかわいくて感動しました。自然なライティングのお陰で、人物としてちゃんと見れたのはうれしかったです(笑)。

『ライトニング リターンズ FF13』

――では最後に、本作の見どころをお願いします。

松田:本作は、これまでの集大成になります。物語としても、皆さんが一番望んでいるような展開になる作品になっていますので、ぜひ遊んでいただきたいです。

板鼻:今作は、ライトニングの魅力をあますことなく引き出すことに注力されたゲームです。ウェアチェンジももちろんですし、どういったスキルを割り振るかなど、とにかくカスタマイズして、自分だけのライトニングを作り上げて、遊びつくしていただければと思います。

上国料:シリーズすべてでアートディレクターをしたきましたが、最初に『FFXIII』の世界観を作った時には、これほど続くとは思っていませんでした。今作でシリーズとして完結ですが、ライトニングという主人公がこれだけいろいろな冒険を重ねて、こういう形で作品が終わるというのも、全然想像していませんでした。本当に長い、非常に長い旅路を、僕らも作りながら一緒に旅してきたというか。その中でもいろいろと悩みながら作り上げた本作ですので、そういう意味では今作から入った方も、ぜひ今までのシリーズを遊んでいただきたいですね。すでにファンの皆さんは、期待を裏切らないデキになっていますので、ぜひ楽しんでいただければと思います。

『ライトニング リターンズ FF13』

 この記事は、2013年9月12日発売の『電撃PlayStation Vol.550』に掲載されたインタビューに加筆して全文を公開したものです。

(C)2013 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. CHARACTER DESIGN: TETSUYA NOMURA

データ

▼『ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII』(ダウンロード版)
■メーカー:スクウェア・エニックス
■対応機種:PS3
■ジャンル:RPG
■発売日:2013年11月21日
■希望小売価格:7,000円(税込)
▼『ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII』(ダウンロード版)
■メーカー:スクウェア・エニックス
■対応機種:Xbox 360
■ジャンル:RPG
■発売日:2013年12月3日
■希望小売価格:7,000円(税込)

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